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コーポレートガバナンスとは?目的や取り組むことで得られる効果などを解説

企業の不正があったときに、テレビのニュースや新聞で見かける「コーポレートガバナンス」という言葉。耳にしたことはあり、意味は何となく理解しているつもりだけれど、実際にはどのような取り組みなのかを知っている人は少ないかも知れません。この記事では、コーポレートガバナンスという言葉の意味や目的、取り組むことで得られる効果などを解説します。

コーポレートガバナンスの意味

コーポレートガバナンスとは、企業の管理監督の仕組みのことを指します。「企業統治」と訳されることも。

株式会社は株主が企業の所有者で、経営者に経営を委任する形で運営されています。株主は経営に直接タッチするわけではないため、内部で何が行われているのかわかりません。もし不正が行われていても気づけないので、コーポレートガバナンスの仕組みで管理する必要があるのです。ただし、法的に定められている制度や取り組みというわけではありません。

「ガバナンスが効いている」「ガバナンスが働いていない」といった使い方をします。

コーポレートガバナンスと内部統制の違い

内部統制は、企業が社員に守ってもらいたい社内ルールのことを指します。内部を管理する仕組みであるコーポレートガバナンスを形成するうえで欠かせない取り組みのひとつです。

コーポレートガバナンスとコンプライアンスの違い

コンプライアンスは「法令遵守」と訳されるビジネス用語です。法令以外にも、「社内規範」「社会規範」「企業倫理」なども含まれます。

コンプライアンスを働かせるためには、コーポレートガバナンスを効かせる必要があります。例えば、企業内で不正が起こってしまった場合は、ガバナンスが働いていない状況で、コンプライアンス違反を起こしていると言えるでしょう。

コーポレートガバナンスの目的

企業の管理監督の仕組みであるコーポレートガバナンスの目的には、以下の3つがあります。

1.企業の不正を防ぐ

コーポレートガバナンスの取り組みには、社外取締役や社外監査の設置なども含まれます。そうした管理監視体制の強化を行うことができるため、社内で発生する不正や不祥事を予防する効果が期待できます。

不正や不祥事は、株主やステークホルダー(顧客、取引先、社員など利害関係者)の利益を損ねることにもなり、企業の立場も危うくします。コーポレートガバナンスにしっかり取り組むことで、情報や企業についての透明性を深め、不正や不祥事のない組織づくりが可能です。

2.企業価値の向上

コーポレートガバナンスに取り組み、経営や財務状況などの情報の透明性が高い企業は、社会的な信用を得られやすく、企業価値を向上させることができます。

金融機関からの信頼も厚くなるので、出資・融資なども受けやすくなるでしょう。財務状況もよりよくなり、経営状況を安定させることが可能です。

3.株主やステークホルダーとの交流・対話

企業の運営には、株主やステークホルダーの協力が欠かせません。株主や投資家、ステークホルダーとの建設的な交流や対話を通して協働を行っていく必要があるため、コーポレートガバナンスに則り、偽りない対話や情報共有が必要になります。

コーポレートガバナンスが注目されている理由

コーポレートガバナンスという言葉が注目を集める背景には、企業の不正が増えていること、経済のグローバル化などが挙げられます。

バブル崩壊以降、不正会計や品質チェック問題、社員や従業員の時間外労働など企業不正が明るみになるケースが増えました。理由は短期志向の株主が増えたこと、成果主義が浸透したことが挙げられます。不正や不祥事は、企業の信頼だけではなく、ステークホルダーや株主の利益も損ねる事態になりかねません。よって、コーポレートガバナンスを強化する、注目する動きが強まったと言えます。

また、経済のグローバル化に伴い、資金も海外から調達する機会が増えました。グローバルな経営を行ううえで、コーポレートガバナンスに基づいた透明性の高い説明や経営が求められています。

コーポレートガバナンス・コードとは

コーポレートガバナンスには法的な決まりや縛りはありませんが、コーポレートガバナンス・コードというルールが存在します。

コーポレートガバナンスコードは、企業の行動規範の指針として金融庁、東京証券取引所が取りまとめて作ったガイドラインです。企業がコーポレートガバナンスに取り組んでいることが、企業外部から見てわかるようにするための原則が書かれています。

上場企業の場合は、このコーポレートガバナンスコードを参考にし、自社のコーポレートガバナンス体制を構築、その報告を「コーポレートガバナンスに関する報告書」としてまとめ、東京証券取引所に提出しなければなりません。

コーポレートガバナンスに取り組むことで得られる効果

コーポレートガバナンスに取り組むことで得られる効果は、以下の2つがあります。

1.経営の透明性が得られる

コーポレートガバナンスを取り組むことで、企業経営やその情報に透明性がもたらされます。株主やステークホルダーからの信頼も高まるので、金融機関からの出資や融資なども受けやすくなり、企業や事業の成長につなげやすくなるでしょう。

2.利益重視の経営に偏らなくなる

コーポレートガバナンスが働くことで、社内外からの監視が強ま李、企業は利益ばかりを重視することができなくなります。企業が利益ばかりを追求してしまうと、社員や従業員、顧客、取引先などに不利益を与える可能性があります。

息の長い企業としてやっていきたい場合は、株主やステークホルダーと協働していることを認識し、コーポレートガバナンスを徹底するようにしましょう。

コーポレートガバナンスを強化する方法

これからコーポレートガバナンスの取り組みを強化、改善したいと思っている企業もあるのではないでしょうか?最後に、コーポレートガバナンスはどのようにして強化することができるのかを解説します。

社外取締役や委員会を設置する

社外取締役や社外監査など、客観性が高い役職を設置、組織や制度を導入することで、コーポレートガバナンスを強化することができます。例えば、報酬委員会や指名委員会、監査委員会などは社外取締役を構成メンバーに配置し、ステークホルダーの代弁者としての役割を担ってもらうことで、社内外に公平性を示すことができます。

執行役員制度を導入する

業務執行・業務の責任の権限を持つ執行役員は、経営の意思決定を担う取締役とは別に選任されるポジションです。取締役と分離させることで、企業の管理体制の強化ができます。

日本では、社外取締役が少なかったり、取締役が機能していなかったりして企業の内部監視がうまくいっていない場合も多く、執行役員制度を導入し、コーポレートガバナンスを強化する企業が多いとされています。

全社員にコーポレートガバナンスを周知する

全社員に対してコーポレートガバナンスを周知するのも、体制や取り組みを強化するうえで重要と言えるでしょう。周知する方法は、マニュアルや行動規範、倫理憲章の作成、セミナーや会議の場で繰り返し伝えることです。

概念を理解してもらえれば、社員自身が意識改革を行なってくれる場合も。引いては、企業の成長や事業の達成、企業価値の向上につなげられます。

コーポレートガバナンスの課題

日本では2000年代ごろから注目されるようになった、コーポレートガバナンスへの取り組み。これから積極的に取り組んでいこうとしている企業も増えていますが、課題もあります。

日本では長らく、コーポレートガバナンスは誰が主権を持っているのか、という議論が続けられてきました。また、社外の取締役や監査役としてふさわしい人材も少ないとされています。運用の仕方も、それぞれの会社の裁量に任せられているので、自社でどのように取り組むべきなのか悩んでいる企業も多く、今後改善していく必要があります。

コーポレートガバナンスに積極的に取り組もう

どのような企業でも、健全な経営や運営を行なっていなければ、株主やステークホルダー、世間からの支持は得られません。継続的な業績をあげられる企業でありたいなら、コーポレートガバナンスにより積極的に取り組みましょう。

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