Case

事例

AIで、一人ひとりに向き合う選考を実現。引き継ぎの質向上×工数削減で応募者体験を高める

株式会社ユナイテッドアローズ

人事本部 人材開発部 採用課 課長 山中舞子 様

株式会社ユナイテッドアローズは、紳士服・婦人服および雑貨の企画・仕入れ・販売を行い、セレクトショップを展開する企業です。「すべてはお客様のためにある」という社是のもと、店頭での顧客体験を強みとしています。その姿勢は採用でも同じで、応募者一人ひとりにも同じまなざしで向き合っています。
同社は2022年から「harutaka(ハルタカ)」を活用。2024年からZENKIGENと進めた内定者・辞退者調査をきっかけに、2026年の新卒採用から、面接内容をもとにAIが申し送り内容を自動生成する「harutaka AI」を導入。この申し送り内容を自社の選考基準に合わせて最適化するプロジェクトとして、申し送りを最適化する伴走支援を取り入れました。今回は、全社の新卒・中途採用を統括する人事本部 人材開発部 採用課 課長の山中様に、その背景と導入後の変化を伺いました。
事例サマリー
課題
  • 評価が面接官や選考段階によって異なり、属人化してしまっているという状態が続いていた
  • 学生の志向性が多様化するなか、一人ひとりに合わせた魅力づけができていなかった
  • 少人数の採用チームで多くの応募者に対応するため、面接の申し送りや情報の取りまとめに多大な工数がかかっていた
導入の決め手
  • 全社でAI活用を推進する機運があり、CHROをはじめ社内の理解・後押しを得られたこと
  • 自社の価値観や選考の要素を深く理解した、ZENKIGENの伴走姿勢への信頼
  • 提案段階での、工数削減につながるという確かな手応え
結果
  • 一次〜最終の面接官が同じ軸で評価でき、評価のブレとすり合わせの負担が減った
  • 引き継ぎが自動で作成されることで申し送りの工数が減り、面接中もメモが不要に。学生との対話に集中できるようになった
  • 申し送り工数の削減で空いた時間を次年度の選考準備にあて、従来より2〜3ヶ月前倒して準備ができるようになった

評価のブレ・魅力づけ・工数。抱えていた3つの課題

面接の申し送りを、harutaka AIで自社の選考に合わせて型を作り込んだ背景をお聞かせください。


山中さん:課題は大きく3つありました。まず、評価が面接官によってブレる、属人化してしまっているというところです。これはずっと課題に感じていました。

2つ目は、魅力づけです。学生の志向性が本当に多種多様な今、一人ひとりアプローチができておらず、割と一般的な「ユナイテッドアローズはこういう会社です」という情報しか届けられていませんでした。もっと個別に刺さる情報が伝えたい、と考えていました。時代の影響もありますが、内定承諾率の変動も、まさにここに影響していると思っています。

3つ目は工数です。採用メンバーが4名の中、面接の申し送りに手がかかっていました。特に一次面接は多い時だと1日に12面接を実施し、1日の終わりにまとめて引き継ぎを作成していました。採用人数は150〜160名ほどなので、対応する数も多く、業務工数を削減したいというのが大きな課題でした。

さらに、1日分をまとめて処理するので、面接直後の記憶が薄れてしまい、引き継ぎの質にもばらつきが出てしまう。工数の多さだけでなく、その精度も課題でした。

その前段となった「内定者・辞退者調査」では、どのような示唆が見えましたか。


山中さん:ZENKIGENさんとは、この調査を含めて3年ほど継続して取り組みを進めてきました。内定者・辞退者調査では、内定者・辞退者の双方にアンケートを取り、辞退の理由と承諾の理由を深く掘り下げています。設計にはZENKIGEN.Labの研究員、岩本様に入っていただいていて、そこは私たちもとても信頼し、納得しながら進められている部分です。

調査からは、 学生の辞退理由と、弊社のどの点に魅力を抱いてくださっているのかという2軸が、明確になりました。

辞退に関しては、世の中がすごいスピードで変化しているので、学生さんの思考も本当に毎年変わっていきます。私たちもできる限り早期にキャッチアップしながら選考を進めていますが、それでも想定以上に、学生が求めるものは変わり続けていて。それをきちんと調査で捉えていくことがとても必要なんだと、可視化されたデータを見て改めて感じました。

心理学 × 採用。ZENKIGENとの議論

採用へのAI活用は先進的な取り組みだと思いますが、社内ではどのような声がありましたか。


山中さん:とてもポジティブでした。ちょうど社内でも「AI化を進めよう」という話が出ていて、特にCHRO(チーフ ヒューマン リソース オフィサー)の山崎から、仕事の生産性をデジタルで高めることを求められていた時期でもあり、「これは提案すれば必ず通る」と思えるご提案をいただきました。人事の要員を増やせない中で、どう効率的に生産性を上げるかと考えれば、これが一番の策だと感じていました。

