大塚商会の新卒採用担当が体感した「AI×面接の可能性」
AIの動画分析がより一層の面接力向上へつながると期待して
『harutaka IA』導入のきっかけとなった貴社の採用課題を教えてください。
鈴木さん:大塚商会では、コロナ禍における採用オンライン化の一環として、2022年度採用から「harutaka」を利用しています。コロナ禍で正式にオンライン面接導入を検討していた中で株式会社ZENKIGENの説明を伺い、AIによる面接録画の分析とそこから広がる可能性に興味を持ったのがきっかけです。客観的視点からの面接内容の把握と面接品質向上の一手になればと『harutaka IA』の導入を決めました。大橋さん:当社新卒採用の面接は基本的に営業、SEなど職種ごとに行われており、面接官も各部門から選抜してもらっています。その分面接官ごとにスキルのばらつきも多く、候補者体験として改善の余地がある面接が少なからず存在していると思っておりました。
導入にあたって期待していた点や不安だった点は何でしょうか?
鈴木さん:AIによる面接録画の分析を通し、客観的な視点が加わることで、定量的観点から改善サイクルが構築され、会社全体の面接力がより一層向上することを期待していました。大橋さん:一方で、いくら客観的な視点とはいえ、「AIなんて選考に取り入れるなら面接に協力しない」という反発が起こらないか不安でした。
「自分の面接が数字で見えるのは面白い」納得感を持って現場に受け止められたAIのフィードバック
大塚商会様では、『harutaka IA』をどのようにご利用いただいているか教えてください。
鈴木さん:『harutaka IA』の基本機能の利用と併せ、「harutaka」を利用する中で蓄積した面接録画データをもとに、AIによる解析をお願いしていました。当社では毎年面接官講習を実施していますが、2022年度採用からは学生傾向や採用広報の共有と併せ、ZENKIGENの解析フィードバックを面接官へ共有し、全体の面接傾向や改善ポイントを把握してもらうようにしました。なお、この面接官講習には、管理職や役員など、面接に参加する全社員に出席してもらっています。AIが解析した面接結果を社員の皆様へ共有した際、どのような反応がありましたか?
鈴木さん:正直ネガティブな反応が返ってくるのではないかと心配もあったのですが、「結果が見えること」によって納得感が増し、フィードバックを面白がりながら聞いてくれました。AIという第三者が評価しているのも大きかったのだと思います。また、面接を担当した学生の次選考への進み具合などの傾向を示してみたら、こちらも興味を持ってくれました。大橋さん:ZENKIGENからのフィードバックを参考に「大塚商会の面接傾向」と「モデルケースとなる面接」を定義できたのも、納得感の後押しになったと思います。
大塚商会様の面接傾向について教えてください。
大橋さん:当社の面接傾向は、判断より口説きの傾向が強いということでした。面接官の発話比率が高めで、会社や仕事の魅力について「語る」面接官が多いという結果を講習会で伝えたところ、面接官自身の感覚ともズレがなく「確かに」という反応でした。そこで、選考段階によって役割を分けて、判断フェーズの面接官には「発話を抑えてしっかり学生の話を引き出す」ことに注力してもらうようお願いしました。自身の役割がはっきりすることで、面接官からも「取り組みやすくなった」という声をもらっています。では、モデルケースとなる面接とは、どのような内容でしょう?
