Case

事例

「進化し続ける採用を」学生への愛ある採用に取り組むピジョンが、AIを使う真意。

ピジョン株式会社

稲垣 亜唯 様

ピジョン株式会社は、国内でも有数の育児用品の製造から販売までを手がける企業です。同社には2020年12月から「harutaka(ハルタカ)」を新卒採用でご利用いただき、2022年12月には『harutaka IA(インタビューアセスメント)』『harutaka EF(エントリーファインダー)』を導入いただきました。今回は同社の採用を担当する人材戦略グループの稲垣さんにお話を伺いました。
事例サマリー
課題
  • 面接担当者が発する表現や面接時の進行方法が適切か分からなかった
  • 他社と比べた際に、自社の選考が採用市場でどのような立ち位置にあるかが分からなかった
  • 録画選考の自己PR動画の確認時間が、採用業務を圧迫していた
  • 録画選考時に、評価に一貫性があるのかかが不安だった
導入の決め手
  • 学生の表情に対する面接担当者へのフィードバックやタイムスタンプなど、面接中に使用できる機能が豊富にある
  • 面接直後に面接担当者へ届く、「応募者の発話比率」「笑顔度」などのフィードバックレポートが分かりやすい
  • スコア化によって録画選考の評価が定量化され、評価ポイントが明確になる
結果
  • 定量的な指標も踏まえ、評価ができるようになった
  • 面接議事録の作成時間を、これまでの1/3に短縮できた
  • 自己PR動画の確認時間が1/3に軽減し、学生と接する時間が増加した

ピジョンらしい面接を誰もが実施できる環境をつくりたい

新卒採用に『harutaka IA』の導入を検討した背景を教えてください。


稲垣さん:きっかけは、「ピジョンの面接は他社と比べてどうなのか?」「面接担当者が発する表現や対応は適切なのか?」と、自社の面接に対して疑問を感じたことです。

ピジョンの選考に参加してくれた学生の皆さんは、面接に対してポジティブな意見を寄せてくれますが、実際はどうなのかと気になっていました。特に近年の新卒採用は売り手市場ということもあり、面接担当者の表情や受け答え1つが、会社の印象を左右し、入社判断にも影響を与えかねないと思っています。

この想いがあったからか、初めて『harutaka IA』の説明を受けたときには、「AIが面接担当者の面接スキルを評価すること」に面白さを覚えました。客観的な指標を参考に「ピジョンの面接が採用市場で他社と比較しどの位置にいるのか?」「現状を改善する必要があるのか?」などを知りたく、『harutaka IA』の導入を決めました。

さまざまなサービスがあるなかで、『harutaka IA』を選んだ決め手を教えてください。


稲垣さん:決め手は、『harutaka IA』の面接中のフレキシブルな対応です。面接中に、面接担当者の表情などの気を付けたい点がリアルタイムでフィードバックされたり、学生さんの印象深い発言はタイムスタンプを押せることでその部分の文字起こしで楽に確認・記録できたりと、より良い面接を行うための機能が豊富に用意されていました。

面接後には、すぐにフィードバックレポートが表示されるため、面接担当者自身の発言内容だけではなく、「応募者の発話比率」「笑顔度」などをすぐに振り返ることができる点も良かったです。また、フィードバックの内容をAIから伝えることで、面接担当者に分かりやすく、かつ的確に結果を伝えられるとも思いました。

ZENKIGENの担当の方による、ピジョンの経営理念である「愛」を踏まえたプレゼンも印象的でした。ピジョンの採用を良くしたいという熱意がストレートに伝わり、嬉しかったです。

フィードバックはAIから伝えた方が受け止められやすいのでしょうか?