最終的にZENKIGENを選んだ決め手は何でしたか。


山中さん:ZENKIGENさんとは長いお取引の中で、私たちが大切にする価値観や選考の要素をよく理解してくださっていると感じていました。「こうしたい」と想いを話しても、真摯に受け止めて、「これができそう」「これが合うかも」と、いつも私たち視点で提案してくださいます。初めての取り組みでしたが、「きっと成功につながる」という手応えがありました。

営業や新サービスの提案は毎日たくさん聞きますが、「任せれば自分たちの活動が変わるかも」と思えたことは正直なくて。ZENKIGENさんはいろんな角度から私たちの採用を見て「こうすればもっと良くなる」と提案し続けてくださっており、とても感謝しています。

ZENKIGENと議論を重ねる中で、印象に残っていることはありますか。


山中さん:採用学を研究されているZENKIGENの岩本様が入ってくださって、採用と心理領域を掛け合わせたお話をうかがいました。自分たちが仮説として持っていたことが、話すうちに「なるほどね」と確信に変わる瞬間がとても多くて。「今の採用活動でここが紐づくなら、こう変えよう」と、より良い形が生まれていくのを感じています。

一次、二次から最終面接へ。志向性の可視化と自動要約でつながる

改めて、harutaka AIを使った面接の申し送りの内容を教えてください


山中さん:大きく2つに分かれています。1つは、面接内容の要約です。就活の軸、企業の印象、興味を持った点、ブランドや販売職へのこだわり。そして、逆質問は必ず受けているので、その内容から学生の関心が見えてきます。

もう1つが、発言から「どんな人か」を捉える志向性の可視化です。当社が重要視している6項目の志向性について、面接での発言に紐づけて星を最大4つまでつけて志向性の強度を出しています。志向性に関連する発言が多ければ星が増え、少なければ減る、という仕組みです。またその志向性の強度を判定した応募者の発言の要約、推奨の魅力づけも確認ができます。

こうした申し送りを、一次・二次のオンライン面接で作成し、最終の対面面接へ引き継ぐことで、面接官同士が同じ軸で学生を捉えられるようになっています。

志向性の可視化は、どのように設計したのですか。


山中さん:志向性の6項目は、当社の採用要件をもとに設計しました。もともと求める人材要件はかなり細かく定義していたのですが「どこが本当に見るべき要素なのか」「どんな発言がそこに紐づくのか」をZENKIGENさんと一緒に整理し、推奨する魅力づけの内容もあわせてまとめ、要件定義書を設計しました。

進め方としては、ZENKIGENさんに、要件定義書をもとに過去の面接データを使って、AIの出力のたたきを作っていただき、それを見て当社がフィードバックする、というサイクルを重ねました。「この発言ならこの志向性ではないか」「ここはこう表現したい」と細かくやり取りを繰り返し、私たちが納得できる精度になるまで作り込んでいただきました。だからこそ、AIの出力結果にも、現場は違和感を抱くことなく参考にできる。ここはかなり時間をかけた部分です。

学生を一つのタイプに決めつけず、複数の志向性の強度を「星印」で表す設計にしたと伺いました。その狙いを教えてください。


山中さん:学生さんの発言が、必ずしもそのまま一つの要素に直結するわけではなく、同じ志向性でも人によって「強さ(濃淡)」が違います。すべての項目で高いレベルを求めているわけではなく、多様な方を採用したいので、「ここは絶対に譲れない」という要素はありつつ、凸凹は人それぞれ。その凸凹こそが、その人らしさだと思っています。

だから各要素に星を1〜4個つける設計にしました。丸・バツで割り切らず、志向性の強さを段階で測れるのがとても良くて。一次、二次、最終で同じ要素を見ているので、各面接で星の並びが同じ人は「そういう志向性だ」とわかりますし、ばらつく人は面接官の引き出し方やテーマの影響かもしれません。そういう人はあえて録画を確認します。私は最終面接の担当なので、注目すべき学生を見極めやすくなりました。

harutaka AIが出力する申し送りの精度は、いかがですか。


山中さん:精度はとても高いと感じています。面接官の評価とAIの申し送り内容に、大きな相違が出ることはほとんどありません。

実際に最終面接で学生と会っても、事前に読んだ申し送りとのギャップが少なく、「やっぱりそうだよね」と感じることが多いです。だからこそ、人の手で修正することは全くなく、そのまま申し送りに使えています。

