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人事担当者なら知っておきたい「3年後離職率」とは?計算方法や離職率を下げる対策をご紹介

人事担当になると”離職率”という言葉だけでなく、”3年後離職率”という言葉を耳にすることはありませんか?言葉の通り入社3年以内に離職した人の割合を指しており、現状は3人に1人が3年以内に退職しています。今回は、3年後離職率の計算方法や離職率を下げる方法などをご紹介します。

3年後離職率とは

「3年後離職率」とは、新卒入社をした社員の3年以内の離職率を示す指標のことを指します。離職率が低ければ働きやすい企業であると判断することができ、各社の人事担当も意識しなければならない数値です。

厚生労働省が2020年10月に公開した調査によると、新卒入社をした社員の離職状況(2017年3月大学卒業者)は、32.8%で前年よりも増えた数値となります。このことから企業の離職率が30%以上を超えてしまうとと、改善しなければならない数値の基準とも言われています。

・なぜ”3年”という期間なの?

ここで疑問に思うのが、なぜ3年というボーダーラインなのかということです。労働問題や労働政策を調査研究をしている労働政策研究・研修機構によると、初めて就職した会社の離職理由が、1年未満の人と3年以上の人では変化するという調査結果がでています。

就職して1年未満に退職した人は、「人間関係や労働条件が良くなかった」という理由での退職が大幅を占めています。一方3年以上勤務して退職した人は、上記の理由での割合は少なく、「結婚や子育てのため」や「会社に将来性がない」という離職理由が多いとされています。就職をしてから一定期間が立つ離職理由には、ライフプランに合わせた仕事選びをしているという事がわかります。

つまりライフプランとは関係ない理由で離職する理由が多い企業は、企業の職場関係や労働条件に問題がある可能性が高いという見解ができます。そのため”3年”という期間が鍵となるのです。

3年後離職率の計算方法

自社の3年後離職率を知っておくことが非常に大切です。場合によっては改善策を講じる必要があるからです。改善計算方法は下記のとおりとなります。

3年後離職率=新卒入社の離職人数÷採用年度に入社した新卒入社社員数×100

例:2018年4月1日に入社した新卒社員10名のうち、2名が2021年4月1日(3年後)までに退職した場合の離職率→2名÷10名×100=20%

3年離職率の平均

厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、大学卒業後3年以内の離職率は32.8%、高校卒業が39.5%となっており、下記の表でもわかるように事業所規模によっても離職率が変動していることがわかります。

・事業所規模別 大卒・高卒者の就職後3年以内離職率

事業所規模 大卒 高卒
1,000人以上 26.5% 27.4%
500~999人 29.9% 32.5%
100~499人 33.0% 38.1%
30~99人 40.1% 46.5%
5~29人 51.1% 55.6%
5人未満 56.1% 63.0%

参照:新規学卒就職者の離職状況|厚生労働省

また、離職率は事業所規模のみならず業種別で見ても異なることがわかります。

・業種別 大卒・高卒者の就職後3年以内離職率が高い業種上位5種

業種 大卒 高卒
宿泊業・飲食サービス 52.6% 64.2%
生活関連サービス業・娯楽業 46.2% 59.7%
教育・学習支援業 45.6% 55.8%
小売業 39.3% 49.5%
医療・福祉 38.4% 47.0%

参照:新規学卒就職者の離職状況|厚生労働省

宿泊業・飲食サービスは、大卒・高卒ともに半数以上が3年以内に離職していることがわかります。祝日や土日がかき入れ時な職業は、休日を取得しづらかったり、他の業種に比べて長時間労働であることから離職率が高い傾向にあると言えるでしょう。

離職率が高いことで起こる問題

・採用や教育コストが無駄になる

企業は新入社員たちが長期的に会社に貢献してくれることを見越して、採用活動に時間とコストを費やしています。早期退職をされてしまうと、採用や教育にかけたコストが無駄になってしまい、新しい人材を確保するのに一からコストをかけなければなりません。

・人材確保に難航する

現代の日本では少子高齢化に伴い、労働人口が大幅に減少しています。そのため労働市場では人手不足が慢性化しており、新たに人材を採用することが難しくなってきています。また、離職率の高い企業は、就職希望者から敬遠されがちなため、離職率を下げることが、企業ができる第一歩の取り組みと言えるでしょう。

離職率が高まる原因

・労働時間や休日の条件に不満がある

「就職前に聞かされていた労働時間より長い」というケースや、「月8日休めると聞かされていたのに実際には月4回しか休めない」などというケースが多くあります。プライベートの時間や休息する時間が削られると、体力的ダメージだけでなく精神的ダメージにも影響してくるでしょう。

・十分な給与でない

自分の働いた対価に見合わない給与である場合も、退職理由に繋がる可能性があります。「業務内容に比べて給与が少ない」「同世代と比べて給与が低い」などという理由から働くモチベーションが低下してしまうという恐れがあります。

・職場での人間関係がよくない

新入社員に限らず、職場の人間関係がうまく言っていない環境で仕事を続けていくのは精神的に非常に辛いでしょう。自分が成果を出したときに喜びを分かち合える仲間や、何かあったときに相談できる上司がいれば問題ありませんが、孤立をしてしまうと精神面や業務のパフォーマンスに大きく影響を与えます。

・ストレスが大きい

新入社員は入社前とは異なる環境に飛び込むため、日常の変化やノルマのプレッシャーでストレスを感じる若者もいます。社会人としての業務は、学生時代の論文や勉強とは違う苦難があるため、入社前後のギャップを理由に退職してしまう人も多くいます。

・キャリアアップするため

仕事をして2~3年経ち業務に慣れ始めると、自分のやりたいことやキャリアビジョンについて考え始める人も増えてきます。キャリアアップを目標として3年で見切りをつけ、ポジティブな退職する人もいます。

離職率を下げる方法

・社内コミュニケーションを活発化させる

社内のコミュニケーションが減少すると、職場の雰囲気が悪くなるだけでなく、仕事のパフォーマンスが低下する恐れがあります。チームで飲み会を実施したり、部活動を設立させたり、1on1ミーティングを設けるなど、会社側から社内コミュニケーションを促進させる機会を設けましょう。

・働き方を見直す

ここ最近ではワークライフバランスが重要視されており、仕事だけでなくプライベートの時間を大切にしている人が増えてきています。通勤時間を削減するためにテレワークを導入したり、始業・就業時間を自由に決められるフレックスタイム制を導入するなどして、従業員の働き方に選択肢を与えることで、従業員エンゲージメントも高まっていくでしょう。

・採用のミスマッチをなくす

給与の少なさや労働時間が長いことから、事前に認識していた情報とミスマッチが起き3年後離職率が高まってしまうことがあります。就職セミナーや面接時にしっかり労働条件について説明し、お互いの認識を合わせることで、採用のミスマッチを減らすことができます。

3年後離職率を改善するために

新入社員が早期退職をすると「近頃の若者は我慢が足りない」と考える人も一定数いると思いますが、離職理由を社員だけのせいにするのではなく、自社にも問題ないかどうか環境を整える努力が必要です。3年後離職率はあくまで判断材料のひとつに過ぎませんが、まずは自社の3年後離職率を算出してみてはいかがでしょうか。

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