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「学生を見て、コンテンツを作ってますか?」NTT東日本の採用担当が覚えたインターンへの危機感 -前編-

伊藤 信吾 様 (東日本電信電話株式会社 総務人事部 人事第二部門 海外研修担当)

小林 優菜 様 (東日本電信電話株式会社 総務人事部 人事第二部門 採用人事担当)

NTT東日本(東日本電信電話株式会社)は、2021年のサマーインターンからコンテンツ内容を一新しました。変更から1年が経過し、インターンにどのような変化が現れたのでしょうか。同社の採用担当者である伊藤さんと小林さんに前編・後編に分けて、NTT東日本の新しいインターンについてお伺いました。

前編となる今回は、インターンの変更点と一新に至った課題感についてお話いただきました。なぜ、大企業であるNTT東日本がインターンを一新しなくてはならなかったのかーその理由に迫ります。

※所属・役職等は制作時点のものとなります。

実務とかい離していたインターン

ーNTT東日本が今回インターンシップを一新した背景について簡単に教えてください。

伊藤さん:2〜3年前まで我々はビジネスハッカソンのようなインターンを行っていました。ただ、入社を見据えた上で学生さんにメリットのあるプログラムだったかというと、そうではありませんでした。運営には準備が行いやすいという利点はありますが、学生さんを満足させる内容とまでは言えなかったからです。

 

学生さんはどんなプログラムであれ真剣に取り組んでくれるため、外からはしっかりとインターンシップをやっているように見えてしまいます。しかし、そもそも実際に現場のSEがハッカソンを行なうことはありません。このままでは、NTT東日本に対しての興味が上がるとも思えませんし、働くイメージも湧かないと危機感を覚えました。

ーせっかく参加したインターンの内容と働き始めてからの仕事に大きな違いがあると、入社後の労働意欲は削がれかねませんよね。

伊藤さん:はい、今は転職が当たり前の時代になりました。年齢に関係なく、社員はいつでも転職していきます。その大きな理由の一つがジョブアンマッチです。学生さんからしたら、インターンと全く違う内容を現場でやらされるのは不快感でしかないでしょう。

ー今回変更したのは、どのインターンですか?

伊藤さん:一新したのは「システムエンジニア(SE)」「ネットワークプランニング」の2つです。NTT東日本は、毎年夏季と冬季の年2回、「SE」「ネットワークプランニング」「デジタル」と3種類のインターンを実施します。デジタルは少し毛色が異なるため、SEとネットワークプランニングに対し、変更を加えました。

目指したのは実務と遜色のない業務体験

ー具体的な変更点を教えてください。

伊藤さん:例えば私が担当していたSEのインターンでは、「日頃から業務で行っていることをできるだけ再現しよう」と変更を加えました。特に意識したのは「リアルなインターンを追求」「技術知識の伝授」「業務の世界観の見える化」の3つです。

一般的なシステムエンジニアの世界では、現場のSEはお客様から出される予算と要望を元に、どのように実現するかを提案します。お客様は各社の提案に対し、技術点や金額点などをいろいろな観点から評価し、総合評価が一番良かった企業と契約します。

インターンでは、提案書作成までの道のりを簡易化させたワークを実施することで、より実務に近い内容を体験してもらいました。仕様書の読み込みにはじまり、ネットワークの構成と機器選択、ネットワーク配線の図面書き出しと、内容は現場業務とほとんど変わりません。

ー実際にSEが行う業務と遜色がなく驚きました。一方で、相当な専門知識がないと到底、対応が困難なようにも思いました。

伊藤さん:はい、この業務は技術知識がないと難しいため、研修初日の午後はネットワークに関する講義を行います。そもそもNTT東日本のインターンに参加する情報系の学生さんは少なく、インターン参加時点で、ネットワークに関する知識を持たない方が大半です。直近では参加者の約10%が文系学生でした。このインターンが終わった時にはサーバーネットワークに関する技術知識を身につけてもらおうと、有料級の情報を研修ではお伝えしています。

ーそこからどのような形式でインターンは行われたのでしょうか?