最終面接官は、一次・二次の申し送りを見て「ここを重点的に聞こう」と事前に準備します。見てみると、「この発言が多いな」「このエピソードが何度も出てくるな」というのがわかります。例えばサークルの話を一次も二次もしている学生は「そのエピソードが中心になっている」とも読めるので、最終面接では別の要素を聞く。会社への印象をいつも同じ言葉で語る方は「準備してきたな」と予測でき、違う角度で質問してどう答えるかを見ます。学生の就活の進め方まで見えるのは、想定していなかった嬉しい発見でした。

導入後の変化。学生との対話に集中でき、評価の軸がそろった

工数は具体的に減りましたか。


山中さん:一次・二次面接で一番多いボリュームを担当するメンバーも「本当に楽になった」と言っていて、削減効果は間違いありません。まず当時の規模ですが、一次面接は採用課のメンバーが学生2名を相手に行い、忙しい時期は1日に30分×最大12枠、約6時間で30人近くと面接していました。面接の間は5分ほど。内定者300名規模の選考を実質人事担当の2名でまわしていました。

今年は「harutaka AI」で工数を削減できたので、次の選考である28卒の準備が、例年に比べ2〜3ヶ月前倒しで進められています。

これまでは、学生のエピソードや評価の根拠を引き継ぎのために残す必要があり、話を引き出すよりも情報を残す方に偏りがちでした。それが、「harutaka AI」の自動要約があるので記録に追われず、その場で学生との対話に集中できます。工数削減以上に、面接中の効果が想像以上に大きかった、と私もメンバーも感じています。

引き継ぎのやり方も変わりました。以前は面接ごとにエピソードを細かく書き残していましたが、今はAIの申し送り内容をベースに、必要最小限のコメントだけを追記する運用にしています。引き継ぎにかかる工数は、確実に減っています。

個別の魅力づけについては、変化はありましたか。


山中さん:ここは伸びしろだと感じています。AIの推奨の魅力づけの提案は納得できる方向性はしっかり押さえられています。そのうえで、一人ひとりにより深く刺さるところまで磨き込んでいく。次はそこに挑んでいくフェーズだと捉えています。

「評価のブレ」の課題に対しては、変化はありましたか。


山中さん:大きく変わりました。一次・二次・最終の面接官全員が同じ軸で学生を評価でき、「harutaka AI」の申し送り内容をもとに、自分の評価にずれがないか確認できます。AIの出力がすべてではありませんが、共通する客観的な視点があることで、面接官同士ですり合わせて「ちょっと先入観が入っていたな」と答え合わせができます。

以前は、一次・二次の面接官が「この学生を合格にしたい」と評価していても、最終面接官との間で評価がすり合わず、最終で不合格になることもありました。

今は、一次・二次の評価と面接内容を最終面接官が踏まえて判断できるうえ、面接官同士のすり合わせもしやすくなりました。そのため、一次・二次の面接官も「たしかにその要素は一次で見えた事実なので、この合否で正しい」と納得できるようになっています。

harutakaで蓄積した採用データを「育成」と「見極め」へ

今後、harutaka AIをどのように活用していきたいとお考えですか。


山中さん:今新たに課題に感じているのが、内定から入社までの内定者フォローです。内定者研修は実施していますが、選考を通して一人ひとりと向き合って得た情報を、その後のフォローに十分活かせていません。面接での発言にはその人の価値観の本質が表れていて、そう簡単には変わらないものだと思っています。だからこそ、その価値観を踏まえて、内定期間中の心境の変化を捉えたり、迷いがあれば選考時の話を振り返って一緒に考えたり、さまざまな形で活かせるはずだと感じています。

また、ここまでの取り組みで過去の採用データも莫大に蓄積されています。そこから「当社が採用すべき人材」を分析できると良いですね。人の評価もAIの参考値も100%ではありませんが、掛け合わせれば精度は大きく上がります。自分たちの見極める力を磨きつつ、AIの力も借りて、本来採用すべき人を取りこぼさないようにしたいです。

最後に、面接に課題を抱える企業のご担当者様へメッセージをお願いします。


山中さん:私たちが実感しているのは、客観的なデータで一人ひとりを捉えられると、本当に力を入れるべきことに情熱を注げるということです。その力を入れるべきこととは、学生と心を通わせること。担当者が一人ひとりと向き合ってこそ得られる部分です。「この人と出会えて良かった」と思ってもらえる関係づくりに時間を使えるようになるので、同じ課題を感じている方には、ぜひ試していただきたいです。会社を良いと思ってもらう一番の要素は、やはり「人」ですから。

株式会社ユナイテッドアローズ
歩留改善工数削減面接力向上
業種
アパレル/小売
利用シーン
新卒
従業員数
1001〜5000名

株式会社ユナイテッドアローズ 人事本部 人材開発部 採用課 課長 山中舞子 様

※所属・役職などはインタビュー時点のものとなります。

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