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株式会社IDOMの就活ルールに左右されない“新卒採用の独自戦略”

越智 敬之 (株式会社IDOM BHRチーム 新卒ビジネス職 採用責任者)

NEXT HRカンファレンス 第3弾
新卒採用トレンド大公開セミナー〜就活ルール廃止後の採用戦略はこう変わる〜

2018年12月6日、WEB面接・動画面接プラットフォーム『harutaka(ハルタカ)』を運営する株式会社ZENKIGEN(代表取締役 野澤比日樹)は、「『就活ルール廃止』を機に、新卒採用は大きく変わる」をテーマに、「第三回 NXET HRカンファレンス」を開催いたしました。

ZENKIGENの手がける地方学生の就活応援プロジェクト『上京しなくてもいい就活』の企業向け活動の一環でもある本イベント。ゲストスピーカー3名をお招きし、企業人事・大学・学生という3つの視点から、これからの新卒採用戦略の方向性についてお話しいただきました。

会場(大手町ビル6階 Inspired. Lab)には、新卒採用に携わられている人事の方を中心に100名ほどの方々がご来場。当日行われたセッションの様子を、レポート形式でご紹介いたします。

就活ルールに左右されない“新卒採用の独自戦略”

変革期を迎えるIDOMの新卒採用ミッションと独自戦略。

自動車流通に変化をもたらすことで成長を続けてきたIDOM(旧:ガリバーインターナショナル)。その自動車産業界では現在、大きなパラダイムシフトが進んでいる。最近ではソフトバンクとトヨタ自動車が提携しMaaS(マース)の新会社を設立するなど、ITを基軸とした次世代モビリティ社会実現に向けた変化の真っ只中に我々はいる、と越智氏は語る。
中古車販売・買取の最大手IDOMも、カーシェアリングサービスへの参入を発表。モビリティ革命を見据えた戦略へと舵を切ろうとしているという。

IDOMは、世界第2位の自動車2次流通プラットフォーム、国内約600のリアル店舗、グローバルなネットワークなど多くの既存アセットを保有している。2016年には「挑む」という意味を込めて社名を変更。ベンチャーマインドを貫き、新たな挑戦を続けていく構えだ。
一方で、旧態依然な営業組織型マネジメントや、デジタルマーケティングへの依存など、多くの課題も残っている、と越智氏は語る。まさにこれらを解決し変革を担っていくビジネス人材を獲得することが、IDOMの採用ミッションのひとつだという。

コミュニケーションストーリー強化を意識して越智氏が独自に設計したという新卒ビジネスクリエイター職の採用戦略。年間ロードマップには、夏季インターンシップ『IGNITION』と、秋季インターンシップ『OVERTAKE』が組み込まれており、これらに非常に注力している。1dayインターンシップが乱立するなか、優秀学生を確実に採用するためには、話題性と参加メリットが伝わるインターンシップ開発が必須、と越智氏は語る。本セッションでは、3泊4日のリーダーシップ開発プログラム『IGNITION』について紹介してくれた。

インターンシッププログラム『IGNITION』の選考では動画オーディションを実施。

越智氏の手がける『IGNITION』は、2017年に始まったインターンシッププログラム。野外&宿泊型のリーダーシップ開発プログラムで、2018年は富士山麓にて開催された。第1タームと第2タームにそれぞれ24名の学生が参加。計48名の交通費や宿泊費は全てIDOMで負担しているという。選考ではZENKIGENの『harutaka(ハルタカ)』を活用し、90秒の自己PR動画を投稿してもらう動画オーディションを実施した。

「面接やグループワークなど様々な選考方法がありますが、2018年は動画オーディションを採択しました。工数やコストなどの側面も当然ありますが、何より選考のプロセスにおいて就活生にどんな意義やメリットをもたらすことができるかを最も重視した結果です

面接などとは違って、動画選考の環境は完全ホームだ。学生たちは自宅など自分のホームで、自由なタイミングで、ありのままの自分を表現することができる。また、撮った動画を自ら何度も見直すことで、自分自身を客観的に見つめ直すことが可能である。学生たちに対してこのような機会を用意できた点が実は大きかった、と越智氏は語る。

選考で重視した個人特性について、越智氏は採用学研究所出展の資料を紹介した。
知能や情熱、野心など、生まれ育った環境や経験によって培われる「非常に変わりにくい」能力。越智氏はこれを動画選考の基準としたという。一方で、変革のリーダーシップやチームビルディングなど「可変的だが変わりにくい」とされる能力を、『IGNITION』に参加することによって体得してもらう狙いだ。

