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コンピテンシーとは?人事や評価で有効活用できる4つのステップをご紹介

大手企業を筆頭に次々と導入されている「コンピテンシー」。このコンピテンシーを生み出すことにより、人事評価や人材採用、キャリア開発にも役立てることができます。今回はコンピテンシーとはどのようなものか、なぜ現代において注目されているのかなどをご紹介します。

コンピテンシーとは

コンピテンシー(competency)とは、英語で「能力」「技能」「適性」など様々な意味を持ちますが、ビジネスにおいては、高い業績や成果を出している人に共通して見られる行動特性のことを指します。

「普段業務上でどのようなことを意識しているのか」、「業務において欠かせない行動はなにか」など、高いパフォーマンスをしている人の思考や行動を分析し、会社全体に浸透させることで企業全体の士気を上げたり、人事採用や人事評価などに活用することが目的です。

職種や階級に応じて設定され、時代背景やビジネスモデルの変化に合わせて修正を加えていくのが一般的です。

コンピテンシーが注目される理由

これまで日本の企業の多くは、年功序列の人事評価を行っていました。しかしバブル崩壊により、成果主義の人事評価を取り入れる企業が増え始め、社員の能力や業績を客観的に評価することが求められるようになり、評価基準となるコンピテンシーが必要であると考えられたためです。

また、企業間の競争や人材不足などにより、生産性向上が求められています。企業が安定して業績を高めていくためには、従業員一人ひとりの能力を向上させることが必要不可欠です。そこで、多くのハイパフォーマーを生み出すためにコンピテンシーが注目を集めています。

コンピテンシーの活用方法

コンピテンシーを分析することで、企業にまつわる様々な業務や部署で活用することができます。

採用や面接時

自社が求める人材を効率よく獲得するために、コンピテンシーを活用した”コンピテンシー面接”を採用している企業が増えています。採用基準が明確になるため、評価のばらつきがでず、応募者の納得度が増したり、コンピテンシーモデルを基に質問内容や評価基準を決められるので、採用担当者の負担も減少するでしょう。

人事評価

従来の人事制度は、評価する人によって結果が左右され、属人性が高いのが課題でした。そこで人事評価制度にコンピテンシーを導入することにより、評価の指標が明確化され、客観的な評価を生み出すことができます。

また、コンピテンシーモデルによる公平な基準による評価をなされるため、従業員の納得感も高まり評価結果を受け入れやすくなるでしょう。

キャリア開発

コンピテンシーモデルを設定することにより、従業員はその指標にならった行動特性を把握し、スキルアップのために自主的な行動ができるようになるでしょう。加えて、従業員自身も「自分にはどういった能力が足りないのか」「次のステップに行くにはどんな能力を身につけるべきか」を明確に知ることができます。

コンピテンシーの導入方法

コンピテンシーの導入する際には、4つのステップを踏んで進めていくことが大切です。

STEP1:ヒアリング

最初のステップとしては、ハイパフォーマーの人にヒアリングを行い、業績をあげるためにどのような行動・思想をしているのかどうかを洗い出します。具体的なコンピテンシーモデルを作成するために、複数人を部署ごとにインタビューすることで、より公平な指標を生み出すことができます。

STEP2:コンピテンシーモデルの作成

複数人のハイパフォーマーの行動特性を集めた中から共通点を洗い出し、行動や思想の観点でまとめあげましょう。ここの作業は、コンピテンシーの基盤となる部分のため、丁寧かつ細かく設定することが大切です。

評価項目については、仕事に対する意欲や業務上での行動、対人能力やチームに関する考え方など幅広い観点で、各部署・各階級ごとに段階的に設定しましょう。

STEP3:従業員への周知と目標設定

コンピテンシーモデルが決定したら、明確且つ公平な基準であるものとして従業員に周知します。同時に、評価方法への影響や目標設定の仕方などを明示し、コンピテンシーモデルを基に、自身で今後の目標設定・管理をさせることが大切です。

STEP4:評価と分析

最後のステップは、自身で設定させた目標に対して、自ら振り返るのはもちろん、上司や人事からの評価も行います。目標未達の場合はその原因を分析し、目標達成の場合は来期の目標を少し高めに設定しましょう。目標設定と分析をする期間は企業によって様々ですが、一般的には四半期や半年、一年ごとに行います。このサイクルを繰り替えることにより、コンピテンシーが洗練されていくでしょう。

コンピテンシー評価の良い点

生産性の向上

コンピテンシーの活用法は前述したように、従業員のキャリア育成に繋がります。企業が求める指標を可視化できるため、従業員が補完すべき点が効率よく理解でき自身の成長を促します。従業員の生産性があがることにより、会社として大きく成長することができるでしょう。

納得感のある評価ができる

人事評価としても活用できるコンピテンシーは、評価基準にも取り入れることにより、属人性がなく公平で明確な評価ができるようになるため、従業員が納得して評価を受け入れることができます。一端ではありますが、業務へのモチベーション向上や離職率の低下にも期待できるかもしれません。

優秀な人材を採用できる

一定の採用基準を設けていても、採用可否は人事担当者に左右されることがしばしばあるでしょう。しかしコンピテンシーを設定することで、客観的に自社に合う人かどうかを見極めることができます。スキルや実績とは別に、自社のコンピテンシーモデルと共通する人材を絞っていくことで、効率的に優れた人材を見いだすことができるでしょう。

コンピテンシー評価の課題

コンピテンシーの導入は様々なメリットがあり、会社を大きく成長させる材料となりますが、一方で課題もあります。

コンピテンシーは分析に時間がかかり、基盤づくりが非常に重要なため、ここでの作業を短縮したり省けるものではありません。また、ビジネスモデルの変化や時代背景に応じてテコ入れをしなければならないため、そこでの作業コストも発生します。コンピテンシーは、導入前にも導入後にも人的・時間的コストが発生することをしっかりと把握しておいて下さい。

コンピテンシーを導入している企業例

1990年代にアメリカの多くの企業がビジネス分野におけるコンピテンシーを導入しました。バブル崩壊後、日本にも”生産性”が求められる中、コンピテンシーの考え方が注目され、ソニー株式会社や株式アサヒビール会社がコンピテンシー導入の皮切りともいえるでしょう。

2000年に入り、味の素株式会社や東京電力ホールディングス株式会社などの大手企業も採用基準や人事評価として活用し、ビジネス業界でコンピテンシーの知名度が次々と上がっていきました。

企業の成果アップを狙おう

コンピテンシーモデルを設定し各分野で活用させるには、時間と労力が必要で、根気のいる作業といえるでしょう。ですが、従業員一人ひとりの生産性を向上させ、従業員にとって納得のいく人事評価にも繋がるため、コストをかける価値は十分見いだせるはずです。従業員の協力を仰ぎながら、会社全体の業績アップを目指していきましょう。

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