大橋さん:今まで面接官にお願いしてきた「質問の深堀り」「候補者に対する面接官の印象」が、今回『harutaka IA』の結果から、改めて効果があると再確認されました。一問一答形式のような、質問の多い面接では、ただ相手の情報を広く浅く得ているだけで、学生の本質に迫っているわけではありません。「質問の深堀り」が上手い面接官は、学生の回答から更にその状況やその時の思考などを聞いていくことで話を階層化し、準備していなかった回答を引き出していました。自然と学生側の発話量も増え、会話の中で学生の本質を知ることが出来ています。
候補者に対する印象が良い面接官は、笑顔などの表情があることはもちろん、選考参加のお礼を学生に伝えたり、学生を気遣う言葉掛けがあったりと、面接官=偉いという感覚を崩すアクションが目立ちました。また、会話中は適度な相槌を挟むことで候補者が話しやすい環境を作り、「あなたのことを知りたい」という気持ちが伝わる面接は学生の表情も豊かでした。
鈴木さん:何か特別なテクニックがある訳ではなく、「当たり前のことを当たり前にやる」ことが大切だと再確認されたということです。逆を言うと、この「当たり前」が意外に難しいということ、またそれを客観的に見る機会がなかったことにも気づきました。講習会ではモデルに当てはまる面接官に許可を得て、お手本として実際の面接の様子を参加者に視聴してもらいました。参加者からは「自分の深掘りの仕方が甘かったことを痛感した」「具体的な行動が見えてイメージが湧いた」などの声があがりました。中には、「部下との1on1ミーティングにも応用できる」とコメントしていた社員もいましたね。
また、分かりやすさの観点から発話比率と笑顔に関する話は、「これなら今からでも実践できる」と特に響いていました。
面接に対する意識や姿勢の変化は、候補者体験にも影響を与えた
今回、ZENKIGENが提供したAIによるフィードバックを社内共有するにあたり、お二人も全社員の面接録画を視聴されたと伺いました。
鈴木さん:はい、大橋と分担し、2人で面接を視聴しました。視聴は正直大変でしたが、AIだけに任せず、面接官個人の顔が分かる我々が見る意味があると思ったのです。大橋さん:それぞれが日頃から関わりを持つ地域の社員の録画を視聴するようにしました。業務で接点を持ちやすく、人柄なども含め把握できているからです。各社員がどのようなポイントをAIに評価されたのかを面接と併せて把握することで、実際の面接講習会はもちろん、その後の個別研修やフォローへ生かすこともできました。
録画はどのようなポイントを軸に確認されましたか?
鈴木さん:表情やしぐさなど非言語による振る舞いをはじめ、言葉の選び方や質問の仕方など、面接講習会で伝えていることを軸に確認を行いました。『harutaka IA』を導入してから現在まで、不安に挙げていた反発などはありませんでしたか?
大橋さん:いえ、ほとんどありませんでした。正直、自分たちがAIによって評価されていることに対しては、もう少しネガティブな反応があるかと心配していました。仕事と同様に、目の前の見えている結果に対しこだわりを持ち、向き合ってくれているのかもしれません。ここまでを振り返り、『harutaka IA』を導入して良かったと感じたポイントを教えてください。
鈴木さん:面接官のやる気が上がったことです。大塚商会だからかもしれませんが、評価されたい人が集まっているため、「結果が見える」ということを面白がってくれたのは嬉しかったです。これまで自身の面接の良し悪しも分からず、面接は「評価してもらえない仕事」になっていたのだと思います。講習会後の面接にもその成果が姿勢として現れており、候補者体験の向上や当社への好感度にも反映されています。大橋さん:確かに、面接講習会後から会話中の笑顔やお礼など、真似しやすい内容から取り入れている面接官を見かけるようになりました。今振り返ると、AIから第三者視点のコメントをもらったことで、「自分の面接にはまだまだ伸びしろがあるのかもしれない」と思えたことも、面接に対する意識や姿勢の変化につながったのかもしれませんね。
今後は更に新しいことに挑戦していきたい
今後、『harutaka IA』を用いて、どのようなことを実現していきたいですか?
鈴木さん:今回、面接の品質向上に一歩踏み出せたので、今後は面接における当社ならではのキラーワードやコンテンツを考えていきたいですね。候補者が面接官のどのような言葉や質問に信頼度やテンションを上げているかを録画解析から把握できたら、より面接が進めやすくなると思います。大橋さん:今当社で活躍している人材の傾向から、「大塚商会の次世代を担う人材像」などを言語化する中で、求める学生像を明確化するのも面白そうですね。
最後に、面接官教育に悩む企業やご担当者に向けてメッセージをお願いします。
鈴木さん:今回、AIが解析した結果を社内にフィードバックしたことで、面接官を務める社員を始め、各部門の社員の採用に対する意識がより一層強くなったと思います。どの企業の人事の皆様も、自分たちが本業としている採用活動に対する想いと他部署との意識のギャップにモヤモヤした経験は、恐らく一度や二度ではないと思います。そういう意味でもフィードバックをきっかけに、面接や採用活動が改めて「大事な仕事」として各部門に理解してもらえたことはとても嬉しかったです。
大橋さん:鈴木が言うように、報われた感は確かにありますね。プロジェクトを進める中で、大変な部分も確かにありましたが、振り返ってみればどれも面白かったです。ZENKIGENにはいろいろな観点から当社の面接を分析してもらい、私たちも気付きはありましたし、こうした方が採用がよりよくなると感じた部分もありました。改善に向けた一歩を『harutaka IA』導入を機に踏み出せたのは、嬉しい限りです。
鈴木さん、大橋さん、ありがとうございました。
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