外国人労働者は増えている!受け入れるメリットや問題点を解説
少子化やグローバル化が進むなか、企業では外国人労働者の採用が増えています。これからますます少子化や人材不足が進むことを見越して、外国人の採用を積極的に考えている企業も多いはずです。では、どのような準備や対応が必要なのでしょうか?この記事では、外国人労働者を受け入れる流れやメリット、デメリットなどを紹介します。
目次
外国人労働者の採用は増えている。その理由とは?
外国人労働者とは、外国籍を持つ労働者のことを指します。1年未満だけ滞在して働く「季節労働者」、家族と定住して暮らし働く「移住移民労働者」、国を跨いで通勤する「国境労働者」などがいます。「日本は外国人労働者を受け入れない国」だとよく言われたものですが、ここ数年は増加傾向にあるのです。
その理由に、以下6つが要因として考えられます。
1.高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいる
2.技能実習生の受け入れが進んでいる
3.「特定技能」の資格が新設された
4.技能実習生の受け入れが進んでいる
5.インバウンド需要の拡大
6.優秀なITエンジニアの需要が高まっている
日本は、事業の国際化や企業の海外進出、業務のIT化などが進んだことで、マルチリンガルな人材やITの分野で優秀な人材が不足している状態でした。そこを補う存在として、外国人労働者が求められているのです。
特定技能とは
上記の3.の「特定技能」についてご存知でしょうか?特定技能とは、2019年4月1日から始まった、新しい在留資格制度のことです。人手不足解消のための人材確保という目的で発給されるビザで、1号と2号という種類があります。
1号に比べ、2号のほうが求められる技術力やビザの取得難易度が高いですが、
・在留期間の制限がない
・家族にも在留資格が与えられる
・日本語力不要
という特徴があります。
技能実習とは
技能実習とは、日本の企業が外国人実習生を受け入れ、業務のなかで習得した技術や知識を、最終的に母国の発展に生かしてもらうことを目的に与える在留資格のことを指します。
特定技能との違いは、
・研修が目的であること
・転職は不可
・受け入れ国に制限なし
などです。
技能実習や特定技能は、そもそもの目的や条件が異なることを覚えておきましょう。
外国人労働者を受け入れる流れ
では、実際に外国人労働者を受け入れる、大まかな流れを紹介します。
1.募集
まずは募集です。募集の方法はほかの採用時と変わらず、自社のホームページや求人情報サイト、ハローワークなどを通じて行います。外国人専用の求人サイトや派遣会社というものもありますので、適宜利用するといいでしょう。
また、学校や社員の紹介などを受けるリファラル採用、SNSを通じてアプローチする方法も一般的になりつつあります。
求人関係の書類は英語、もしくはそのほかの多言語で作成する必要があります。
2.在留資格の確認
外国人候補者の在留資格によっては従事できない業務があります。応募があった場合は、まず職務経歴書や履歴書の確認と一緒に、在留資格についてもチェックするようにしましょう。
3.面接
最低限の日本語力があるのか、日本のほかの場所で働いたことがあるかといった経歴について確認しましょう。また、外国と日本とでは、待遇や評価制度に大きな違いがあります。その点について説明し確認を取り、入社後のミスマッチを防ぐようにします。
4.内定&雇用契約書の作成
採用したい人が見つかったら、雇用契約書を作成します。日本では、雇用条件は口頭で確認し、後々作成するケースが多いですが、海外では最初から書面にしなければなりません。
外国人向けの雇用契約書の内容は日本語のものと同じで問題ありませんが、多言語で作成する必要があります。ネットで検索するとサンプルが出てきますので、ぜひ参考にしてください。
5.就労ビザの申請と審査、変更
雇用契約書の手続きが終われば、就労ビザの申請や変更を行います。内定者の条件によって必要な申請が異なります。
日本にいる外国人の場合は現在の在留資格と新しいビザへの変更、外国から採用する外国人には、在留資格認定証明書の交付し本人が大使館や領事館でビザを取得するという流れになります。
6.入社手続き
