株式会社LiB ハイクラスエージェント事業部長の中山理香氏に聞く「コロナ危機における人事課題」の実情【第2回目】(前半)
2020年4月14日(火)、WEB面接サービス「harutaka(ハルタカ:https://harutaka.jp/)」を提供するHR Tech スタートアップ 株式会社ZENKIGEN(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:野澤 比日樹)は、日本初のCHRO養成講座「CANTERA」を運営する株式会社All Personal(本社:東京都港区、代表取締役:堀尾 司)と共同で、新型コロナウイルス関連の緊急対応に奔走する人事担当者の悩みにリアルタイムで答える「コロナ危機における人事課題の相談所Vol.2」を実施いたしました。
今回は株式会社LiB ハイクラスエージェント事業部長である中山理香 氏をゲストに迎え、前回同様、堀尾氏と清水が参加する形で1時間のウェビナーを開催しました。
目次
前回好評だったことから5月1日まで定期開催
前回好評に終わった「人事課題の相談所」。今後は5月1日まで火・金曜日に定期開催する運びとなった。今回はその第二回目。コロナ禍による未知の状況が続くなか、人事部門に携わる方々にとって有益な情報・対策を共に探っていきたい。
今回も先回同様、前半では事前アンケートによる票数が多かった課題を取り上げ、後半では質疑応答の時間とした。第二回では採用、マネジメント、テレワーク導入の順に票数が多く、やはり採用に関する悩みが深刻であることが浮き彫りになった。
採用活動の現状について
中山:現在ではオンライン面接の機会が増えているが、対面とオンラインではその情報量も異なる。結果的に、本来なら面接2回のところが3回、4回など、面接回数を増やすことで工夫・対応している企業が多い。
オンライン面接は、求職者も人事側も慣れていない状況だ。面接途中で通信が途切れたり、緊張でお互いの表情がすごく暗かったり。求職者側と企業側双方にいえることだが、オンライン面接を上手に行うためのスキルアップが必要だろう。
また、最終面接で求職者をグリップするアクションとして、オンライン飲み会の実施企業も出始めている。企業は、オフラインで実施していたことをオンラインに置き換え、同様の効果をえるために、様々な工夫を施しはじめている。現在、オンライン完結で内定まで行う企業が増加している。
オンライン面接では「アイスブレイク」の工夫も重要
中山:求職者は、慣れないオンライン面接ではオフライン面接以上に緊張するものだ。面接官はアイスブレイクを工夫しないと、一問一答のような、まるで尋問のような面接になってしまうので注意したい。本来のその人の良さを引き出せず、人事の印象も悪くなる。人事側には「いい場所作り」のテクニックがいるのではないか。
堀尾:面接では「印象」に比重を置いた評価を行いがちだ。オフラインでは過去の事実や背景が見抜けていたとしても、オンラインだとうまくいかない。二次元と実物の印象は思った以上に違うものだ。現在は過渡期だが、そのスキルを人事側も身につけていく必要がある。
中山:まずはオンライン面接に慣れることが大切。そして面接官側の画面を工夫し、コミュニケーションのきっかけを作ってみる。相手に自分がどう映るかという意識が、求職者と採用側両方必要なのではないか。
オンラインを通じた良好な文化風土の醸成
中山氏が関わる株式会社LiBでは、今年新卒で5名が入社。オンラインで歓迎飲み会を実施するという。
中山:オンラインだと、多くのメンバーが交流できてコミュニケーション量もオフラインに引けを取らない。50人、100人と規模化して実施・参加できるのも強みだ。中途採用時や退職時の送別会もオンラインでできるのでは。
オンラインを通じた文化風土の醸成に、メッセンジャーツールを活用(SlackやChatworkなど)するのも有効だ。オフラインでの接点はないものの、社員が些細な情報交換やリアクションできる機会を増やしてみてはどうか。
Uniposのような外部ツールなどを活用してコミュニケーションを増やすのもいい。普段の何気ない感情や表情を、オンライン上では意図して形にすることが、より良好なコミュニケーション、良好な文化風土につながると考える。
堀尾:コロナ禍による影響で、意外と「褒める」「称える」という文化ができてないことに気づいた企業も多いのでは。普段のオフィスでは何気ない会話があったけれど、オンラインだと1日会話が何もないこと起こりうる。
ボトムから盛り上げる文化の企業は成長するだろうし、逆にトップダウンの文化では社員が疲弊するだろう。マネージャーの目配せが求められる。
社内の面談フォローでは頻度・方法の見直しが大切
堀尾:テレワークにおけるマネジメントでは、部下のフォロー方法が重要になる。これまでの1on1だと、月1回30分程度が平均的だが、フルリモートでは頻度を高める必要がある。
中山:コミュニケーション不足を、1on1もしくは全体MTGのどちらでカバーするかは、組織の文化によって判断するといい。たとえば画面上で顔を見ながらのMTGでは、1対1とは違うチーム感を感じることができるだろう。
これまでの方法から、単純に頻度を変える・方法を変える、両方の見直しが必要である。複数のアプローチを組み合わせることが良策だといえよう。感覚的には、オンラインで30分週1回は少し重いように思う。
堀尾:社員とコミュニケーションをとるなかで、その「角度」が重要だ。上下の関係を進化させるだけでなく、横や斜めとのコミュニケーションをどう活性化させるかを考えなければならない企業は多い。斜め(隣の部署の上下)のコミュニケーションを活性化することで、上司では把握できないコンディション低下の社員を把握するプランニングを人事は率先してやってもらいたい。
テレワーク導入による体調不良に関する課題
中山:まずは普段からのヒアリングが欠かせない。いきなり社員の情報を拾うのは困難だ。メンバーが発信しやすい雰囲気が大事。たとえば、簡単な日報をSlackで共有する文化や、始業時に一言ずつコメントする場など。日頃からできている企業では、社員が自ら不調を申し出やすいようだ。
一案としては、一行アンケートや心身状態アンケートなど、ツールを習慣化させること。人力でカバーするのは難しいため、仕組み化が重要だ。気になった社員だけではなく、全社員に届き、レスポンスが届くという形に組み込んでいく。
次回の記事後半では、フリートークの様子を掲載する。
中山 理香 (株式会社LiB ハイクラスエージェント事業部長 元株式会社FiNC Technologies 執⾏役員CHO)
堀尾 司(株式会社All Personal 代表取締役CEO)
清水 邑(株式会社ZENKIGEN コミュニティプロデューサー)