企業成長に欠かせないCoEとは?企業における役割やメリットをご紹介
今後労働人口が減少していくなか、企業成長や組織力の強化が欠かせません。そんな課題解決を図るためには「CoE」の存在は欠かせません。今回は、いま注目されている「CoE」がどのようなものか、企業における役割やメリットなどをご紹介します。
目次
CoEとは
CoEとは、Center of Excellence(センターオブエクセレンス)の略で、特定の分野に対してトップレベルの人材やノウハウを集約した、組織を横断する研究拠点のことを指します。ここで言う”特定の分野”は、採用におけるのプロやプログラム開発におけるのプロ、医療におけるプロなど、業種や目的によって異なります。
優秀な人材やノウハウを各部署に点在させるのではなく、横断組織として集約し、各部署やグループにコンサルタントの意味合いで連携を行って、課題解決や企業の成長を促すことが目的です。
従来CoEは、大学に置かれた研究拠点を意味する言葉として使われており、優秀な卒業生が流出するのを防ぐために著名な教授らとともに研究が行える最先端の設備を設置した”研究拠点”として構築されたのが始まりです。これらの方針が企業にも浸透され始め、部署やグループの域を超えた、重大な役目を担っています。
CoEの役割
社内ナレッジの整理
各部門が保有している社内の知識や情報を収集して整理をします。特定の部門のみで課題解決をするよりも、全部門のナレッジを持つCoEと協力して課題解決をするほうがよりスムーズに効率よく解決するでしょう。また、これらの情報を社内で共有できるツールを導入すれば、個々人の業務の効率化アップが期待できます。
企業戦略の立案
CoEは、会社の成長につながる企業戦略の立案や管理をするのも役割の一つです。システムや設備の導入から各部門の組織強化、協業企業との関係強化など、企業成長と関連がある事柄すべてにおいて意思決定の役割を持ちます。
業務プロセスの構築
CoEは企業戦略を立案するだけでなく、目標達成のための業務プロセスの整備も行わなければなりません。実際のワークフローを明確にしたら、業務マニュアル作成を行ったり、無駄な業務や作業の見直しを行うなど、最適な業務プロセスを構築します。
従業員へのサポート
CoEは中枢機関のため、決定した事項を遂行するのは従業員の役目です。ここでのCoEの役目は、実際に現場で動く従業員のために、導入したツールに関するセミナーを行ったり、ワークショップを行うなどして、従業員が滞りなく業務を行えるようサポートを適切に行う必要があります。
計測とフィードバック
戦略を実践したあとにはその効果を計測して、各部門へフィードバックすることも大事な役割です。部門単体での実績を評価・計測するのではなく、会社全体からみた総合評価を計測することにより、部門は近視眼的にならず会社全体を見据えた業務が行えるでしょう。また、今後経営陣が経営判断をしやすくするために、フィードバック内容を共有して経営サポートをすることも重要な任務です。
CoEを導入するメリット
集約したノウハウや情報を社内で共有できる
業務を最適化するには、過去のプロジェクトを評価し、次の施策で利用したり経験を活かすことが非常に重要です。社内に分散されているあらゆる知識やノウハウを集約し、組織を横断して情報収集ができるCoEが、社内に情報を共有することで、従業員の業務の効率化に役立つでしょう。
質の高い人材教育ができる
CoEは、業務に必要なスキルや知識を蓄積しPDCAを回しているため、これらの知識を社内教育や研修で活用することができ、質の高い人材教育ができると言えます。ワークショップやセミナーを定期的に開催することにより、従業員全体のナレッジを高めることが期待できるでしょう。
ケイパビリティを持った人材が増える
CoEの任務期間は、業務やミッションによって様々です。CoEのメンバーを定期的に入れ替えることにより、各メンバーの負担を減らせるのはもちろん、CoEという重役を経験するメンバーが同時に増えるため、組織内にケイパビリティを持った人材が増えるメリットがあります。
CoEを導入している企業
資生堂
資生堂では、現在日本、アメリカ、ヨーロッパにCoEを設立しています。”スキンケアの研究拠点は日本”、”メーキャップとデジタルはアメリカ”、”フレグランスはヨーロッパ”などというように、各ジャンルにおいて最先端の技術が手に入りやすいエリアに拠点を置きました。
各エリアが情報収集や商品開発を統率し、全世界にある資生堂グループのマーケティングに展開してブランドを成長させることが目的です。
NTTグループ
NTTグループでは、デジタル技術に関するノウハウを活かして専門技術者を育てるCoEを設置しました。AIや人工知能、デジタルデザインなど7つの分野においてCoEを設立しており、人材育成のためにグローバル横断での知識の集約やプロジェクトの技術支援などを行っています。
同社では7つのCoE規模を拡充すると同時に、2021年度末までに累計1,000億円の受注の貢献を目標としています。
企業間競争に欠かせないCoE
最先端の技術やノウハウを持つ専門家が集約するCoEは、様々なデータを有効活用して企業を成長させることが重要な任務です。今後、業務の効率化や組織力を強化していくことが課題となっている日本企業において、CoEの需要は高まっていくでしょう。