企業の規模やビザの種類によっても異なりますが、審査結果が出るまで2週間〜1ヶ月かかります。その間に、入社の準備を進めましょう。準備の例としては、住居や携帯電話、航空券などの手配、研修カリキュラムの作成などです。
7.雇用開始
就労ビザが取れれば、雇用開始です。業務に関することはもちろん、日本での生活のサポートをしながら、就労を支えるようにしましょう。
外国人労働者を受け入れる4つのメリット
外国人労働者の力が必要になっていることは説明しましたが、受け入れるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
1.人材不足が解消できる
少子化や企業と応募者とのニーズが合わず、人材が集まらない企業や業種があります。それを解消するために、外国人労働者を受け入れているケースが多くなっています。
2.社員のコミュニケーション能力の向上する
日本語が堪能な外国人労働者を受け入れるケースもありますが、ほとんど話せないまま労働することになる人もいます。よって、業務の説明や研修では、より詳しく伝えることが求められます。
どうすれば伝わりやすくなるのか考える機会が増えるため、社員同士のコミュニケーション能力がアップするでしょう。
3.新しいアイデアが生まれやすくな
人種や文化、言語など、多様な価値観を企業や部署内に持ち込めます。日本人的な視点だと考え付かなかったアイデアや展開などが考えやすくなるでしょう。
4.企業の海外進出の足掛かりになる
マルチリンガルスキルを持った人材の採用は、海外企業とのビジネスチャンスの創出につながります。今後、企業の海外進出を考えている場合、外国人労働者の存在は力になるといえるでしょう。
外国人労働者を受け入れる4つのデメリット
今まで外国人労働者を受け入れてこなかった企業では、受け入れるメリット以上にデメリットが気になるのではないでしょうか?外国人労働者を受け入れることで考えられるデメリットは、
1.就労ビザの手続きの難しさ
2.労務管理の問題
3.日本人社員との価値観の不一致
4.研修期間の長さ
の4つです。
デメリットではありますが、異文化や外国人と共に働くことへの理解や知識を深めていくことで解消できるはずです。
外国人労働者を受け入れるうえでの問題点や課題
外国人労働者を受け入れるうえで、避けて通れない問題点や課題があります。
外国人労働者に対する差別
日本人だとわからない部分も多いのが、外国人労働者に対する差別です。差別やパワハラと取られるような言動には注意しましょう。
日本人との待遇の格差
人材不足を補う要因としてだけ考え、外国人労働者を扱う企業なども存在します。よって、低賃金や不定期な休日など、日本人労働者は受け入れないような待遇を押し付けることも。長く働いてもらうためには、日本人と同等の待遇や環境を整える必要があります。
不法就労
在留資格がなかったり、在留期間が過ぎたりした外国人労働者を「不法就労者」と呼びます。不法就労者を雇うことがないよう、在留カードの資格や期間などをチェックするようにしましょう。
外国人労働者の採用を実施している企業の事例
外国人労働者を採用している企業の事例を紹介します。
株式会社メルカリ
フリマアプリを提供している株式会社メルカリでは、エンジニアを中心に外国人の採用を積極的に行なっています。ビザの取得や家探し、語学学習のサポートなどに加え、英語に堪能な社員がパートナーとなり、日本での生活を支援する「バディ制度」や、社食ではイスラム教徒向けのハラール食を提供し、外国人社員の社内外での生活をトータルでサポートしています。
株式会社HENNGE株式会社
外国人エンジニアが多数所属するSaaS企業、株式会社HENNGE(へんげ)。会議やチャットなど、外国人社員が参加する場では原則英語でのやり取りが行われます。また制度以外に、日本人社員と外国人社員とで対応を変えない、やって欲しいことがある場合はきちんと口頭で伝えるようにする、といった外国人と共に働くことの心得を社員で共有し、人種に関わらず働きやすい職場の実現を図っています。
労働環境を整えて外国人労働者を受け入れよう
外国人労働者を受け入れるには、日本人も外国人も気持ちよく働ける労働環境が必要です。就労ビザが取得できるまでの道のりは長いため、実際に雇用するまでの期間に受け入れの準備をしっかりとし、お互いの心配事をなくした状態で受け入れましょう。