大きな成長につながる。効果的な人材育成法「1on1」とは?
「1on1(ワンオンワン)」とは、部下と上司が1対1で行うミーティングのこと。アメリカでは一般的なマネジメント手法である「1on1」ですが、大手企業Yahoo!が導入したことで話題となりました。今回はそんな1on1のメリットや注意点などをご紹介します。
目次
1on1とは
1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が1対1で面談を行うことを指します。大抵の場合面談時間は30分程度で、週1〜月に1回の頻度で行われます。
上司と部下が1対1で話し合う場として評価面談も挙げられますが、対話の内容や目的、実施サイクルが異なります。
人材育成としての効果が期待できることから、近年Yahoo!を始めとする大手企業が取り入れたことで、様々な企業が注目しています。
1on1の実施目的は?
1on1の第一の目的は、上司と部下から生まれるコミュニケーションを通して人材育成を行うことです。普段部下と上司がコミュニケーションをとる場が少なく、上司が一方的に業務に関する指示をするシチュエーションが多いかと思います。
1on1は、30分という短い時間で身構えずにコミュニケーションをとる場とされており、部下の現状のタスクや悩みを引き出すことを目的としています。コミュニケーションの場が定期的に作られることにより、悩みに対する問題解決がスピーディーに行えるため、部下のいち早い経験サイクルが形成できるでしょう。
1on1のやり方や導入方法
【ステップ1】目的を共有する
まずは部下に1on1を実施する目的を共有します。目的を伝えないと「その間に業務を片付けたい」「雑談の時間になるかもしれない」など気が乗らない部下も存在するでしょう。1on1に意図をもって挑んでもらえるよう事前の共有が大切です。
部下の悩みや課題を引き出すことが第一の目的なので、人事評価には影響しないことを事前に伝えることも、リラックスして参加してもらう大きなポイントとなるでしょう。
【ステップ2】日程を決める
1on1は週に1回、最低でも月に1回実施するのが望ましいです。あまり間隔が空いてしまうと、リアルタイムでの相談ができず、1on1のメリットを最大限に活かせません。
“毎週◯曜日の◯時から”と決めてしまえば習慣化されるため「この日に相談しよう」という意識付けができるのでおすすめです。
曜日は火曜日〜木曜日、時間は午後に行うのが理想でしょう。月曜日は休日明けのため相談内容を忘れてしまう恐れがあり、金曜日だとフィードバックをもらった後実行できない可能性があります。また、出勤直後はメールの返信や緊急度の高い業務を行う可能性もあるため、午後に実施するのが望ましいでしょう。
【ステップ3】話の内容やテーマを伝える
1on1で何を話すのかどうかを事前に共有しておけば、部下も何を話せばいいか不安に思う気持ちを解消でき、当日の対話が充実したものになるでしょう。
ただし、あくまで1on1は部下の話を聞く場なので、最終的には自発的に話してもらえるよう質問を投げかけながら悩みや課題を引き出していきましょう。
【ステップ4】進め方を考える
当日沈黙が続いてしまったり、雑談で終わってしまうのを防ぐため、1on1では大まかな流れを事前に考えておくとよいでしょう。基本的には部下が悩んでいることを聞いた後、それに対してのコメントやフィードバックを発言するという流れになります。
【ステップ5】1on1の実施
1on1を始める際は、プライベートに関する雑談を交えるなどして部下の緊張をほぐすと話しやすい雰囲気づくりができるでしょう。また、PCなどで会話の内容をメモしておくと、次回の1on1で役立てられるのでおすすめです。
1on1の時間内に話の収拾がつかない場合は、そのまま放置せず、別途時間を設けて解決に向けた話し合いの場を作りましょう。
【ステップ6】1on1終了後
1on1を終えたあと、作成した議事録を部下に共有すると、次回のミーティング時に前回の内容を振り返ることができたり、過去の内容と比較して部下自身の成長レベルを可視化することができます。また、この時点で次回の1on1の日程を共有しておくと段取りがスムーズでしょう。
1on1の効果やメリット
信頼関係の構築
1on1は、言わば、半強制的に2人で話す機会を定期的に設けているため、コミュニケーションを取らざるを得ない場といえるでしょう。ですがその場を作ることにより、上下関係のある上司と部下が、業務上の悩みやプライベートに関する話ができ、信頼関係の構築や相互理解を深めるよい機会となるでしょう。
部下の成長を促進する
1on1は上司に相談できる場でもあるため、タイムロスをすることなく業務に対するフィードバックが行えます。また、部下は上司とのコミュニケーションにより、自分自身の課題点や新たな適性に気づくこともあるため、自身を成長させる良いきっかけにもなるでしょう。
1on1を失敗させないために
1on1の際に話す内容によっては、ただの雑談や上司が一方的に話すだけの時間で終わってしまう場合もあり、1on1の意味をなしえない可能性もあります。そんな事態を防ぐべく、意識すべきポイントをご紹介いたします。
事前の準備をしっかり行う
1on1の時間に「どのような話をするかわからない」「進め方がわからない」という事態にならないよう、部下の業務内容や達成目標などを事前に把握しておきましょう。そうして進捗状況などをヒアリングしていくうちに、部下の課題や悩みが見出しやすくなります。
部下の成長を促すことを優先的に考える
1on1はコミュニケーションを通じて、部下の成長を効率的かつ効果的に促す手段です。上述したように1on1は決められた時間に定期的に行う半強制的な場ですが、1on1の数をこなすうちに部下が自発的に行動できるようになり、判断力を高めることが最終目標となるでしょう。そのためにも、1on1の場を活用して、部下との信頼関係を築き、サポートしていけるような有意義な時間を作っていくことが大切です。
本音を話してもらえる雰囲気を作る
1on1を行う上で、まずは部下に本音を話してもらうことが第一目標。ですが、質問の仕方や態度によっては緊張感を与えてしまう恐れがあります。部下の発言に対し否定的だったり、話を遮ったりすると本音が言い出しにくくなる可能性が十分あるので、相手の目を見て話を聞いたり、できるだけ肯定的な相槌を打つなどをして、よい雰囲気作りを心がけましょう。
目的意識を持とう
1on1を効果的に進めるためには、目的意識をしっかりと持ってコミュニケーションを取ることが大切です。周期的かつ継続的に行うことによって効果が見えてくるため、焦らずに有意義な時間を構築していきましょう。
関係性認識のズレが職場の不幸に。コミュニケーション分析AIで関係性を可視化する – ZENKIGEN Lab Report 010