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採用KPIの大幅改善!大塚商会の採用・オンボード改革を大公開 内定承諾率20%向上|面接の可視化で発覚した課題と面接改革とは?

閤師 敏晃(こうし としあき) (株式会社大塚商会 人材開発部 部長代理)

野澤 比日樹(のざわ ひびき) (株式会社ZENKIGEN 代表取締役CEO)

株式会社ZENKIGENと株式会社大塚商会の共同プロジェクトとして「HRテクノロジー大賞・採用部門優秀賞」を受賞した「これからの採用DX」セミナーのイベントレポートです。

株式会社大塚商会は、『エントリー動画』のAI解析により、学生の印象を含めた初期選考に成功。また、ブラックボックス化しがちな面接を可視化し、面接官のスキル向上に取り組むことで、応募者の満足度向上を実現しました。さらに入社後の1on1面談においても動画データを活用し、オンボーディングに繋げた運用もご紹介します。

大塚商会の採用・オンボード改革を大公開
第1章:オンラインで応募者に向き合う初期選考とは?
第2章:面接の可視化で発覚した課題と面接改革とは?
第3章:リモートでも、予期せぬ退職を減らせた理由とは?

今回は3章にわたるイベントレポートの第2章『採用KPIの大幅改善!内定承諾率20%向上|面接の可視化で発覚した課題と面接改革とは?』をご案内します。

※本記事は2023年2月10日に実施された「大塚商会実践ソリューションフェア2023東京特別セミナー【これからのHRDX】AIを活用した採用面接と人材育成のポイント~「定量的」で「見える・分かる・出来る」未来へ~」の内容のレポートです。

※所属・役職等は制作時点のものとなります。

『harutaka ライブ』にて大幅な工数削減

閤師氏:コロナ禍で発生した「オンライン面接の運用負荷」という課題に対しては、採用に特化した『harutaka ライブ』の導入により、オンライン面接の運用負荷が大幅に軽減されました。さらには、「harutaka」の機能により面接の録画を学生に紐付けて管理することが可能になり、ブラックボックス化していた面接を確認することができるようになりました。

面接の録画に関して、学生側には規約に同意いただくことや、面接官から口頭にて「一人の面接官の目で評価するのではなく、複数の面接官の目で見て判断したい」と伝えることで、面接録画に対する抵抗感は、想定より低かったです。

野澤:他社でも録画に関しては学生から好意的に受け入れられることの方が多いです。面接官によっても、合う合わないがあるため、複数人での評価が可能になることで一人の面接官のバイアスによる評価を防ぐことができます。

面接録画の確認によって発覚した新たな課題

閤師氏:しかし、録画された面接を確認したところ、新たな課題が発覚したのです。それは「面接官の面接スキルが低い」という課題でした。これまでは面接室で面接を行っていたので、面接内容はブラックボックスになっていたのです。

これまでも面接官講習会、新人面接官に対するロープレなどは実施していたのですが、効果検証はできておりませんでした。面接スキルが高いと思っていた面接官が、面接で使ってはいけない「NGワード」を意図せず使っているケースもあり、一部の面接官の面接スキルが課題であることが発覚しました。これは他社様でも同様の課題を感じていらっしゃるのでしょうか?

野澤:他社でも人事の方とお話をすると、SNS上で学生が面接に対する悪い口コミを書いていたりなど、課題を感じている方は多いです。しかし、現場の協力を得ながら面接を可視化し、面接官教育などを行って面接スキルを改善していくプロセスに対してはまだ取り組めていない人事の方も多い印象です。

閤師氏:面接スキルに問題があることがわかったため、面接改革を行うことにしました。

流れとしては下記の5つのステップで行いました。

①面接内容の可視化:『harutaka IA(インタビューアセスメント)』を利用
②面接官スキル分析:面接データを総合的に分析
③服部教授との面接内容の分析:「採用学」の第一人者神戸大学服部先生との共同研究
④採用コンサルタントによる面接官への個別指導:個人フィードバックシートの送付
⑤分析をふまえた面接官全体への面接官講習:全面接官必須参加の全体共有

閤師氏:それぞれについて説明させていただきます。

①面接内容の可視化

閤師氏:『harutaka IA』では、面接をAIで解析します。『harutaka IA』により、エラーが起きている面接を発見することができ、全ての面接内容を確認する必要がなくなりました。

②面接官スキル分析

閤師氏:『harutaka IA』による面接の定量スコアに加え、面接後の応募者満足度アンケート(「この面接官の下で働きたいですか?」という質問)、採用プロセス情報、面接官の評価結果などを総合的に分析し、面接官ごとの面接スキルを可視化しました。

平均と比べて明らかに値が異なる面接や、面接官が合否をつける面接の合格率に偏りがないかも確認することによって面接の悪い例、良い例を可視化することができました。

野澤:「面接録画を確認すると、面接スキルが高そうだと思っていた方と面接内容の実態にギャップがあった」とのことでしたが、面接官全員の面接内容を可視化した結果、どのような気づきがありましたか?