伊藤さん:2日目からは5〜6名のグループに分かれ、仮想の会社を設立し、研修で得た知識を使いながら、どう戦略を立てていくかをチームで考えてもらいました。チームには社員がマネージャーとして並走し、状況に応じサポートを行います。なお、提案先は架空の自治体としています。これは、NTT東日本が自治体や官庁に多くの案件を持つためです。今回はオンライン上で実施しましたが、世界観の追求として、会社やシェアオフィスなど、ルームを分け、小さな架空世界のようなものも作りました。

ーよりリアルな世界観を出すため、行われたことがありましたら教えてください。

伊藤さん:これは笑い話ですが、自治体の雰囲気やお客様による毛色の違いを出すため、僕ともう1人のメンバーが変装をしたり、かつらをかぶったりして、お客様に扮装しました。これまでお会いしたお客様を思い出しながら寡黙な雰囲気を出したり、自治体ならではの受け答えをしてみたりと、学生さんがお客様と話している緊張感を味わえるよう意識しました。

ーネットワークプランニングでは、どのような点に変更を加えましたか?

小林さん:私の着任が2021年の10月ということもあり、2021年の冬季インターンから内容を変更しました。基本的な課題感、意識したポイントはSEと同じですが、ネットワークプランニングという学生さんからすると馴染みが薄い領域に対し、どうリアルさを追求し、魅力のあるインターンにしていくかを議論しました。

 

研修全体で意識したのは「通信インフラがどれぐらい重要か?」を理解してもらうことです。通信インフラは社会において欠かせないもので、大規模な通信障害などが発生したら、緊急通報、銀行のATMが使用できないなど、様々な社会機能に影響を起こします。そのため、私たちはワークのテーマを「災害に強いネットワークをつくるにはどうするべきか?」としました。

災害時、通信遮断の時間を最小限に留めるようにするにはどうしたらいいのかを考えてもらう一方、企業としての売り上げやコストを考えた上で、適正値はどこかをしっかり見定めた設備計画を提案するというワークを行いました。 SE同様、実際の業務をリアルに伝えるワークという点は意識しつつ、ほとんどの学生さんが通信設備についてゼロから学ぶため、200ページ近い講義資料を作成し、通信設備の基礎から実際の設計までを丁寧にお伝えすることを意識しました。

新卒採用の入口を変えないと、イノベーティブな人材は大企業に集まらない

ー今回、伊藤さんを中心とした採用メンバーが課題意識を持ち、インターンの内容を変えたと伺いました。こうした課題感はどこで得ましたか?

伊藤さん:あまりにも売り手市場が進み過ぎているのと、NTT東日本の魅力が落ちてきたことに課題意識を持ちました。現場時代からこの課題は実感していましたが、人事へ異動してからはより感じます。皆さんは、今の東大・京大の学生さんたちが、どこへ就職したいかを知っていますか。

ーそうですね、大手コンサルや総合商社などですか?

伊藤さん:おっしゃる通りです。さらに加えて、彼らが今就職したいのは、スタートアップです。自分たちに世界を変える力があると思う学生さんは、最初は給料が低くてもいいから、自分たちで事業を始めようと考える時代になりました。スタートアップを志望するような学生さんは、下積みが長く、若手に裁量が与えられない大企業には見向きもしません。今の大企業の悩みは、経営の4大資源のモノ・カネ・情報があるのに、イノベーティブな「ヒト」が来ないという点です。この現状を打破したいと、NTT東日本はもちろん、多くの大企業が考えていると思います。

ーこの課題を打破し、学生さんたちに見てもらうにはどうしたらいいのでしょう。

伊藤さん:新卒で選ばれる企業になるのが近道だと考えました。この流れを変えるには10年、20年と時間がかかるかもしれませんが、新卒採用の入口とそのあり方が変わり、ジョブマッチができれば、いい人材は定着し、離職率も下がると信じています。その最初の一歩がインターンです。一石を投じる意味でも、今回のインターンコンテンツの一新を進めました。

ー実際、社内の反応はいかがでしたか?

伊藤さん:社内外からの反響は大きかったです。成果がついてきたことも、後押ししたと思います。例えば、SEのインターンを経て入社した学生さんの平均インターン参加社数は9.6社でした。さまざまな企業のインターンを経験した中で、NTT東日本を選んでくれたのは、それだけインターンで魅力が伝わったからだと思います。特に今回嬉しかったのが、国内トップクラスのSI関連企業の内定を辞退してでも、NTT東日本を選んでくれた学生さんがいたことです。一新の効果を肌で実感しました。

ー前編は以上です。後編では、インターンシップに参加した学生さんの感想と傾向、運営をする中で大変だったことについてお伝えします。

後編はこちら

「学生を見て、コンテンツを作ってますか?」NTT東日本の採用担当が覚えたインターンへの危機感 -後編-

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