「もちろん、『非常に変わりにくい』能力というのは、とても抽象的なものなので正解はありません。そのため、投稿された各動画を平均10回ほど、何度も見直して判断しました。数百人のエントリーなので労力はかかりますが、やはり学生たちが一所懸命に動画を作ってくれたことが嬉しくて、逆にパワーをもらったと感じています」

越智氏は、実際の『IGNITION』の様子が撮影されたドキュメンタリー映像を紹介してくれた。参加者事後アンケートでは、満足度100%という結果。また、48名中34名が秋季インターンシップ『OVERTAKE』の選考会応募を希望し、48名中32名がIDOMのビジネスクリエイター職採用選考に前向きという結果も出ているという。

待ち受ける未来は「答えや正解のない」時代。求められるのは一人ひとりのリーダーシップ。

続いて、越智氏は有名な二枚の写真を紹介した。 一枚はニューヨーク五番街の1900年のある朝の通勤風景の写真。馬車の大群の中に一台だけ自動車が走っている。同じ場所の13年後が写されているもう一枚の写真では、自動車が列をなしており、馬車は一台だけになっている。T型フォードが完成したのが、この二枚目の写真が撮られた数年前。まさに社会の変革が可視化されている写真だ。 現在も、車の形は変らずとも中身は着々と変わってきている、と越智氏は語る。その例として、シリコンバレーの自動車ベンチャーZOOX(ズークス)の開発する、ハンドルやペダルのない完全自動運転のEVタクシーの写真を紹介した。

「数年もすれば、このような自動運転車が当たり前のように既存の自動車に混じって走行するようになります。今はまさに第四次産業革命の時代で、ものすごい勢いで社会変革が起きているんです。この時代に新たに社会に出ていく学生さんたちがどれだけ大変なのかという話ですね」

また、日本の人口減少のグラフを示し、越智氏は次のように語る。
「史上初の人口減少へとまっしぐらに突き進み、なおかつ様々なツケが全て次世代へと先送りされていくという未曾有の事態が日本では起きています。また、世界はますます複雑化し、これまでの枠組みが全て破壊されていく構造になってきています。これからの社会問題は、既存のファクトをベースとした論理的思考では解決できません」

先の見えない変革のなかで、人間として、またビジネスパーソンとして、何を意識すべきか、どんなスキルが求められるのか。越智氏は、それは「リーダーシップ(意志を持ち、主体的に活きる力)」だと断言する。『IGNITION』はまさにその「リーダーシップ」の開発に焦点を当てた設計となっている。

「これからの日本を支えていく次世代人材たちに本質的なリーダーシップを体得してもらいたい。『IGNITION』に参加する学生さんたちに対して、全身全霊、魂を削って向き合うのが、我々社員やメンターの使命です。『自分を動かすリーダーシップ』、『周囲の人を動かすリーダーシップ』、そして『社会を動かすリーダーシップ』という三段階の最初の『自分を動かすリーダーシップ』の開発を、本気でサポートしたいという熱い思いで活動しています」

越智氏は、本セッションの冒頭で、「私たちは経営者・企業人事という立場を通じて次世代に何を送っていくべきか(Pay forward)」という問いを掲げた。これからの不確実な未来、どのように学生と向き合っていくべきかという問いだ。

「この問いに正解はありませんが、この会場にいらっしゃる皆様も含めて一人ひとりがリーダーシップを持ち、その姿勢を伝えていくことが大切だと私は思っています。もちろん、私個人も今後いろいろな形で活動を広げていくつもりです」

→第2回:次世代を育てるために、今、大学と企業がすべきこと へ

越智 敬之(株式会社IDOM BHRチーム 新卒ビジネス職 採用責任者)

1999年、大学在学中にWEB制作会社を起業。2002年に株式会社サイバーエージェントに入社し、多くの企業のデジタルマーケティング戦略・デジタルシフトのサポートに従事。2012年AOI Pro.入社。グループ会社ビジネスアーキテクツ(BA)の執行役員として事業再編・経営管理を牽引した。2015年には株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)に入社し、社長室にて新規事業を担当。現在は、新卒ビジネス人材採用責任者としてリーダーシップ開発や講演活動に邁進中。

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