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AI要約機能の導入は、「面接官の声」に背中を押されて始まった

今回、『AI要約機能』をご導入いただいた背景についてお聞かせください。
長谷川:導入のきっかけは、面接官がより安心して学生と向き合えるよう、複数人で支え合える体制を整えたいと考えたことでした。例年、1次選考は現場の従業員に面接官を依頼しており、基本的には1対1での面接になります。こうした運用の中で、現場からは「複数の視点があると、より安心して学生と向き合えるのではないか」といった声が挙がっていたんです。そこで、26卒の採用フローを設計する際には、面接を2名体制にすることを検討しました。しかし2名体制にすると、一致するスケジュールも限られることから、調整に時間がかかり、面接を実施するまでの期間も延びてしまいます。
学生を必要以上にお待たせすることにもつながるため、選考プロセスそのものを柔軟に運用できる仕組みとして『AI要約機能』の導入を決めました。具体的には、1対1のオンライン面接を実施し、「harutaka」の『AI要約機能』で内容を要約します。後日、その要約をもう1名の面接官が確認し、選考する仕組みです。
当時、ZENKIGENから「AI要約機能の選考での活用方法」についてご提案させていただきましたが、その中で特に魅力的だと感じたポイントがあれば教えてください。
長谷川:一番魅力的に感じたのは、面接内容の記録を一定のフォーマットで統一できる点でした。これまでは、面接官によって記録のスタイルや細かさにばらつきがあり、評価の軸をそろえるのが難しいと感じていたからです。本機能の導入にあたって、特にどのような効果を期待されていましたか?
長谷川:もっとも期待していたのは、地域にとらわれない柔軟な面接の実現です。『AI要約機能』の導入によって、これまで地域ごとに面接官を割り当てていた運用から、全国の従業員に幅広く面接を依頼できるようになるのではと考えていました。また、記録作成にかかる工数の削減も大きな期待の1つでした。面接官には当日中の記録作成をお願いしていたため、全ての入力が完了するまで人事も待機する必要がありました。人事側は当番制で対応していましたが、面接が集中する3月から4月にかけては、ほぼ毎日のように残業が発生していたんです。記録作業が効率化されれば、全体的に負担の軽減につながるのではないかとも思いました。
また、既に導入していたZENKIGENの『harutaka IA(インタビューアセスメント)』が社内でも高く評価されていたことから、同じZENKIGENのプロダクトである『AI要約機能』にも自然と期待は高まりました。
採用フロー見直し後も、歩留まりに大きな影響はなし

『AI要約機能』の導入をきっかけに、26卒採用から選考フローをご変更されましたが、改めてどの点を変えられたのかを教えてください。
長谷川:今回の選考から、1次選考の面接に『AI要約機能』を取り入れました。弊社の1次選考はオンラインで実施していますが、要約サービスの一機能である「リアルタイム文字起こし機能」を活用することで、面接官は応募者との対話により集中しやすくなりました。加えて、面接終了後には、文字起こし情報をもとに「申し送り事項」と「面接内容の要約」が自動生成されます。これにより、記録の質が一定に保たれるようになり、記録作成にかかる時間も短縮されました。当初期待した通り、面接官・人事双方の負担軽減につながっています。
また、生成されたコメントや要約は次の面接官にも引き継がれており、選考全体のつながりをスムーズにする役割も果たしています。
さらに、これまではエリアごとで面接官を調整していましたが、今は、全国の面接官から柔軟にアサインできるようになったため、「この応募者にはこの面接官が良さそう」など応募者本人の志向や地域ごとの特性にも対応しやすくなり、運用面での自由度が高まったのも大きな変化の1つです。
運用フロー変更にあたり、特に大変だった点があれば教えてください。
長谷川:一番苦労したのは、面接官に新しい運用の意図を理解し、納得してもらうことでした。実際に運用を始めてみると「思っていたよりも良かった」という声も多く聞かれましたが、導入当初は戸惑いもあったようです。これまで弊社では、いかに早く合否を出すかというスピード感を重視しており、早ければ翌日には応募者に結果を通知する体制を取っていました。そのため、他の面接官が面接内容を確認したり、コメントを読み込んだりする今回の運用に対しては、「採用のスピードが落ちてしまうのでは」「歩留まりに影響が出るのでは」といった懸念が面接官から上がりました。
フローの変更に伴い、学生側にも多少の戸惑いは見られたものの、歩留まりへの大きな影響はありませんでした。今までのあり方を変えるというのは勇気のいる判断でしたが、これからの弊社の採用スタイルとして学生に受け入れてもらえるよう、浸透を図っていきたいと思います。
歩留りに大きな影響を出さず、社内も前向きに新しい運用を受け止めてくださっているのは素敵ですね。この機能の導入によって、面接官の業務にどのような変化や効果がありましたか?
長谷川:一番の変化は、面接官や各エリアの業務負荷が大きく軽減されたことです。これまでは、各会場ごとの接続チェックや面接官の割り当てなどを、本社が都度対応していました。『AI要約機能』の導入によって、こうした対応を本社で一括管理できるようになり、運営全体の効率が格段に向上しました。さらに、選考情報を一元管理できるようになったことで、選考フローの進行もスムーズになりました。『AI要約機能』は接続も操作もシンプルで、現場の負担なく活用できた点も大きかったです。
記録面でも変化がありました。AIによる要約は精度が高く、面接の要点が端的に整理されているため、「動画を見返さなくても、内容を思い出しやすい」という声が面接官から多く寄せられています。加えて、記録の転記や補足作業も最小限で済み、情報共有の効率化にもつながっています。
最終面接を担当する部長や次長からも、「コメントや要約が非常に見やすく、効率的に内容を把握できる」と好評でした。『AI要約機能』がなければ、このような柔軟な選考フローは実現できなかったと思います。
AI要約機能は、面接官の育成にも効果を発揮

