Case

事例

“経験と感覚頼み”だった内定者フォローを、AIで標準化。一人ひとりに合った魅力づけで、承諾率の向上へ

SOMPOケア株式会社

人材採用室新卒採用グループ グループリーダー 安藤まりこ様

介護業界の大手として全国に約1,000の事業所を展開するSOMPOケア株式会社。年間1,000名規模の最終面接に加え、最終合格者一人ひとりへ平均5回の面談を実施するなど、学生に丁寧に向き合う採用を続けてきました。その一方で現場では、記録業務の負荷や、経験と感覚に頼りがちな面談品質の属人化が課題となっていました。同社はその解決策として「harutaka(ハルタカ)」を活用。内定承諾率向上につながる内定者向けのフォロー面談を分析・設計し、「harutaka AI」に反映。面談の申し送りを最適化する伴走支援を取り入れました。単なるツール導入にとどまらず、理想の面談の要件定義からZENKIGENと二人三脚で推進。面談を通じた魅力づけの質を高め、内定承諾率向上につながる取り組みを進めてきました。今回は、その背景や具体的な活用、そして得られた成果について、人材採用室新卒採用グループ グループリーダーの安藤様にお話を伺いました。
事例サマリー
課題
  • 100名を超える採用目標に対し、内定承諾率の改善が継続的な課題となっていた
  • 内定者フォロー面談の記録業務に追われ、学生と向き合う時間が圧迫されていた
  • リクルーターの入れ替わりで育成が追いつかず、内定者フォロー面談の品質・内定承諾率にばらつきが生じていた
導入の決め手
  • 先行導入した最終面接官向け「harutaka AI」の申し送り内容と面接官の所感にほぼズレがなく、より接点の多い内定者フォロー面談へ広げる確信を持てたこと
  • 要件定義から伴走するZENKIGENの担当者の姿勢への手応えと、社内説明に使える提案資料の説得力が高かったこと
  • 挑戦を後押しする社風のなかで、限られた人員で成果を出す現実的な選択肢であったこと
結果
  • 内定承諾率は、前年度を上回る水準で推移し、承諾の意思表明も前年より早まっている
  • 最終面接の記録工数を一人あたり20〜30分から5分未満に短縮
  • リクルーターへのアンケートでは「次面談の準備工数削減」、「応募者理解の深まり」、「自身の面談スキル向上」への満足度が5段階中4.4以上の高評価

内定承諾率の向上が課題

harutakaを使う前はどのような課題がありましたか。


安藤さん:新卒採用は100名を超える採用人数を目標にしていますが、内定承諾率は約25%。600名を超える最終合格者一人ひとりをフォローする必要があります。内定後も、一人あたり平均5回、半年から1年をかけて内定者フォロー面談を続けるため、現場の負担は非常に大きくなっていました。専任の担当をつけて個別に対応していましたが、リクルーターは毎年入れ替わるため、育成が追いつかない状況でした。その結果、内定者フォロー面談の質はリクルーター個人の力量に左右され、属人化している状況でした。

内定者フォロー面談の品質ばらつきに気づかれたきっかけはありましたか。


安藤さん:やはり内定承諾率です。リクルーターによって承諾率に数十ポイントの差が見られました。担当する学生の属性や時期による違いはあるものの、面談の進め方や魅力の伝え方にも一定の差があるのではないかと考え、標準化に取り組むことにしました。

内定者フォロー面談を標準化して質を高めたい。その根底にある、採用で大切にしている考え方を教えてください。


安藤さん:一貫して、人を大切にすることです。弊社は、「人間尊重」を全社共通の価値観としています。新卒採用においても就活生としてではなく、一人の人として向き合い、入社後に活躍・定着するところまで見届けたいという想いがあります。新卒人口も労働人口も減るなか、以前の数を重視する採用から、一人ひとりと丁寧に向き合う採用へと軸足を移してきました。その姿勢を限られた人数で支えることが、私たちの課題でもありました。

最終面接官の記録工数を削減しつつ、内定者フォロー面談へ質の高い引き継ぎを

これまでのZENKIGENとの取り組みの流れを、あらためて教えてください。


安藤さん:まず、2024年に「harutaka」を導入し、内定者フォロー面談を分析し、リクルーター一人ひとりに個別のフィードバックをお返しするところから始めました。2025年の夏には最終面接官向けに、面接の評価や引き継ぎを「harutaka AI」で支援する仕組みを導入。その手応えが大きかったので、同じ年の冬に、内定者フォロー面談向けにも同様の仕組みを広げていった、という流れです。段階を踏みながら、少しずつ活用の範囲を広げてきました。


まず、最終面接官向けに「harutaka AI」を導入した背景を教えてください。


安藤さん:最終面接は年間1,000件の規模で実施しており、面接官の記録業務の負担が大きな課題でした。面接後にメモを取り、採用管理システムに入力するツールを横断する作業が発生しており、入力項目も合格理由や所感など多岐にわたります。記入に時間がかかり、埋まらない面接官を追いかけることもありました。

