人事採用業務の「課題」と改善方法とは?厳選した3つをご紹介
人事の採用業務は多岐に渡るため、「課題が山積み…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。大幅な時間がかかる上に、何がどう採用に結びついているのか特定するのが難しく、何を改善すれば目的の成果が得られるのかが不明という場合も多いです。
そんな採用業務の課題発見をし、「どこから手をつければいいのか」という状態を抜け出す改善方法を3つご紹介します。ぜひ自社の採用業務に取り入れて、満足のいく採用を実現してみてください。
目次
人事の採用業務・フローとは
人事の採用業務
人事の採用業務というのは、「どんな人を・何人・いつまでに・どんな方法で採用すべきか」という採用計画段階から、エントリー・書類選考・説明会・面接・内定・内定者フォロー・入社までの全体の業務を指します。
人事の採用フロー
それに対して、人事の採用フローは採用業務の流れを追った工程で、下記のようなものが一般的です。企業や新卒・中途などの採用によって、もっとフローが多い場合もあれば少ない場合もあります。
一度採用業務工数の整理をするために自社の採用フローとかかっている時間、成果として得られている人数・歩留まり率をまとめてみると課題が見えやすくなります。
・事業計画読み込み
・求める人材像の設定、共有
・採用計画の策定
・エントリー
・説明会(セミナー)予約受付
・説明会実施
・書類選考&筆記試験実施
・面接予約
・一次面接実施
・面接予約
・二次面接実施
・面接予約
・三次(最終)面接実施
・内定出し
・内定承諾
・内定者フォロー
・入社
・採用活動の振り返り
・定着への取り組み(新入社員研修など)
・翌年の採用計画を改善
このフローでいうとエントリー・説明会が母集団形成、説明会・面接・内定者フォローが選考・動機形成などにあたります。どの部分の歩留まりが悪く、それが後のフローに大きく影響しているのかを確認してみてください。
人事の採用業務・フローの課題
採用フローを詳細に書き出した後に、現在の採用業務での課題を書き出してみてください。下記3つの課題に当てはまるものが多い、と気がつく方も多いのではないでしょうか。
(1)社内で求める人材像のズレが生じる
意外に衝突が起こる部分となるのが、社内の各部署などで考える「求める人材像」のズレ。現場では「人手が足りず、教育なんてできない」と思っていても、全社の決定では事業計画に基づいて3~5年先を見据えた採用を行うことがほとんどです。
そうなった時にしわ寄せが来るのは現場の社員となるケースが多く、人手不足を長時間労働で埋めなければならないなどの問題が生じます。「今、即戦力が欲しい」という現場の意見を聞き入れながらどう対応するかは大きな課題です。
(2)ターゲットに合致しない採用業務を行っている
ターゲットを設定したものの、そのターゲットが自社の何に一番興味を持ってくれるのか、採用スケジュールはこのスピード感で合っているのか。伝える方法は説明会のムービーがいいのか、それともSNSでの発信がいいのかなどターゲット自体への理解がなければ、的外れな採用業務を行ってしまう可能性があります。
採用候補となる人は、世代も考えも自分とは異なる可能性があります。同じ企業に興味を持ってくれている人であっても志向が同じとは言い切れません。採用業務に関わるうちに、いつの間にかそれを忘れてしまうこともあるため、注意が必要です。
(3)人手と時間の不足
先に挙げた採用業務を見ればわかるように、非常に多くの業務が存在する採用活動。実際は説明会実施をするのに会場を借りる・スライドを作る・ムービーやパンフレットの制作をするなどさらに細々とした対応が必要となります。
見積もっているよりも採用業務が増えることもあるため、「作業だけで時間が終わってしまい、本来やるべきことに手がつけられずに時間が過ぎていく」という状況を迎えてしまわないよう注意しましょう。
人事の採用業務・フローの改善方法
ではこのような課題に対してどうやって改善していけばいいのでしょうか。具体的な改善方法を3つご紹介します。
(1)求める人材像の設定方法の設計
求める人材像は事業計画を実現するための人員計画として落としこんでいくため、理想論ばかりを見て現場の状況を加味できていないケースも多いです。そこで生じる問題を、現場に負わせてしまうことが問題になります。
人事がやるべきことは、現場の労働環境を改善する方法を実施することと、今回採用するべき人材像の理解を得ることの両輪を回すこと。これに納得してもらえないと、実際の採用活動で足並みが揃わない可能性もあります。
まずは現場が何に困っているのかを確認し、中途採用・アウトソース・その仕事をなくす・求める人材の採用を来年に回すなどの選択肢のなかから何が選べるのかを各部署の長を含めて話し合っておくことが重要です。お互いに納得できる状態を作れているかを念頭に置き、対応していきましょう。
(2)ペルソナ設定に基づいた採用フロー設計
ターゲットを設定した場合でも、「そのターゲットがどういう志向を持っているのか、仕事に何を求めているのか、スピード感はどうか」などを想像できていないと、せっかく自社の優れたポイントを打ち出しても、対象者は魅力に感じてくれないという可能性もあります。
そんな時におすすめなのがペルソナ設定です。ペルソナ設定は「どんな家族に囲まれた何歳。性別は◯◯で、どこに住んでいて趣味が◯◯で…」など、事細かに設定します。そうすれば、その「人」がどんな言葉に反応してくれるのか、自社の何に一番興味を持ってくれるのか、採用スケジュールはこのスピード感で合っているのかなどが判断できるようになるからです。
まずはペルソナ設定をし、それに基づいてすべての採用フローを設計することで、思い描いた求める人材像が採用できるようになります。また、採用に関わる人の共通認識として「その人」を認識できるため、人によって捉え違いがあるということも起こりにくくなるというメリットも。
(3)採用代行やテクノロジーで補完
人手や時間不足に関しては、採用代行やテクノロジーで補完するのがおすすめです。人事が作業に関わってしまうと、本来進めるべき面接官の教育や内定者フォロー、翌年の計画などが後手後手に回ってしまいます。
そうなってしまうと、常に作業に追われて分析もできずに翌年を迎えることになり、数年間の採用が計画通りに進まなくなる可能性があるのです。あくまで人事が行うべきなのは、全体の採用業務計画・社内での求める人材像を共通認識化すること・面接官教育・採用活動の振り返りと翌年の改善計画など、外に出さずに行ったほうが自社の知見になるもの。
採用を行う際はさまざまな採用業務がありますが、どの優先順位が高いのか、どこはアウトソースあるいはテクノロジーで補完すればいいのかは最初に判断しておくことが重要です。途中からもろもろ変更せずに済むよう、最初に採用業務の時間を計算し、アウトソースしたらどのくらいになるのか試算して計画に盛り込んでおきましょう。
まとめ
人事が行う採用業務は長期間・広範囲に渡るため、最初の計画がとても重要です。現状の採用フローと課題を書き出し、明確化。そしてご紹介した改善方法を用いて課題を解決してみてください。
経営陣も現場も人事も、そして入社してくれた人も満足できる採用活動と採用業務を行って、会社の発展に寄与していきましょう。