「はたらいて、笑おう。」を面接から実現。パーソルビジネスプロセスデザインが取り組む「新人面接官トレーニング」
学生に「会社を好きになってもらう面接」を目指して
今回、2024年9月と10月に、合計3回の「新人面接官のトレーニング」を実施されましたが、このトレーニングを開催するに至った背景や目的を教えてください。
篠原さん:学生さんに「自分をきちんと見てもらえた」と感じてもらえるような面接を行える面接官を育成することが、今回の新人面接官トレーニングを実施した目的の1つです。
これまでパーソルビジネスプロセスデザイン(以下、PBD)では、新たに面接を担当する従業員に向けて、毎年、面接に臨む際のポイントや心得を伝える場を設けてきました。
しかし、今期からは「面接を通じて自社のファンを増やしていきたい」という思いを込めて、より踏み込んだ取り組みを始めました。応募者のことを深く理解し、自社の魅力をこれまで以上にしっかり伝える場として、面接自体をより意義のあるものにすることを目指しています。
「自社のファンを増やしていきたい」と思った理由は何ですか?
篠原さん:面接で応募者を見極めること以上に、面接を通じて良い経験を提供する方が重要だと考えるようになったからです。数年前までは、自社とマッチングする応募者を見極めることに重点を置いていましたが、現在では「応募者にPBDを好きだと思ってもらい、ファンになってもらうにはどうすればよいか」を軸に選考を設計しています。
小池さん:就職活動は学生さんにとって人生の岐路に立つ大変な場面です。そのような状況下で、「これからの人生で何をしたいのか」を突然問われ、戸惑う方も少なくありません。
いろいろと迷いながらも、一生懸命準備をして選考に臨む応募者に対し、単にPBDにマッチングしているかどうかを判断するだけではなく、もっと私たちのことを知っていただきたいと思いました。さらに、PBDに入社するかどうかに関わらず、面接を通じて「働くこと」に前向きな気持ちを持ってもらえたらとも。
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げる私たちだからこそ、応募してくれる学生さんの力になれるはずだと思い、取り組んでいます。
課題は、面接に対する意識とマインドのばらつき
新人面接官のトレーニングを開催するにあたり、貴社採用面接が抱えていた課題を教えてください。
小池さん:面接官によって、面接に対する意識やマインドにばらつきがある点です。緊張している応募者へのフォローなど、雰囲気づくりが十分にできていないケースが度々見受けられました。その結果、応募者に対して「きちんと選考に向き合っている」という印象を与えられていないこともありました。
もちろん、「PBDの面接官と会えて良かった」と言ってくれる応募者もいますが、「はたらいて、笑おう。」という私たちのビジョンを実現するためにも、面接の質を今以上に引き上げる必要があると感じています。
篠原さん:私たちはBPO事業を展開しており、お客様の現場の課題解決に日々取り組んでいます。このような背景からか、応募者に対しても過去の事象に対して深掘りをしてしまうような現状があり、「応募者に対しては過去から強みを引き出し整理してあげるような有意義な面接を提供したい」と考えました。しかし、現状では理想とする面接スタイルと実際の運営にギャップがあり、その差を埋めるためのトレーニングが必要だと感じていました。
打田さん:面接を担当するのが主にマネジメント層や現場メンバーということもあり、現場業務と並行しての実施となるため、時間的な制約も課題となっていました。
「harutaka 面接官トレーニング」はどのようなきっかけで知りましたか?