稲垣さん:AIが指摘することで、より納得できる部分があると思っています。私たちも他社の面接を熟知しているわけではないため、面接担当者への適切なフィードバックには限界があると感じていました。そんな中、AIが機械的に面接を評価し、面接後すぐにフィードバックをすることで、面接担当者の気づいていない癖や受け手の印象を的確に伝えることができ、より良い面接につなげられると思いました。

『harutaka IA』の導入にあたり、特に期待していたことを教えてください。


稲垣さん:どの従業員が面接を担当しても、ピジョンの魅力を伝えきる面接が実施できるようになることです。私たち人事としては、面接担当者が誰であっても、ピジョンという会社の良さをどの学生さんにも同じように伝えていきたいという気持ちがあります。面接担当者の経験値の差だけではなく、評価の定量化を通し、ピジョンらしい面接を実施する助けになればと思いました。

意識したのは、AIに頼り切らない採用

『harutaka IA』を実際にご利用いただくなかで、新たな発見や気づき、変化はありましたか?


稲垣さん:『harutaka IA』で面接の解析を行う一方、「harutaka」のアンケート機能を活用し、学生さんからもコメントを集めていました。面接解析と学生さんからのアンケートの2つの結果を照らし合わせながら面接担当者として振り返りができる上、面接前後での学生さんの気持ちの変化を確認することができました。

『harutaka IA』導入後、面接担当者の皆様からの反応はいかがでしょう。


稲垣さん:休憩時間ごとに、面接担当者たちがフィードバックレポートの内容を自主的に伝え合っていました。お互いに『harutaka IA』から受けたフィードバックを伝え合うなかで、面接担当者たちの緊張も和んで、「次はもっと良いフィードバックをもらうぞ!」といった雰囲気になり、『harutaka IA』の話をすること自体が、面接担当者たちにとってプラスに作用していたように思います。

フィードバックを伝え合うなかで、傾聴度の数値が高い面接担当者のうなずき方をまねて、次の面接に活かす面接担当者もいました。そして、結果として学生の皆さんにも、良い意味でその雰囲気は伝わっていたように感じます。

役員の皆様にも『harutaka IA』の利活用についてご報告されたと伺いました。


稲垣さん:新卒採用に関する役員報告で『harutaka IA』の結果を説明した際、「今の採用はデジタル化が進んでいるんだね」とかなり驚いていました。「AIが面接担当者を評価する」と言う部分も、興味深かったようです。「採用にAI?」との反応を示す役員はおらず、ほとんどが前向きな反応でした。

文字起こし機能の活用で、面接記録を作成する時間がこれまでの1/3に

AIを活用した機能だけでなく、面接動画もご活用いただいていると伺いました。面接動画の活用に至った理由や抱えていた課題について教えてください。


稲垣さん:ピジョンでは主に2つの場面で面接動画を活用しています。

1つ目は「面接情報の整理」です。個人面接では、記録のために学生さんがどのように受け答えをしたかを残しています。これまでは進行役の面接担当者がメモを取り、次の面接担当者へ共有するために体裁を整える作業をしていたのですが、非常にタイトな採用選考のスケジュールをこなしながらと、とても負担が大きい作業となっていました。個人面接は面接担当者の人数が多いため、発言者が多くなり、その分面接記録の量も増えてしまったことも負担が増加する要因でした。

2つ目は「応募者の配属検討」です。ピジョンでは入社後に配属先が決定する、オープンコースの採用も行っています。この選考では、人事が面接担当者を務めます。選考の時点で開発部門やデザイン部門など、配属先の目星は付けますが、実際にその部署の従業員も学生さんと会ってもらう必要があります。その情報共有の一環として、活用できる方法を探していました。

面接動画を活用するなかで実際にどのような効果が得られましたか?


稲垣さん:面接動画を活用することで、選考に関わる全管理職が必ずしもオンタイムで面接に参加する必要がなくなり、面接担当者の人数を最小限にすることができました。また、面接動画を見返しながら記録が整理できるため、面接に集中できるようになりました。

『harutaka IA』には文字起こし機能がついていますが、年々精度が高くなっているように感じています。文字起こしの内容をそのまま記録に反映できる確率が高くなり、面接動画を最初から見返す必要がなくなりました。次の面接担当者への申し送りに費やす時間は、導入前に比べ、約3分の1にまで短縮しています。