加えて、最終合格者にお渡しする最終面接官からのメッセージも、書く人によって内容や所要時間に差があり、人事のフォロー負荷になっていました。この工数負荷を下げつつ、後続の担当者へ質の高い引き継ぎをつなぐことを狙って導入したのが、最終面接官向けの取り組みです。

具体的に、どのように活用されているのですか。


安藤さん:中心となるのが「採用要件ごとの要約」です。面接での発言内容から、当社の採用要件ごとに要点をAIが自動で整理してくれます。この要約は後続の引き継ぎに使えるほか、最終合格者へお渡しするメッセージを面接官が書く際の土台にもなります。いずれもZENKIGENさんに当社の評価項目や引き継ぎの実態まで細かくヒアリングいただき、要件定義から一緒に作り込んでもらいました。何度もやり取りを重ねたぶん出力の精度が想像以上に高く、面接官の所感とAIの出力にほとんどズレがなかったのは驚きでした。

導入によって、どのような効果がありましたか


安藤さん:まず工数が大きく変わりました。記録に一人あたり20〜30分かかっていたものが、面接後すぐにアウトプットされるので、転記・確認するだけで5分もかからず終わります。年間1,000件規模で面接対応をするので、削減効果は相当なものです。また、合否の当日入力率も26卒と比較し8.0ポイント向上し、面接から内定出しまでのリードタイムを削減できています。

また、最終面接官の満足度も90%以上です。そして質の面でも、同じ評価軸・同じ温度感でアウトプットが揃うので、後続の面談への引き継ぎに一貫性が出ました。そのため、学生に対し、企業側が同じ質問をすることがなくなり、面談体験そのものが良くなっていると感じています。

内定者フォロー面談終了後に、「引き継ぎ」「推奨の魅力づけ」「フィードバック」が自動で出力

内定者フォロー面談での取り組みの目的・仕組みを教えてください。


安藤さん:大きな目的は、内定承諾率を高めることでした。そのために、他の業務も抱えながら面談にあたるリクルーターの工数を減らし、「こういう志向の学生には、こういう魅力を伝える」という訴求の方向性を明確にしたかったんです。仕組みとしては、面接直後の文字起こしをもとに、「harutaka AI」が面談内容の要約や次の面談の提案を出力してくれます。内容は大きく「引き継ぎ」「推奨の魅力づけ」「フィードバック」の3つに分かれています。

harutaka AIの出力は、どのように設計したのですか。


安藤さん:いきなりAIに任せたわけではなく、まずZENKIGENさんに内定者フォローの「面談分析」を実施いただきました。ステップとしては、まず学生の志向性を細かく分解し、その志向性ごとに、リクルーターが実際にどんな魅力づけを行っているのかをZENKIGENさんに特定していただきました。そのうえで、洗い出したものの中から特に推奨したい魅力づけを当社側で選び、AIサポートの出力に反映していくという流れです。
あわせて、内定承諾率の高いリクルーターが面談で実際にやっていることと、そうでないリクルーターとの差分も可視化していただきました。たとえば、内定承諾率の高いリクルーターは学生の就職活動の軸をしっかり確認したうえで、他社と比較しながら自社の強みを訴求できている。一方でそうでないリクルーターは、軸の確認が浅く、自社情報の提供にまで至っていない、といった違いをデータから示してもらえたんです。

こうしてZENKIGENさんの分析で「何が納得度の高い面談をつくっているのか」を先に言語化し、その知見をAIの出力に落とし込んでいきました。分析で見えた”勝ちパターン”が土台にあるからこそ、AIが出す志向性の分析や推奨の魅力づけに、リクルーターも納得して従える。この順番は、ZENKIGENさんと特にこだわった部分です。

harutaka AIの出力の設計にあたって、特に意識したことはありますか。


安藤さん:リクルーターが面談で迷わないように、学生に自信を持って伝えられるように、という点を強く意識して作り込みました。当社は「寄り添う」姿勢が強く出すぎることもあって、言うべきことは言い、寄り添うべきところは寄り添う、そのバランスが難しいところです。だからこそ、リクルーターが自信を持って学生と向き合えるアウトプットを目指しました。

リクルーターへのフィードバック機能を使ってみた感想をお聞かせください。


安藤さん:面談って何が正解か分からないなかで進めるものなので、客観的なフィードバックがあると自信を持って臨めます。「この魅力づけの方法は良かった」「ここはもっと深掘りしたほうがいい」と良い点・改善点を的確に指摘してもらえるのも、育成につながっていると感じます。

ありがたかったのは、そのフィードバックの温度感を当社の社風に合わせて調整してもらえたことです。厳しめに伝えたい場面もあれば、鼓舞するように優しく伝えたい場面もあります。弊社の要望を適切に汲み取って、ZENKIGENの担当者の方が柔軟に対応してくれました。ほかの社員の面談を参考にできる点も含めて、スキルの底上げに効いていると感じます。

内定承諾率向上につながる手応え。面談スキルの向上の実感も

実際に内定承諾率に、変化が表れてきていますか。


安藤さん:27卒の内定承諾率は現時点で26卒を上回る水準で推移しています。承諾を決める学生さんが昨年より早い段階で意思表明してくださっていて、承諾入社予定者数も目標に近づきつつあります。最終的な数字が固まるのは今後になりそうなので、そこは結果を見てみて、という段階ですね。

