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ディーセントワークとは?SDGsとの関係性や達成度がわかる8つのポイント

ディーセントワークとは

ディーセント(decent)には、”まともな”、”きちんとした”というような意味があります。労働者の人権を尊重した人間らしい労働条件のことを指しており、ディーセントという言葉は、1999年に行われた第87回ILO(International Labor Organization)総会で初めて用いられた言葉です。

これらを体現することにより、プライベートと社会活動を並存させた人間らしい生活である「ワークライフバランス」を継続的に存続することが実現できるとされています。

ディーセントワークの取り組み

2008年6月に行われた「第97回ILO総会」によると、ディーセントワークの取り組みとして、以下のような戦略的目標を通して実現されると位置づけしています。

(1) 雇用の促進
(2) 社会的保護の方策の展開及び強化
(3) 社会対話の促進
(4) 労働における基本的原則及び権利の尊重

厚生労働省は、ディーセントワークの概念を浸透させると同時に、助成金制度や働き方改革コンサルタントの無料派遣を行うなど、ディーセントワークを実現させるためのさまざまな方策を積極的に行うようにしています。

ディーセントワークが目指す8つのポイント

現在、自社の働き方にディーセントワークが取り入れられているかどうかを、以下のチェック項目から確認することができます。

・Check1:安定して働く機会がある。
・Check2:生活し、今後に備えて貯金できる十分な収入がある。
・Check3:私生活と仕事とのバランスがとれる程度の労働時間である。
・Check4:雇用保険、年金制度、医療制度に加入している。
・Check5:仕事上で、性別、性自認、性的思考などによる不当な扱いがない。
・Check6:精神的、身体的攻撃を与えられるなど、危険を感じることはない。
・Check7:労働者の権利が保障されていて、職場に悩み、不安等の相談場所がある。
・Check8:自己成長、働きがいを感じることができる。

結果はいかがでしたか?

ひとつでも当てはまらないチェック項目があれば、十分なディーセントワークの環境が整っているとは言えません。ディーセントワークを実現させるには、業務上に関するチェック項目だけでなく、私生活や人権問題に関するチェック項目まで、広範囲において条件をきちんと満たす必要があります。

ディーセントワークとSDGsの関係について

2015年9月に国連サミットで採用された国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」は、2030年までに環境問題や貧困問題などのさまざまな問題を解決し、今よりもよりよい暮らしを実現させることを目標としている指標です。

17個のカテゴリーごとにゴールが掲げられており、その中のひとつに”ディーセントワークの推奨”が設定されています。

世界各国には、劣悪な労働条件下で働く人や人種・性別の差別によって公平な雇用を受けられない人など、何かしらで苦しみながら働く人々が多く存在しています。SDGs実現のためには、誰もが働きやすい環境で活躍できるよう、ディーセントワークの体現化が必須なのです。

このディーセントワークが浸透することで、人々は安定した収入を得られるようになり、経済が活気づき、社会全体が活性化することに繋がっていくとされています。世界がこの課題を解決するには、すべての企業が主体性を持って、ディーセントワークを実現させることが非常に大切です。

日本が抱えるディーセントワークの課題

認知度が低い

2014年度に発表された日本労働組合総連合会による調査によると、”ディーセントワーク”という言葉すら聞いたことがない人が88%を超えているという、非常に認知度の低い結果となりました。

これは数年前の調査結果のため、現在の認知著は多少上回っていることが予測できますが、この時点で認知度が11.7%という低い数値なため、どちらにせよ早急に解決しないといけない課題であることがわかります。

近年まで残業時間の上記規制がなかった

ここ最近まで、日本は残業時間の上限が法律で定められておらず、多くの人が長時間労働を強いられていました。テレビやメディアでも重大な社会問題として数多く取り上げられており、年々残業や休日出勤を減らし、ワークライフバランスを重要視するような傾向にあります。

そこで、2019年4月1日に大手企業を対象に施行された「働き方改革関連法」により、「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間として、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない」という時間外労働の上限が法律に規定されました(中⼩企業への適⽤は2020年4月から規定)。

働き方改革関連法は規定されてから間もないため、浸透率は低く、現在も日本企業全体の改善率は十分ではありません。今後ディーセントワークを実現させるためには、それぞれが当事者意識を持って、規定の遵守を図ることが必須であると言えるでしょう。

ディーセントワークを実現するために

ディーセントワークを実現させるための具体例として、以下のような取り組みを確実に取り入れていくことが重要になります。

ワークライフバランスの早期実現

「時間外労働が多い」「有給休暇が取得しづらい」「休日出勤が発生する」などの問題を解決し、仕事と私生活の両立を実現させることが重要です。ディーセントワークを叶えるために、まずは社員全員に時間外労働の上限時間や有給休暇の取得義務などを周知させ、会社としてワークライフバランスの考え方や認識を正すことが必要となるでしょう。もちろん企業側がディーセントワークの働き方を受け入れている姿勢であることが大前提です。

不合理な待遇差をなくす

性別、年齢、人種などによる不合理な差別も大きな問題のひとつです。とくに問題視されているのが”性別による格差”で、政治分野における女性議員や役員クラスの女性比率が低いなど、女性を取り巻く環境が整っていないのが現実です。

世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」を見ると、日本は156カ国中120位と、先進国のなかでも最低レベルとなりました。性別はもちろん、アイデンティティ全てに関して生じる格差は、早急に規正する必要があると言えます。

賃金の底上げ

“働いているのに貧困”という状態を「ワーキングプア」と言います。この問題は発展途上国のみならず先進国でも問題となっています。ボーナスが無いことや出世しづらい制度・環境下での労働など、不利益が生じることにより、このようなワーキングプアが日本の一部で起きているのが現状です。

これを解決するためには、国や地域の最低賃金自体を上げることも大切ですが、真っ当な評価がされる制度を整え、環境を作っていくことが第一の対処と言えるでしょう。

人間らしく働ける社会へ

“ブラック企業”という言葉が浸透していることからわかるように、労働者の権利が守られていないなかで労働している人が多くいるのが現状です。すべての労働者が平等な機会と評価を受け、働きがいを感じながら仕事ができる「ディーセントワーク」を実現させるためには、企業や一個人が課題に対して当事者意識を持つことが何よる大切だと思います。そして、改善に向けてそれぞれが小さなことでもいいので行動を起こすこしていくことが、成功の鍵へと繋がるのでしょう。

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