学生さんには面接を録画することに同意をもらっています。ピジョンでは、面接に入る前に学生さんの緊張をほぐしつつ志望度を確認する場として、採用担当者と学生さんの間で簡単な面談をしています。私は、そのアイスブレイクの前に必ず前回の面接内容を振り返るようにしています。学生としては、「採用担当者も含め、自分のことをきちんと見てくれている」「形式的な選考ではないんだ」と感じてくれているようです。

テクノロジーの目があったから、これまで出会えなかった学生を発掘できた

今回、『harutaka EF』も『harutaka IA』と同じ時期に追加でご導入いただきました。その背景にある想いや考えを教えてください。


稲垣さん:元々ピジョンでは、21年卒から自己PR動画による録画選考を行っていました。ただ、新卒採用担当者が1名だったこともあり、業務が手一杯になってしまい、精神的にも体力的にも厳しい中で対応をせざるを得ない状況でした。また、評価基準を設けているとはいえ、大量の自己PR動画を視聴していくため、途中で評価にブレがでていないかと不安になることもありました。 

学生の皆さんは、人生をかけてピジョンの選考に参加しようとしてくれています。だからこそ、私たちがきちんと公正に評価できなければ、真摯にピジョンと向き合ってくださる皆さんに対して失礼なのではないか、という想いから自分が踏ん張って精一杯集中しながら採用業務と向き合っていました。そんな学生の皆さんの気持ちに応える意味でも、客観的な評価ができる『harutaka EF』を導入できれば、よりよい選考につながると考えました。

『harutaka EF』をご利用いただくなかで、気をつけている点を教えてください。


稲垣さん:AIに頼りきらないということです。AIを活用しつつも、ヒトの目線から見ることも忘れないようにしています。「AIに評価されている」と言われたら、いい気持ちにならない学生さんもきっといらっしゃると思います。AIが得意な部分はしっかりとその力を借り、けれど自分たちの目線でも確認する。必要に応じてテクノロジーをどんどん活用する採用を、ピジョンでは意識しています。

『harutaka EF』の導入により、新たな発見や気づき、変化はありましたか?


稲垣さん:録画選考がとても効率的に進められるようになりました。1日に30〜40名の動画を確認していましたが、『harutaka EF』のおかげで評価ポイントが明確になり、確認がスムーズになりました。

また、テクノロジーの目が入ったことで、着眼点が増えたと思います。多面的に応募者を捉えられるようになりました。これまでの応募者とは異なる傾向を持つ学生さんが見つけやすくなり、今までなら出会えなかったような学生さんを発掘している気持ちです。

目指すは進化し続ける採用。ピジョンが採用のデジタル化に取り組む理由

ピジョンの皆様は、「採用のデジタル化(採用DX)」に対し、真摯に向き合われている姿がいつも印象的です。力を入れるようになったきっかけを教えてください。


稲垣さん:企業がどれだけデジタル化と向き合っているかは、応募者を惹きつける大切な要素の1つだと感じています。採用選考の進め方、面接方法、ホームページのクオリティなどから、社内のデジタル化がどれほど進んでいるかが分かるからです。

学生の皆さんとしても、デジタル化を含め、時代の流れを先読みして新しいことを取り入れているかどうかは、自身がどのような会社で働くかを考えるうえで意識する点だと思います。ピジョンとしてどこまで採用のデジタル化を進めるかは、今後も真剣に議論する必要はありますが、引き続き力を入れていけたらと考えています。

実際に採用のデジタル化に取り組むなかで、変化を感じるときはありますか?


