ピープルアナリティクスとは?企業にとってのメリットと活用ポイント
ピープルアナリティクスという言葉をご存知でしょうか。従業員のデータを分析し、企業にとっての課題を明確に洗い出すことを言います。そんなピープルアナリティクスを、どのようにして取り入れ、活用すればいいのかご紹介します。さらなる業務効率化を目指しましょう。
目次
ピープルアナリティクスとは
ピープルアナリティクスという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
ピープルアナリティクスとは、従業員に関する問題点を洗い出し、企業としてどのような問題点に取り組むべきかを明確化することを言います。この記事では、そんなピープルアナリティクスは企業にとってどんなメリットがあるのかどうかや、活用方法についてご紹介します。
ピープルアナリティクスが注目される理由
ピープルアナリティクスが注目されている理由は、テクノロジーの進化にあります。今まで手に入れることができなかった人材に関するデータが集められ、人的資源に関することが分析しやすくなりました。よって、自社の業務の効率化につなげられるようになったのです。
また、社内の評価や昇格などについての決定が、データ分析をした結果であるなら、社員からの理解も得られやすくなります。
人的資源は、企業にとって財産のひとつです。ピープルアナリティクスを用いることで、業務が簡素化し、公平性も保たれるというのであれば、企業として利用しない手はないでしょう。以上の理由から、日本の大企業だけではなく、アメリカのGoogleを始めとした世界の企業で注目されています。
ピープルアナリティクスに用いられるデータの種類
実際にピープルアナリティクスの分析に用いられるデータには、以下の4つがあります。
1.人材データ
ピープルアナリティクスの基本となるデータです。性別や年齢、所属部署、給与を始め、保有しているスキルや特性なども用いられます。
2.行動データ
従業員の行動が把握できるデータのことです。カレンダー機能を利用し、社員の自席や会議室での滞在時間を知ることができ、社用の携帯電話の位置情報を使えば、外出時間、外出先などについて知れます。
3.オフィスデータ
社内の設備がどのように利用・活用されているのかの情報を収集し、社員の行動やコミュニケーションについて分析します。時間帯や季節ごとの設備利用の頻度、会議室や休憩室、複合機の利用状況などを収集します。
4.デジタルデータ
社用PCや携帯電話の履歴、電子メールの送受信先、利用した時間帯、電話の履歴などを指します。社員が頻繁にやり取りしている相手と、発揮されるパフォーマンスなどを測ることができます。
【企業側】ピープルアナリティクスのメリット
データを軸にした納得できる課題が明確になる
ピープルアナリティクスには、従業員に関するデータを元にして問題点や課題を洗い出すため、数字として見えやすく、従業員が納得して取り組みやすい、というメリットがあります。
なんとなく作られたルールや課題では、目標が定まりにくく、従業員のモチベーション維持に大きく関わります。データを軸にすることで、全員が同じ目標に向かって取り組みやすくなるでしょう。
【従業員側】ピープルアナリティクスのメリット
部署移動や引き継ぎ管理が楽になる
ピープルアナリティクスを取り入れると、部署移動や退職などによる、引き継ぎ管理がとても楽になります。業務内容と課題を全てデータとして管理できるため、従業員同士のコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
人事異動による混乱を防ぐこともできるので、普段からピープルアナリティクスを取り入れ、常に業務の目的を明確かしておきたいところです。
ピープルアナリティクスを活用する方法
具体的に、どのような方法でピープルアナリティクスを活用すれば良いのでしょうか。
従業員の情報を分析する
企業にとってピープルアナリティクスを活用するのであれば、まずは従業員の情報を分析しましょう。
性別や年齢だけでなく、どんな部署でどのような業務を行なっているのか、勤務年数や評価など、企業にとって必要なデータを分析することで、それぞれの従業員に適した働き方や部署へ誘導することができます。
個人情報の扱いに注意しながら活用する
ピープルアナリティクスでは、従業員にとって非常にプライベートな情報を管理することになります。そのため、個人情報の扱いには十分注意しながら活用する必要があるでしょう。
従業員からの信頼を得るために、事前にどのような形で管理を行うのかを説明したり、従業員から同意を得たりする必要もあると言えます。
離職率の改善
ピープルアナリティクスを活用するためには、過去の退職者のデータを分析してみましょう。分析することで、離職率が高い傾向にある部署を把握することができます。離職率を防ぐためにも、ピープルアナリティクスを取り入れることはとても有効です。
採用活動の効率化
ピープルアナリティクスを活用すれば、データ分析によって、どのような人物を採用していくか、具体的な検討がしやすくなります。採用にかける時間を有効活用でき、無駄のない作業を進めることができるでしょう。企業にとってプラスとなる人物像が見えやすくなります。
ピープルアナリティクスを使ううえでの注意点
ピープルアナリティクスを使ううえでの注意点を紹介します。
個人情報の取り扱い方
収集した情報のほとんどは個人情報にあたるため、取り扱いには十分注意しましょう。データの収集や整理には、コンサルティング会社が関わることもあります。情報を提供するにはまず、社員への説明と理解を得ることが欠かせません。
データの収集は、必要最低限の情報のみとし、興味本位で扱うことがないようにしましょう。
データは客観的か
収集するデータは、客観性がなければ意味がありません。データは常に第三者により整理したり、まとめられたりします。よって、まとめる段階で取り扱った人の主観が入ったり、バイアスがかかっていたりする可能性も。データの凡例化や入力基準の簡素化、明確化で対策しましょう。
データは整理されているか
データは常に整理し、管理しましょう。データの抜けや、一つひとつのフォーマットが異なると、データの信憑性にも影響を及ぼします。対策は、データを1箇所に集めて、時系列ごとに並べるように管理することです。
分析を担当する人のスキル
情報の分析には、分析担当者のスキルも関係してきます。データを集める目的を知り、明確化・言語化する力が求められます。また、どのようなデータを集めるかを設計するのも仕事のひとつです。
分析のスキルは経験で培われるものと、学ぶことで身につけられるものがあります。研修を開いて、分析担当者をスキルアップさせるのも手段のひとつですが、外部から専門家を採用するのもいいでしょう。
ピープルアナリティクスを取り入れて業務効率化を目指そう
ピープルアナリティクスは、企業にとって取り入れるとメリットが多くあります。現時点で大きな問題点がないとしても、従業員のデータを分析することで、新しい発見や課題が見えてくるはずです。ピープルアナリティクスを企業に合う形で取り入れて、業務効率化を目指してみてください。
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