閤師氏:「普段コミュニケーション能力があり面接スキルも高い」と思っていた方でも、面接中では自分語りが多く学生の話を聞けていない、という例もありました。

逆に、コミュニケーション能力が高いわけではなく「面接スキルが高くはないのではないか」と思っていた面接官が傾聴力があり、上手く学生の話を引き出しており、応募者満足度アンケートのスコアも高いという例もありました。

これらから、その人の表面的な印象で面接力を判断してはいけないということがわかりました。

③服部教授との共同研究による面接内容の分析

閤師氏:具体的にどのような研究を行ったかというと、面接担当者に他者の10数分間の面接動画を見てもらい、感じたことを都度話してもらいました。面接を見終わった後には、発言意図がわからなかったことを細かく質問し、本当に考えていたことを抽出しました。

ここで得られた情報を「上手な面接担当者」と「一般的な面接担当者」に分けて比較を行ったことで、この研究から「上手な面接担当者」の特徴がわかりました。

【無料アーカイブ配信付】採用学の服部准教授に聞く「優秀な面接官」の面接手法

④採用コンサルタントによる面接官への個別指導

閤師氏:②③によって分かった「上手な面接担当者」の特徴をもとに、各面接官の面接動画を視聴し、面接のフィードバックを行いました。「面接録画のこの部分を見て改善してみてください」などと、具体的な場面を見せてフィードバックを行うことで、面接官から納得感を持った感想が得られました。

このフィードバックを通じて明らかに面接スキルは向上したと感じます。

⑤分析をふまえた面接官全体への面接官講習

閤師氏:2023年卒の新卒採用が始まる前に、2022年卒に分析した大塚商会全体の傾向も踏まえて、面接官全員参加必須の面接官講習会を行いました。また、服部先生との共同研究をもとに、実際の面接録画を公開し、「深掘りが行えている面接」「印象が良い面接」の例も紹介しました。

「面接改革」後の2023年卒採用の結果

閤師氏:上記の面接改革により、応募者満足度アンケートのスコア、そして内定承諾率に大幅な改善が見られました。また、面接官の面接へのモチベーション向上にも繋げることができました。具体的な改善項目は下記です。

①応募者満足度アンケートのスコアが平均で約10%向上 

応募者満足度アンケートのスコアの平均値、中央値ともに約10%の改善が見られました。

②選考進捗率/内定承諾率の向上

課題であった選考進捗率は4%向上しました。
また、内定後の承諾率も20%向上しました。

「面接の中で自分を評価してくれた、見てくれていると思ったから入社した。」という応募者の声が多かったです。

③面接官の面接のモチベーションアップ

スキルが分析され結果がフィードバックされることで、面接官業務が「結果が出る仕事」となりました。
さらに面接が「評価される仕事」へ変化したことで、面接官のモチベーションアップに繋がりました。

質疑応答

発表終了後、会場からいくつかの質問が投げかけられました。本記事では3つご紹介します。

①面接改革(特に面接を分析されていること)への社内からの反発や抵抗感はありませんでしたか?

閤師氏:社内からの反発や抵抗はありませんでした。採用の仕組みを「自分が面接した学生が自分の部署に入ってくる」という形で行なっており、「面接スキルを上げたい」という気持ちは自然と生まれているのだと思っています。面接中のメモに関するサポートがあることもプラスに働いたかもしれません。

②『harutaka IA』による面接内容の文字起こしはどのように活用していますか?

閤師氏:面接中にメモを取ることは大変だからこそ、文字起こしを活用しています。面接官の映像を確認して気になったのが目線が下を向いてキーボードを叩いていることです。

文字起こし機能を面接アシスタントとして活用いただき、面接時にお相手に集中することをおすすめいたします。

③AI活用の結果として、以前より優秀な社員の採用が実現できたのでしょうか?

閤師氏:当社を第一志望群としてみてくれる学生が増えた所感はあります。結果、マッチングの数は増えました。
「優秀な社員を採用できたかどうか」については、次年度以降も継続的に検証・フィードバックをしていければと思っています。

終わりに

大塚商会の採用・オンボード改革の2つ目として、”面接改革”についてご紹介しました。『harutaka IA』では、面接の「発話比率」や「笑顔度」などが解析されます。 これまで気づかなかった指標を数値化することで、面接がより振り返りやすくなっております。

面接のライブ録画や各指標のスコアが残ることで、ブラックボックス化されていた「採用の科学知」が可視化できます。詳細は下記よりご確認ください。

harutaka IA(インタビューアセスメント)

次回第3章では、大塚商会様のコミュニケーションのオンライン化によって増加した「急な退職の増加」へのオンボーディング改革についてご紹介します。

 
 
 

閤師 敏晃(こうし としあき)(株式会社大塚商会 人材開発部 部長代理)

1993年株式会社大塚商会に新卒で入社。1年間の営業職を経て1994年に人事部へ異動。以降30年間人事部にて新卒・キャリア採用・障がい者雇用促進などの採用業務全般、新人から管理職層までの階層別研修を幅広く担当。 合わせて次世代経営層育成、ピープルアナリティクス、エンゲージメント促進、マネジメント変革、女性活躍推進などの各種プロジェクトを推進。

野澤 比日樹(のざわ ひびき)(株式会社ZENKIGEN 代表取締役CEO)

1998年株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に新卒入社。1999年創業期のサイバーエージェントへ転職し、大阪支社の立ち上げ、社長室、事業責任者等に従事し、会社の成長に貢献。2011年に孫正義会長の誘いでソフトバンクグループの社長室に入社し、電力事業であるSB Power株式会社の設立、立ち上げに携わる。2017年10月株式会社ZENKIGEN創業。

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