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個人の能力を引き出す「エンパワメント」。メリットや導入方法、導入事例を紹介

権限を与えるという意味を持つエンパワメント。ビジネスシーンでは社員に権限を与え成長させるための考え方として用いられます。この記事では、エンパワメントのメリットや課題、導入時の手順・注意点についてをご紹介します。

エンパワメントとは

エンパワメントは(empowerment)、“権限を持たせる”や“自信を与える”という意味を持ち、ビジネスシーンでは力や権限を社員に与え、個人の能力を最大限に発揮させるという考え方のことを指しています。エンパワメントは「権限委譲」や「能力開発」とも言われ、社員を自発的に行動できるような人材に成長させる目的があります。

エンパワメントはもともとアメリカの黒人運動や公民権運動などをきっかけに提唱されてきた考え方です。平等な社会を実現し、社会的弱者が自分自身で生活をコントロールできるようになることが目的とされていましたが、ビジネスシーンでもこの考え方を取り入れることで、より企業が成長できるとされたことで注目されるようになりました。

さまざまな分野で使われるエンパワメントの概念

エンパワメントは、福祉や看護、教育などさまざまな分野で使用されています。ここでは、各分野ごとの概念をご紹介します。

看護や介護におけるエンパワメント

看護や介護などでのエンパワメントとは、患者や介護が必要な人が自発的な力を持ち、最終的に自分の生活や環境をコントロールできるようになるよう支援することとされています。

教育におけるエンパワメント

教育におけるエンパワメントは、教育者が一方的に知識を教えるのではなく、子供達と一緒に問題解決していき、それぞれが本来持つ力を発揮しやすくしたり、自発的に考えられるような人間になるよう教育する、という考え方とされています。

障害者福祉におけるエンパワメント

障害福祉でのエンパワメントは、障害のある人が本来持つ能力や権限を発揮できるようにサポートし、個人が自主的に行動できるようになることが重要とされています。これまでの障害を持つ人は保護すべきという見方は、逆に「自立」から遠ざけているのではないか、という問題が挙がったことでこの考え方が生まれました。

エンパワメントが注目される背景

エンパワメントは企業の成長に役立つとして注目されていますが、主な理由は以下になります。

1. 現場に判断を任せることで意思決定のスピードを高める

IT業界の急速な発展などから、業務のスピードが効率化され、スピーディーな意思決定が求められる場面が多くなりました。従来の上層部がすべての権利を持ち判断を下すという方法では、世の中のスピードについていけず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうということもあるでしょう。一部の権限を現場に委譲し意思決定のスピードを高め、企業を成長させることが必要になります。

2. 社員の育成を効率化させる

人材不足と言われる現代、社員の教育や採用に頭を抱えている企業も少なくないでしょう。若手社員に決定権を与えることは、自発的に考えられるようになったり責任感が高まることが期待されます。社員育成の効率化を図るためにもエンパワメントは重要な取り組みと言えます。

エンパワメントのメリット

エンパワメントの実践は企業の成長につながると紹介しましたが、実際にさまざまなメリットを得ることが期待されます。ここでは企業や社員が得られる3つのメリットをご紹介します。

1. 業務の生産性が上がる

先ほどもご紹介しましたが、ある程度の権限を委譲することで社員は意思決定を早く行なえるようになります。いちいち上司の判断を待つ必要がないので、業務スピードが上がり生産性の向上も期待できるでしょう。

2. 社員の責任感が上がる

自分で判断するということは、上司に言われて行ったことよりも当然責任が重くなります。社員は権利を得ることで、責任感が強まるだけでなく、失敗がないよう自ら考えるようになるので、意思決定能力も身につくでしょう。

3. 業務に対してのモチベーションが上がる

上司に言われたことをただ行うだけでは、社員はただの作業者になってしまいます。自分で判断できる内容が増えれば責任感も高まりますが、同時にモチベーションのアップにも繋がります。自発的に行った業務で成果が出れば、より業務に対しての意欲も向上するでしょう。

エンパワメントのデメリット・課題

多くのメリットが得られるエンパワメントですが、デメリットや課題もいくつかあります。

1. 組織の方向性や目的とズレてしまうことがある

社員が個人で判断できるようになるということは、企業が考えている目標や方向性とはズレが生じる場合があります。たとえば顧客に対しての対応が人によってバラバラだった場合、クレームに繋がってしまうこともあるでしょう。エンパワメントを取り入れる際は、判断基準やどこまでの権利を与えるかを明確にしたり、企業の理念をしっかり共有しておく必要があります。