面接官によっては、今期から面接を担当される方もいらっしゃったと伺っています。フローを変更したことで、面接官の育成やフォローにつながったと感じる点があれば教えてください。
長谷川:実際、面接官の育成にはつながっていると感じています。「harutaka(ハルタカ)」が面接の良かった点を要約してくれることで、自分の強みや改善点を客観的に振り返るきっかけになっているからです。今年は要約を始め、「harutaka」から得られるデータを活用し、実際の面接事例をもとにした研修を実施しました。これまでは口頭での情報共有が中心でしたが、「ロールプレイングのような研修があると良い」という声もあり、そうした声に応える形で実現できたと感じています。
結果として、面接全体の質の底上げにもつながったのではありませんか?
長谷川:まさに26卒選考で掲げていたテーマが、「面接を統一すること」でした。面接のやり方や評価の仕方にばらつきがあると、学生にとっても不公平感につながりかねません。そこでまずは、評価軸や質問のスタイルをそろえることから始めようと考え、『AI要約機能』を導入しました。他の面接官の面接内容を確認できるようになったことで、自然と学び合いが生まれ、面接の進め方自体を見直す機会にもなっています。実際に、「質問の順番が不自然だった」「もっと深掘りすべきだった」といった振り返りの声も出ており、改善の循環が生まれ始めているとも感じています。
例えば、若手従業員が担当すべき面接と、ある程度経験を積んだ従業員が適している面接では、求められるスタンスや関わり方に違いが生まれます。こうした違いにも目を向けながら、評価の厳しさや関与の深さを適切に調整していけるようにしたいです。
今回、運用フローを変更したことで、採用チームの皆様が想定されていなかった副次的な効果や思わぬ発見はありましたか?
長谷川:『AI要約機能』の導入によって、面接官の話し方や質問の仕方が可視化されるようになり、それを全体で把握・共有できるようになったことです。また、全国の面接官が他地域の面接を見られるようになったことで、地域ごとの評価感覚の違いに気づくこともありました。さらに、応募者の評価に迷いが生じた場合でも、別の視点からのコメントが加わることで判断材料が増え、採用チームとしても柔軟に対応できる体制が整ってきたと実感しています。
要約は入社後も活用できる大切なデータ。人材育成の新たなスタイルを目指して

今後、『AI要約機能』をどのように活用していきたいとお考えですか?
長谷川:今後は、選考だけでなく、配属後のフォローにも『AI要約機能』を活用していけたらと考えています。例えば、配属決定や入社1〜2年目のフォロー面接の場で、本人が「今の仕事が希望通りか」「どう感じているか」といった内容を簡単にでも伝えられれば、その後のサポートにもつながるはずだからです。面接時の要約情報など、採用の時点で得られた情報を上長や人事系のマネジメント層にお伝えできれば、より丁寧な人材配置や育成につながるのではないかと期待しています。
貴社の取り組みを進めるにあたり、ZENKIGENや「harutaka」に今後期待されることがあれば教えてください。
長谷川:面接は面接官によって評価の視点が変わるからこそ、ZENKIGENには、第三者の立場から選考全体を俯瞰し、支えてくれる存在であってほしいです。初期配属や入社後のフォローまで見据えた、採用活動とその後の人材支援が一貫してつながるようなサポート体制の構築を期待しています。最後に、よりよい採用の実現に向けて面接に課題を抱える企業やそのご担当者様に向けて一言メッセージをお願いします。
長谷川:採用面接に関する課題は、自社だけのものだと思いがちですが、実は他社でも似たような悩みを抱えていることが少なくありません。私たちも、ZENKIGENと対話を重ねるなかで、自分たちでも気づいていなかった課題を言語化できた経験がありました。まずは相談してみることが、課題解決への第一歩になると思います。正直、社内にいるだけでは、AIがここまで進化しているとは想像すらしていませんでした。だからこそ、外部の力を借りてみる、という発想を持つだけでも、新しい視点が得られるはずです。アウトソーシングも1つの選択肢として、前向きに検討されてはいかがでしょうか。
 
         
        