現場のリクルーターの面談は、harutaka AIによってどのように変わりましたか。


安藤さん:まず、面談後の振り返りがしやすくなりました。以前はメモをExcelに転記し、採用管理システムに入力する、と何段階も作業がありましたが、現状は「harutaka AI」のアウトプットを転記し、必要な内容を修正・補足することで工数が大幅に削減できました。次の面談前も、要約で当時の温度感まで掴めるので、「前回この話をしたから、今回はここを話そう」と自然につなげられます。

もう一つ大きいのは、リクルーターから私たちマネジメント層への相談内容が変わったことです。以前は「この学生にどう対応すればいいか」といった漠然とした不安の相談が多かったのですが、最近はより具体的な相談に変わってきました。面談に明確な正解がないなかで、AIのアシストがあることで、リクルーターが自信を持って学生と向き合えるようになってきていると感じます。

導入後のアンケートで、harutaka AIに対する満足度は高水準


内定者フォロー面談で、「harutaka」を日常的に活用するリクルーター8名に5段階評価でアンケートを実施しました。「次面談の準備工数の削減」「応募者理解の深まり」「自身の面談スキル向上」の3つの観点で、5段階中4.4以上の高評価と、高い満足度が得られています。

次面談の準備工数の削減(満足度 平均4.5/5.0)


「約1時間→約30分に短縮」といった時短の声に加え、「次の面談で伝えるべきポイントや、学生の志向が読み取りやすくなり、準備時間が短縮できた」という実感が寄せられました。単に作業が速くなっただけでなく、要点が整理された状態から準備に入れるため、限られた時間でも次の面談に集中して臨めるようになっています。

応募者理解の深まり(満足度4.6/5.0)


「事前に学生の志望動機・エピソードが拾えることで、人となりや価値観が見え、面談導入が進めやすい」「学生に合わせたアプローチの具体的なアドバイスが、次の面談構成の組み立てに役立つ」といった声が挙がりました。学生一人ひとりの背景を面談前につかめることで、その場での対話により深く踏み込めるようになり、結果として一人ひとりに合わせた向き合い方ができていると言えます。

自身の面談スキル向上:(満足度4.4/5.0)


「面談後すぐにフィードバックを頂けることに満足」「深掘りが不足している部分を的確に指摘してもらえる点が役立った」など、面談スキルの向上につながる実感も見られました。日々の面談が、そのままスキルアップの機会になっている点も評価されています。

魅力づけをさらに磨き、AIとともに進化する採用へ

これからどのような取り組みを目指していきたいですか。


安藤さん:いま当社内で並行して進めているのが、当社の理念や取り組み、社員が感じている「SOMPOケアらしさ」を言語化するプロジェクトです。そうした自社の魅力をいくつかの切り口に分け、「こういう志向の学生にはこの魅力が響く」「この訴求が効果的だ」といった知見と掛け合わせていく。それを「harutaka」の魅力づけの機能とつなげられれば、一人ひとりに合った訴求がさらに磨かれていくはずです。ここはまさに、これからの取り組みですね。

その先では、蓄積したデータを活かし、面接・面談のスキルを検証しながら自走・標準化できる状態を目指したいです。良い取り組みを全国に広げて、採用活動全体の底上げにつなげていきたいと考えています。

最後に、同じような課題を抱える企業のご担当者へメッセージをお願いします。


安藤さん:人事に携わる皆さんは、採用だけでなく育成や組織づくりなど、さまざまな役割を担いながら、「人」に向き合うことに強い想いを持って仕事をされていると思います。

採用には、応募数や承諾率など明確なKPIがあります。しかし、私自身は「採用すること」がゴールだとは考えていません。本当のゴールは、一人ひとりと人として向き合い、その方が入社後に活躍し、長く安心して働き続けられることです。

だからこそ、人と人との対話までAIが代替するものではないと思っています。学生の想いや価値観を引き出し、不安に耳を傾け、ともに将来を考える時間は、人だからこそ生み出せる価値です。そこは、これからも大切にしていきたい部分です。

一方で、記録や情報整理、次回面談の準備といった業務は、AIが大きな力を発揮してくれます。そうした業務を任せることで、学生一人ひとりと向き合う時間や、より良い面談を考える時間を増やすことができます。私たちは、AIによって人の価値を高めることはできても、人の価値を置き換えることはできないと考えています。

採用を取り巻く環境は大きく変化しています。だからこそ、「これまで通り」で終わらせるのではなく、「もっと学生のためになる方法はないか」「本当に大切にすべきことは何か」を問い続けることが大切だと思います。

変えるべきものは柔軟に変え、変えてはいけない価値は守り続ける。その積み重ねが、これからの採用のあり方をつくっていくのではないでしょうか。

SOMPOケア株式会社
歩留改善工数削減面接力向上
業種
医療/福祉
利用シーン
新卒
従業員数
5001名以上

SOMPOケア株式会社 人材採用室新卒採用グループ グループリーダー 安藤まりこ様

※所属・役職などはインタビュー時点のものとなります。

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