株式会社YOLO JAPAN加地氏が考える「外国人採用の3つの課題とは」
2019年4月26日と5月10日の2回に 、WEB面接・動画面接プラットフォーム「harutaka(ハルタカ)」を運営する株式会社ZENKIGEN(代表取締役 野澤比日樹)は、「外国人材を活かす人事戦略を考える」をテーマにしたセミナーを開催いたしました。
セミナーでは、日本最大級の外国人向けメディア「YOLO JAPAN」を運営する株式会社YOLO JAPANの加地太祐様と、ベトナムのトップ理系大学でIT日本語教育を行う株式会社Sun Asterisk(旧社名フランジア)の藤本一成様が、それぞれの観点から外国人材の採用や活躍について語っていただきました。
実は当初、1回のみの開催予定だったところ、即座に予約で満席となり急遽追加日程が決定した本セミナー。外国人材に対する注目度の高さが伺い知れます。
本記事は4月26日(金)に行われたセミナーレポートの前半として、YOLO JAPAN様の講演を中心にお伝えいたします。
- 前半:株式会社YOLO JAPAN加地氏が考える「外国人採用の3つの課題とは」
- 後半:「外国人材の採用に成功する要因」を株式会社Sun*藤本氏が語る
在留資格や日本語力など、外国人採用は課題が山積み
外国人材活用の最先端で活躍する2社
満員御礼となった今回のイベントは、株式会社ZENKIGENの取締役、水野の挨拶からスタート。平成最後の金曜日、しかも夕方の時間帯でありながら大勢の方が集まっていただいたことに感謝を述べました。人手不足と外国人材の受け入れは多くの日本企業が直面している重要なテーマですが、今回はその最先端で向き合っている2社の取り組みをご紹介したいと語りました。
日本最大級の外国人採用サイトを運営
水野の挨拶の後、YOLO JAPANの加地太祐氏が登壇。YOLO JAPANは、224カ国の外国人が登録する日本最大級の外国人向け採用情報サイトです。名前にある「YOLO」とは、「You Only Live Once(人生は一度きり)」という意味のアメリカのスラング。外国人が日本で一生に一度の大切な体験をしてほしい、という想いから名付けたそうです。
加地氏は最初に、外国人材の採用における社会背景に言及。日本の労働人口は2030年には2016年から見て800万人減少すると試算されています。(総務省「労働力調査年報2016」より)
一方、在留外国人は増加を続けており、2017年の在留外国人数は過去最高の256万人となりました。(法務省「平成29年末確定値公表資料」、JTB総合研究所「年別訪日外国人の推移」より)
加地氏は、外国人材の労働力以外の側面にも着目すべきだと指摘。1年あたりの観光インバウンド消費は4.4兆円、在留外国人の生活消費は3.1兆円にものぼります。YOLO JAPANは、外国人が日本で行うさまざまな体験のプラットフォームをめざしています。
外国人の登録数が加速度的に増加中
もともとは英会話スクールを運営していたという加地氏でしたが、事故に遭って意識不明の重体になったことをきっかけに心機一転し、外国人たちに喜んでもらえる事業を提供したいと考え、YOLO JAPANをスタートしたのだそうです。
YOLO JAPANが最初に提供していたのは短期モニターアルバイトでした。例えば、ビールのテイスティング、電動髭剃りのモニターなどを提供し、口コミが口コミを呼び、1年間で登録者は1万人に到達。その後、半年で2万人と登録者数の増加は加速し、2019年3月には8万人に到達しました。224カ国の外国人が登録する、日本最大級の外国人向けメディアになりました。
外国人採用の3つの課題とは
ここで加地氏は、日本企業における外国人採用の課題について触れました。加地氏によれば、(1)在留資格、(2)外国人の質感、(3)日本の求人広告の3点が課題として挙げられるそうです。ひとつずつ見ていきましょう。
まず在留資格の問題。受け入れ側の企業では、そもそも外国人の在留資格について知識を持っていない場合も多々あります。知らず知らずのうちに、不法労働者を雇ってしまっていたというケースもあるそうです。そこでYOLO JAPANでは、在留資格をチェックする仕組みを整え、不法労働を防ぐアラート機能も完備しています。
次に履歴書ではわからない外国人の「質感」の問題。加地氏のいう質感とは、「日本語はどれくらい話せるのか」、「自己申告をどのくらい信用していいのか」、「どんな雰囲気の人なのか」といった事柄のこと。
YOLO JAPANはZENKIGENのWEB面接・動画面接プラットフォーム「harutaka(ハルタカ)」とコラボレーションし、外国人材の「質感」を自己紹介動画でチェックできるようにしました。ここで加地氏は実例として22歳のブラジル人女性の動画を紹介。その女性は日本語検定を取得しておらず、選考に落ち続けていたそうです。しかし動画を見てみると、たどたどしさはあるものの、一定の日本語力があると感じられました。
もちろん、動画から得られる情報は日本語力だけでありません。どんな雰囲気の人なのか、信用できそうな人なのか、面接前にしっかりと理解することができます。好きな時間に動画をチェックすることも可能になり、外国人材の採用率もアップします。まさにWEB面接・動画面接のメリットを活かした例だといえそうです。
そして3つめの課題は日本の求人広告です。日本人向けに求人広告を出しているのに外国人から応募が来たり、突然外国語で電話が来て対応に苦労する、というケースが多々あります。 」
ですがYOLO JAPANでは、応募者の選定から面接日の調整まですべてシステム上で設定できるため、直接コンタクトを取ることなく、日本語能力や在留資格などを確認した上で面接に進めることが可能になっています。
特定技能について押さえるポイント
次に加地氏は、新たな在留資格の「特定技能」について押さえるべきポイントを紹介しました。
まず、特定技能ビザに必要な特定技能評価試験は、実施時期がバラバラであるということ。例えば宿泊業、介護業、外食業は2019年4月に実施され、飲食料品製造業は10月、ビルクリーニング業は秋以降、残り9業種は2020年3月までの予定といった具合です。
そして、特定技能ビザを持つ外国人とは日本でも出会うことが可能です。ほかのビザであっても、特定技能ビザにジャンプアップできる例も多く存在するようです。これからYOLO JAPANでは、特定技能ビザの人材の獲得にも注力していくと加地氏は語りました。
最後に加地氏は、2019年9月に日本初となる外国人向け就労インバウンドトレーニング施設「YOLO BASE」を新今宮でオープンすると告知。宿泊、コワーキングスペース、レストランが融合した施設で、外国人材とのさらなる出会いの場を創出していくそうです。
後半のレポートでは、約1400名の外国人材を抱えるIT企業、Sun Asterisk様のセミナーをお伝えします。