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差別を是正するアファーマティブアクション。企業が得られるメリットや課題を解説

差別を受けている弱者に対して救済を行うアファーマティブアクション。社会的に取り組まれている措置ですが、実はビジネスシーンにおいても重要視されており、実際に取り組んでいる企業が増えています。この記事では、アファーマティブアクションの歴史や世界から見た日本の現状、企業や取り組む際のメリットや課題点などを解説します。

アファーマティブアクションとは?

アファーマティブアクションとは社会的に差別を受けている人を救済することで、日本語では「積極的各社是正措置」や「積極的差別是正措置」と訳されます。

ポジティブアクションとも言われるこの措置は、黒人や女性、障害者など歴史的に差別を受けてきたマイノリティな人々が、多数派と同じような生活ができる社会作りをすることが目的とされています。日本では特に雇用における男女格差の改善が重視されています。

アファーマティブアクションの歴史

アファーマティブアクションは、1964年当時アメリカ大統領だったリンドン・ジョンソン氏が「公民権法だけでは、これまで差別されてきた人々の平等を保障するには不十分である」としたことから、「補償的措置」としてアファーマティブ・アクションの実施を求めたことが始まりとされています。

参考:アファーマティブ・アクション史ノート|大阪大学文学部西洋史学研究室

アファーマティブアクションの現状

世界経済フォーラムが2018年12月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2018」を見ると、世界に比べて日本のアファーマティブアクションが遅れていることがわかります。

ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)とは、経済、教育、健康、政治の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等とされています。

2018年の日本の総合スコアは0.662、順位は149か国中110位でした。前年の144か国中114位という結果からは、スコアが上昇していますが、主要先進7ヵ国(アメリカ合衆国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ)のなかでは最下位という結果になっています。

ジェンダー・ギャップ指数(2018)
上位国及び主な国の順位

GGI(2018)各分野の比較

参考:共同参画 2019年1月号|内閣府男女共同参画局

企業がアファーマティブアクションを行うメリット

アファーマティブアクションを行うと企業は以下のようなメリットを得ることができます。

1. 女性のキャリアアップにつながる

アファーマティブアクションを行えば、女性が活躍できる場を増やせるようになります。これにより女性は仕事へのモチベーションが高まり、スキルアップや生産性の向上も期待できるようになるでしょう。

2. 人手不足の改善が見込める

会社の環境次第では、結婚や出産を機に退職してしまう女性は少なくはないでしょう。結婚や出産後でも働きやすい環境を作ることで、女性の退職率が減り、人手不足の改善も見込めます。

3. 女性視点のアイデアが生まれる

マーケティングの世界では「消費行動に関わる決定権は女性にある」と言われています。アファーマティブアクションを取り入れれば、女性は会社で意見を出しやすくなるので、社会のニーズを満たせるようなアイデアも増えるでしょう。

アファーマティブアクションの課題

アファーマティブアクションは、社会のなかでの差別をなくすための措置とされていますが、この取り組みによって問題が起きてしまうことも。ここでは課題をご紹介します。

1. 救済することが逆に差別になってしまう

これまで差別を受けてきた人に対しての救済を行うアファーマティブアクションですが、優遇しすぎてしまうと反対にそれが差別になってしまうのではないかということが問題視され、これは逆差別と呼ばれています。

例えば、企業の採用を行う際に、男性の方が実力が上回っていても女性の採用枠に空きがあった場合は、女性を採用するというパターンなどが考えられます。

2. 多数派への差別につながる

少数派への救済が、多数派への差別につながってしまうという問題もあります。

アメリカではこれまで差別されてきた黒人に対して優遇する制度などが多く設けられていますが、これにより反対に白人が権利を奪われているという意見も出てきているのです。企業においても、女性を優遇するあまり男性からの不満が生まれないよう、社員に目的を理解してもらうことが大切です。

日本や海外で取り組んでいるアファーマティブアクション

日本

日本行われているアファーマティブアクションのひとつに「男女共同参画基本計画」があります。以下5つが基本理念として定められており、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」ことが目標とされてきました。

(1)男女の人権の尊重
(2)社会における制度又は慣行についての配慮
(3)政策等の立案及び決定への共同参画
(4)家庭生活における活動と他の活動の両立
(5)国際的協調を掲げ、次いで、国、地方公共団体、国民の責務

主な取り組みとしては「女性に対する暴力の根絶」「女性の活躍促進」「女性の健康支援」などがあります。日本のアファーマティブアクションでは、特に男女の対等性が重要視されています。

海外

アメリカでは、採用試験や入試の場で「クオータ制」というアファーマティブアクションが行われています。これは、合格者の一定の割合をマイノリティに割り当てるという制度で、あらかじめ割り当てを行うことで差別をなくす目的があります。

教育機関や企業における多様性を確保できるというメリットもありますが、ここでもこの制度により白人や男性が就職や入試の合格がしにくくなったという逆差別の声が上がっているようです。

ポジティブアクションの取り組み事例

多くの企業で実施されているポジティブアクション。ここでは、日本の企業で実際に行われている取り組みをご紹介します。

株式会社 資生堂

大手化粧品会社の資生堂では、人材をフル活用するために男女共同参画に取り組んでいるそう。①男女共同参画の概念を社内に浸透させ、社員の意識と行動変革を求める風土の醸成、②女性の経営参画の加速を視野に入れた女性リーダーの育成・登用、③ワーク・ライフ・ バランスの実現 を3つの柱とし、「男女共同参画行動計画(第 1 次・第 2 次)」を推進しています。この取り組みにより、女性リーダーは以前の2倍に増え、勤続年数も男性との差がなくなりつつあるそうです。

企業データ

従業員3,870人
(男性1,923人、女性1,947人)
平均勤続年数:男性18.4年、女性17.5年

生活協同組合 コープとうきょう

小売業を営むコープとうきょうは、パートアルバイト職員の8割が女性。顧客も女性が多いため男女平等参画への取組は欠かせないものとされています。2001 年には、男女平等参画をより進めるために労使共同検討委員会を設置し、女性採用拡大、女性幹部の育成と登用などに取り組んでいるそう。これにより、女性正規職員の平均勤続年数は 10 年前と比較し 0.7 年と伸びていたり、女性店長やチーフの数も増えているそうです。

企業データ

従業員1,351人(男性1,181人、女性170人)
常用パート・アルバイト5,835 人
平均勤続年数:男性14.9 年、女性9.8 年

誰でも気持ちよく働ける環境作りが重要

企業でアファーマティブアクションを取り入れる場合は、目的や手段を社員へしっかりと共有することが大切です。女性だけでなく男性も含めた社員全員が気持ちよく働ける環境作りを心がければ、アファーマティブアクションの効果が最大に発揮できるでしょう。

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