篠原さん:応募者理解や深掘りをサポートしてくれる企業やサービスを検討する中で、学生さんからの面接満足度が高い面接官から「前職でZENKIGENの面接研修を活用していた」という話を聞いたことが、「harutaka 面接官トレーニング」を知るきっかけとなりました。その後、ZENKIGENの担当者に話を伺い、「効果的な面接官育成が実現していること」「面接の過程を振り返り、データ分析ができること」を知り、ぜひPBDでも導入したいと考えました。
ロールプレイ形式で応募者の気持ちを知る「新人面接官のトレーニング」
今回実施された「新人面接官のトレーニング」について簡単に実施内容を教えてください。
篠原さん:本トレーニングは、今年からPBDの新卒採用に携わる従業員を対象に、オンライン形式で約2時間半の講義を実施しました。今回は約73名が参加したため、全体を3つのグループに分け、合計3回実施しました。
まず最初の30分は、ZENKIGEN担当者による「応募してくれる学生から選ばれるための面接」をテーマとした講義です。ここでは新卒採用における「選ばれる面接」における重要なポイントを学びました。
残りの2時間は、実践演習です。演習に入る前に、ZENKIGEN担当者による模擬面接を見てもらい、受講者自身に「この面接の良いところはどこか?」「自分だったらもっとこうするのに」という点を考えてもらいました。その内容を踏まえ、受講者が学生役と面接官役に分かれ、ロールプレイ形式で模擬面接を実施し、質問の深掘りを練習しました。
このような研修形式にした理由を教えてください。
篠原さん:これまで面接官に必要な要素については事前に資料を提供していましたが、例年「実際に面接を行うのが不安」という声が寄せられていました。そこで、今回のトレーニングでは、具体的な事例や判断基準を共有することで、受講者がより自信を持って面接に臨めるよう工夫しました。
「新人面接官のトレーニング」に参加した面接官からはどのような声や反応がありましたか?
篠原さん:研修後に行ったアンケートでは「実際の選考に活かせる内容だった」「面接の基準や流れを自分に取り入れることができた」という声が多く、全体としての満足度も高い結果となりました。特に、1対1で面接を始めるとフィードバックを受ける機会が少ないため、今回の研修では学生役や他のグループメンバーから多面的な意見を得られる点が評価されました。
打田さん:初めて面接官をする方々は、「どのようなスタンスで面接に臨めばよいのか分からない」「全体の流れのイメージが掴めていない」という不安を抱えていらっしゃる方が多いです。そういう意味では、今回の研修内容はタイミングとして非常に適切で、受講者のニーズに合ったものだったと思います。また少しずつではありますが、トレーニングを修了した面接官と話した学生さんからも「話したいことを話せた」などの声が上がってきています。
面接官トレーニングの前後で、受講者の皆様にどのような変化が見られましたか?
小池さん:今回の研修を通じ、選考において応募者から選ばれる面接の必要性やその背景を理解してもらえたと感じています。これまで、面接官の中には応募者を「見極める」「選ぶ」という意識を持って面接に臨んでいる方が少なくありませんでした。トレーニング前に受講者から、「そもそも『学生から選ばれる』とはどういうことか?」という疑問も挙がっていたからです。本研修を通し、受講者の皆さんには肌で応募者から選ばれる面接の必要性を感じ取ってもらえたと思います。
また、応募者の行動や考えを理解しようとする姿勢や、具体的なアクションを起こす重要性が共有され、受講者のマインドにも変化が見られました。例えば、講義を通じて得た知識や、ロールプレイで体験したことを実際の面接で活かすために必要なスキルが、研修を通じて身についたと感じています。もちろん、1日で100点満点の面接官になるのは難しいですが、研修を通じて大きな一歩を踏み出したのではないでしょうか。
篠原さん:また、今回の研修に参加した面接官の中には、中途採用の面接経験がある従業員もいました。中途採用は社会人経験のある応募者が大半となるため、面接のスタンスが新卒採用とは異なります。トレーニング後に実施したアンケートでは、「新卒採用の面接では中途採用と同じ方法ではなく、新卒に合わせたアプローチが必要だという気づきが得られた」という声も寄せられました。
小池さん:中途採用の面接についても、これまではフィードバックを受ける機会がほとんどありませんでした。今回の研修では、フィードバックを直接受けることで、受講者がしっかりと理解し、自身のスキルに反映できた点は大きな効果だと感じています。