2. トラブルが発生し、生産性が下がることもある

知識や経験が浅い社員は、誤った判断をしてトラブルを起こしてしまうこともあるでしょう。この場合もどの社員にどこまでの権限を与えるかを決め、必要な場合は上司がフォローすることが大切になります。

3. 権利委譲がストレスになってしまう場合もある

メリットの項目で権利委譲は社員のモチベーションアップに繋がるとご紹介しましたが、そうでない人がいることも理解しておくことが重要です。社員のなかには、上司に言われた内容をこなすことに慣れているため、すぐには意思決定ができなかったり責任感の重さにストレスを感じてしまう人もいるでしょう。導入後は、定期的に面談を行うなど様子を伺いながら継続しましょう。

エンパワメントの実践手順とポイント

1. エンパワメントの導入予告と企業理念の拡散

エンパワメントを導入する場合、まずは社員に対してエンパワメントの概要や必要性、社員や企業、双方にどのようなメリットがあるのかを伝えましょう。そして同時に個人の意思決定を行う際必須になる、企業の経営理念をしっかりと共有し、認識のズレが生じないようにしておきましょう。

2. 目標の設定

つぎに社員が権限を持つことによる目標の設定を行いましょう。他企業の導入事例などを交えながら、企業が期待している像やレベルについて、社員の共感を得ながら決めていくことが重要です。

3. 権限委譲

目標が決まったら実際に権限委譲を行います。各社員、裁量の範囲をしっかり決めてトラブルが起こらないようにしましょう。社員を信頼しているという姿勢を見せることも大切ですが、【権限が付与される=自由に判断して良い】という認識をされないよう注意しましょう。

4. 定期的な確認

導入までのフローが完了したら、上司は定期的な確認を行いましょう。基本的には自由に判断させることが重要ですが、自主的に行動ができているか、大きなストレスの原因になってないかなどを見極め、必要な支援を行いましょう。

エンパワメントを実施するうえでの注意点

1. 責任放棄しない

エンパワメントによって社員に権限が付与されていても、大きなトラブルが起きてしまった場合などは決定権を付与した上司に責任があると考えるのが一般的。部下が犯してしまったミスに対してはしっかりと責任を持ち、再犯防止のためにフォローすることが大切です。

2. 社員との信頼関係をしっかりと築いておく

エンパワメントは、上層部と社員の間に信頼関係が築けていないとうまく成り立ちません。権限委譲後はあれこれ口出しせず信頼している姿勢で見守り、本当に助けが必要なときにフォローするようにしましょう。

エンパワメントを導入している企業例

星野リゾート

全国各地に宿泊施設を展開しているリゾート運営会社、星野リゾートはエンパワメントを導入している企業のひとつ。従来のトップダウン方式をやめ、従業員が自ら考え行動できるエンパワメントを導入したことで、それまで課題となっていた社員の離職を防ぐことに成功。さらに社員のモチベーションが顧客満足度に比例するという社長の考えから、キャリアや働き方・休みにも自由度を与えられたりフラットな組織作りが行われているそうです。

参考:第4回 スタッフのモチベーションを上げるさまざまな自由。エンパワーメント理論は覚悟を決めてやり抜くことが必要。

リッツカールトン

高級外資系ホテルリッツカールトンでも、エンパワメントが取り入れられています。リッツカールトンでは、従業員全員に一人一日2,000ドルの決裁権が与えられいるそう。各従業員は上司の承認なしに、2,000ドルを使用できるので、困っている顧客へのサポートやリクエストやに瞬時に対応できるようになります。企業と従業員に絶対的な信頼関係がなければできない事例ですが、世界最高峰のサービスはこうして生み出されているようです。

参考:リッツ・カートンにおけるナレッジ・マネジメント

エンパワメントを上手に取り入れよう

エンパワメントは、きちんとしたフローで進めればたくさんのメリットを得ることができます。社員のモチベーションアップや生産性の向上は、企業の成長には欠かせない項目。従業員との信頼関係を深め、企業全体のパフォーマンスを向上させましょう!

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