管理職研修とは?目的やプログラムの種類を解説
この記事では、企業の中核を担う管理職やマネージャー職が受ける「管理職研修」について解説します。従業員の管理や人材の育成に関わる管理職ですが、最初から必要なスキルが身に付いているわけではありません。研修や経験を積み、日々成長していく必要があるのです。管理職研修の目的や方法、プログラム内容を紹介しますので、自社の研修内容を見直したかった企業はぜひ参考にしてください。
目次
管理職研修とは?
管理職研修とは、企業の中核を担うマネージャーや管理職に向けた研修のことを指します。新人や中途採用者に向けた研修、部署ごとの研修などは、その目的や内容が想像しやすいです。しかし、すでに企業の風土や理念を理解し、チームをリードする立場でもある管理職は、一体どのような目的を持って研修を受けるのでしょうか。
管理職研修の目的
管理職やマネージャーは、現場のリーダーや業務の管理者として指揮を取ることが求められます。その指揮官である管理職が判断に迷ったり、指示できなかったりしたら、チーム全体が路頭に迷う可能性があるのです。業務を行うにあたり、そのような場面を生まないためにも、管理職やマネージャー職には、特別な研修や訓練を受けてもらう必要があります。
管理職にはどのような役割が求められるのか
管理職に求められる役割には4つの領域があります。
1.ビジョンマネジメント
管理職やマネージャーには、経営層や企業のビジョンを現場に浸透させる役割があります。ビジョンとは、企業の中長期的な到達点のことです。5年後、10年後の自社がどのようになっていて欲しいのかというイメージを社員に浸透させることで、企業がビジョンに近づくことができます。
2.戦略マネジメント
先に紹介したビジョンマネジメントを実現させるために、外部環境の把握やビジネスプロセスの最適化を行います。管理職やマネージャーが、ビジョンを実現させるための戦略を持っていないと、社員は何を目指して頑張っているのか、何を優先するべきなのかなどが分からず混乱してしまいます。現場が混乱することで、チーム力の低下や組織の優位性をなくす原因になるでしょう。
3.PDCAマネジメント
企業のマネジメントサイクルのひとつで、業務計画の策定や現場の問題解決について話し合うサイクルのことを指します。PDCAは、P(Plan:計画する)、D(Do:実行する)、C(Check:確認する)、A(Action:改善する)の頭文字をとった言葉です。これを現場で順番通りに進めることで、事業の目標へ近づいていくシステムになっています。
4.メンバーマネジメント
社員やチームメンバーの意欲向上や、能力向上のために行われる手法です。現場でPDCAを回すだけでは成果は出せません。社員自身がモチベーションやスキルの向上にアプローチすることで、よりPDCAの効果が発揮されるため、そのサポートとして用いられます。
管理職に求められるスキル
管理職は、上層部と現場をつないだり、社員の成長をサポートしたりする役目があります。管理職になって間もないと、それらのスキルが身についているとは言い難いため、研修を通して管理職のスキルを身につけていかなければなりません。
1.適切な指導や評価のスキル
管理職は部下の仕事を管理することだけが仕事ではありません。業務の適切な指導を行い、それを定期的に評価することが求められます。部下の成長を第一に考え、培った能力を事業に還元できるような指導をしたり、業務や業績を部下と一緒に振り返り、実りあるフィードバックを行ったりします。部下自身が今後の業務に生かしていけるようなサポート力が必要になるでしょう。
2.目標を設定するスキル
部下の特性やどの部分を伸ばすといいか、部署やチームの課題などを洗い出し、加味したうえで、部下の目標を設定することも、管理職やマネージャーの仕事です。
3.情報収集や共有のスキル
顧客のニーズや競合他社の現況などを知り、チームメンバーに共有します。また、部署内の情報を集め、理解し、チームメンバーのスキルや持ち味を理解することも、立派な仕事といえるでしょう。
管理職研修のプログラムの種類
一般的な管理職研修のプログラムについて解説します。
管理職研修
管理職としての基礎を学ぶ研修です。チームや部下を管理する側としての行動基準や、組織やヒトをマネジメントするうえでのポイントを学びます。
新任管理職研修
新しく管理職となった人に行われる研修です。管理職としての仕事の始め方や役割を遂行するための方法を詳しく学びます。初めのうちは、管理職として部下とどのように接するべきなのかわからず、戸惑う新任管理職も多くいるため、管理職という立場ついても学び、理解する必要があるでしょう。
上級管理職研修
管理職のメインの仕事であるリスク管理や組織デザイン、業績拡大などにプラスして、経営的視座を持った数字の読み方、組織マネジメントの手法、リスクマネジメントなどを学ぶ研修です。IT化やグローバル化が叫ばれる今、管理職の役割は従来よりも広がっているため、現場のマネジメント力をいかに高めるかが重要になっています。
チームビルディング研修
管理職としてチームワーク力を向上させるための手法を学びます。オーナーシップ意識やチーム内の適度なコミュニケーションを促進する方法を学び、チームワークを高めていくのが狙いです。チームワークやコミュニケーションは、チームや企業の生産性に関わるため、昨今注目されている研修といえるでしょう。
管理職研修はいつ行うのがベスト?
管理職研修は、配属後少し経った5〜6月ごろや、人事異動が活発になる時期に行うのがいいでしょう。実務を通して、管理職になった自分に足りない知識やスキルを知ったうえで受講するのが望ましく、効果的に学べます。
ただ、人材戦略を担うポジションは事業戦略に欠かせない存在のため、時期を問わず、1年中行われるのが理想です。
管理職研修の注意点
最後に、管理職研修を行ううえでの注意点を解説します。効率的に管理職研修を受けてもらい、企業の生産性の向上につなげましょう。
具体的に「自分ごと」として研修を受けてもらう
管理職研修に関わらず、研修を「受けること」だけを目的にしてしまう人がいます。それでは意味がないので、必ず自分は管理職としてどの部分を伸ばしたいのか、何が苦手なのかなどの意識を持ってもらい、目的に沿って研修を受けてもらうよう、社員に意識してもらう必要があります。
研修後のフォローを忘れない
管理職研修もほかの研修と同じく、研修後のフォローが重要になります。「受講しただけ」にしないために、レポート提出やアンケートなどを通して、定期的に研修内容を振り返るようにしてみましょう。また、研修を受講する前には、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後にはどのような管理職になっていたいか、目標を立ててもらうのも効果的です。
管理職研修で「迷わない」管理職を育てよう
管理職は、管理者や社員としてだけではなく、経営側の視点も必要になるポジションです。今までのいち社員として業務にあたってきた人材にとっては、とてもプレッシャーがかかるポジションチェンジといえるでしょう。企業や部署としては、管理職についた人材も、部下になる社員も業務に迷いが出ないよう、しっかりとした研修を行うようにしましょう。