「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、時代に合わせた面接を目指す
今後の貴社採用活動を進めるにあたり、大切にしていきたいことを教えてください。
小池さん:繰り返しになりますが、私たちが掲げる「はたらいて、笑おう。」という理想の実現に向けて、応募してくれた学生さんに何ができるのかを常に考えていきたいと思っています。もちろん、企業の選考である以上、応募者が「この会社に入りたい」と思えることは重要ですが、それ以上に、応募者が自身の将来を探すフェーズにいることを理解し、その過程を大切にする採用活動を目指しています。
しかし、応募してくれた数万人の学生さんと向き合う中で、一人ひとりに対して高い熱量を持ち続けるのは簡単ではありません。研修を受けた直後はモチベーションが高まりますが、それを維持し、自分自身でPDCAを回し続けることには課題があると感じています。
例えば、日々のフィードバックを通じて、応募者にどのような影響を与えられたのかを振り返り、その結果を採用活動に活かすことが必要です。しかし、規模の大きさから、その一つ一つが見えにくくなり、作業的になってしまうリスクがあります。
応募者にとっては、面接の1時間は人生を左右する大切な時間です。その重要性を言葉にするのは簡単ですが、実際に行動で示し、実現する採用活動を継続していくことが、今後の課題であり、大切にしたいポイントだと思います。
貴社らしい採用を実現していくにあたり、今後どのようなことに挑戦していきたいですか?
小池さん:新しい面接官だけでなく、既に活躍している面接官を対象としたトレーニングにも力を入れていきたいと考えています。応募してくれる学生さんの傾向は毎年変わっていくため、面接も時代に合わせ変化していく必要があります。応募者がどのように変わっているのか、そして私たちがどう変わっていく必要があるのかも含め、全社で共有し、面接の質を高めていきたいと考えています。
「伴走型による支援は心強かった」ZENKIGENと歩む、ファクトに基づいた採用の実現
ZENKIGENや「harutaka」は、どのような点で貴社の活動に貢献できますか?
小池さん:今後、PBDでは、ZENKIGENや「harutaka」が持つデータを活用することで、ファクトに基づいた具体的な施策を展開していきたいと考えています。
私たちはアウトソーシングサービスを提供する中で、企画や業務設計を重視し、それを基に改善を繰り返していくことを大切にしています。今回の面接官トレーニングでは、まさにZENKIGENによる「伴走」という形で一緒に進めることができました。
特に印象的だったのは、お客様以上にお客様のことを考える姿勢を持ち、何度も打ち合わせやリハーサルを重ねてくれた点です。同じ組織にいるような感覚で支えていただけたのは非常に嬉しく、心強くもありました。
篠原さん:進行を確認し合ったり、次回の改善点を一緒に考えたりと、ディスカッションを重ねながら進められた点は非常に心強かったです。一般的な外部サービスでは、依頼したら完了という形になりがちですが、ZENKIGENとは本当の意味で伴走型の取り組みができたと思います。
面接官トレーニングや育成以外に、今後、動画データを活用してみたい場面や取り組みがありましたら教えてください。
小池さん:動画データを活用し、一つ一つの面接に対してフィードバックを提供し、面接官がPDCAを回せる環境を整えたいと考えています。また、面接プロセスの中で、2次面接や3次面接に向けた具体的なアドバイスや示唆を得られるようにすることも検討したいポイントです。
一方で、面接官のスキル向上には個々の努力も必要です。そのため、応募者の生の声やニーズをデータとしてフィードバックする仕組みを取り入れ、面接官自身が日々モチベーションを維持しながら改善を重ねられるよう支援していきたいと考えています。
篠原さん:動画データをお手本動画として活用するのも有効だと思います。面接だけでなく、日常のコミュニケーションにも役立つポイントが動画データから得られれば、組織全体のコミュニケーションの向上にもつながるはずです。
最後に、よりよい採用の実現に向けて面接に課題を抱える企業やそのご担当者様に向けて一言メッセージをお願いします。
小池さん:現在、どの企業も厳しい採用競争に直面していますが、採用は企業だけでなく、応募者にとっても重要なプロセスです。応募してくれた学生さんにとって実りある時間となるような採用活動を一緒に作り上げていきましょう。