稲垣さん:確実に採用プロセスの合理化が図れていると思います。今までは採用担当が3人おり、全員で採用業務を行うのが当たり前でしたが、『harutaka EF』のおかげで、同じボリュームの採用業務を1人で対応できるようになりました。『harutaka IA』を導入してからは、面接担当者の面接スキルのばらつきも少なくなり、以前よりもピジョンらしい面接を安定的に行うことができるようになりました。どちらも、デジタル化を効果的に取り入れた結果です。

採用のデジタル化を社内推進するにあたり、意識していることを教えてください。


稲垣さん:AIを活用することで得られた時間を、学生さんとの接点づくりやコミュニケーションに回すことです。採用のデジタル化により業務が効率的になったからこそ、学生さんに今まで以上に真摯に向き合いたいと思います。

採用にAIを取り入れることに対し、日本企業ではまだまだハードルの高いことだと感じています。どうしてピジョンの皆様は、「採用のデジタル化」「AIの導入」などの新しいことに挑戦していけるのでしょう。


稲垣さん:「進化し続ける採用をやり続けたい」という気持ちが大きいですね。

ピジョンとして学生とのタッチポイントをどういう風に捉えるか、そこで行われる接触をどのようなものにしていきたいかを考えた結果、1つの手段としてAIの導入を決めました。限られたマンパワーの中でいかに優秀な人材を獲得するかを常に考えています。売り手市場で、益々人材の確保が難しくなる中で、ただお金を投下し、さまざまなコンテンツを充実させるのではなく、大きな費用をかけなくても知恵を絞れば効率的かつ合理的な採用活動ができると考え、知恵を絞った結果が『harutaka AI』を導入することでした。

このような考えは、採用活動に限らず、あらゆる仕事に通ずると考えています。現状を疑いながら、進化して変化を続けなければ、これからの時代を生き残っていけないと考えているからです。どのような業界のどのような業務でも今までと同じような仕事を繰り返しているのを是としていては、社会の変化のスピードに取り残されてしまう。私はそういう気持ちですべての仕事と向き合っています。

学生と向き合いたい人事こそ、採用にデジタルを取り入れるべき

今後、ピジョンの採用をどのように変えていきたいですか?


稲垣さん:インターンシップの機会を増やすなど、少しでも学生さんと従業員が接する機会を作れたらと考えています。

なぜなら、学生さんはインターンシップで、従業員から業務内容の他、ピジョンで働く意義ややりがいを聞くことで、ピジョンで実現できることや、従業員の人柄や雰囲気を感じ取ることができます。

一方で、従業員は、学生さんのピジョンに対する熱意や想いに触れることで、自身の入社前の気持ちを思い返すことや、自分たちの仕事への誇りを強く感じることができ、仕事に対するモチベーションにつながると考えるからです。

実際にインターンなどのイベントに参加した従業員の皆様からの反応はいかがでしょう。


稲垣さん:「学生さんの考えや熱意に触れられて、とても楽しかった」「今の学生さんを知ることができた」など前向きな意見がほとんどです。忙しい業務の合間に時間を取ってもらうため、従業員によっては「仕事だから」と参加している人もいるのではないかと感じることもありました。しかし選考が終わると、そんな従業員も学生さんから刺激を受け、笑顔になっていました。

より一層の面接品質の向上にあたり、今後ZENKIGENはどのような点でお力になれますか?


稲垣さん:ZENKIGENの皆さんからご提供いただく情報は、特に変化・進歩のスピードが速いデジタル、AIに関連する情報などの先進的なものが多くて、私にとっては自社の採用活動が進化するためのヒントで溢れていると感じています。故に今後もそのような情報をタイムリーに提供していただけると嬉しいです。

最後に、『harutaka IA』『harutaka EF』のご利用を踏まえたメッセージを一言お願いします。


稲垣さん:これからの採用は「デジタル化を取り入れた採用にすべき」と思っています。学生一人一人により向き合おうとすればするほど、そのための時間や労力を生み出すのにテクノロジーが欠かせないからです。工数削減、評価の定量化などデジタル化する具体的なメリットはたくさんありますが、学生の皆さんに向き合いたいのであれば『harutaka IA』『harutaka EF』は必要なサービスだと思います。

稲垣さん、ありがとうございました。

ピジョン株式会社
面接官教育エントリーファインダーインタビューアセスメント採用DX工数削減選考精度向上面接力向上
業種
メーカー
利用シーン
新卒
従業員数
1001〜5000名

ピジョン株式会社 稲垣 亜唯 様

ピジョン株式会社 人事総務部 人材戦略グループ  ※所属・役職等は制作時点のものとなります。

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