「目に見えない不安の中でも採用は止めない」対面を重視するパーソルキャリアがフルオンラインへ踏み切った理由
全ての学生に直接会いたいからこその「オンライン活用」
今回はよろしくお願いします。パーソルキャリアの新卒採用の進め方について教えてください。
武藤さん:私たちは「全ての学生に直接会いたい」という思いから、説明会から最終面接まで対面形式で行なっています。説明会は東京や大阪をはじめ、福岡や北海道などを含む6都市で開催し、面接は各エリアごとにその都度社員が赴いて実施する形式です。どうしても訪問が難しい場合には無料のビデオ通話サービスなどを使う場合もありますが、基本は対面で行います。
対面を重視するからこその採用課題もあったのではないでしょうか?
武藤さん:「国内の採用活動エリア外や海外などに住む学生へのアプローチが行いにくい」「面接ブースの確保やその会場費用など、新卒採用向けの設備を押さえる物理的・金銭的なコスト」「面接官の確保や出張などによる工数の増加」などが課題でした。学生に直接会いたいと思うからこそ抱える課題と感じました。harutaka導入の理由は、遠隔地域への採用アプローチや面接の効率化が目的だったのでしょうか?
武藤さん:はい、そうです。これらの課題を改善するため、2018年にWEB面接サービスの導入を検討しました。何社かサービスを比較する中、ZENKIGENは私たちの採用に対する考えを理解してくださり、その中でharutakaが実現できること・できないことを明示してもらえたので決断しやすかったです。担当者のレスポンスの早さも後押しとなりました。
harutaka導入にあたり期待していた点、不安だった点を教えてください。
武藤さん:ライブ面接を通し、対面面接とはまた違った切り口でその学生らしさを見られる点に期待していました。同時にパーソルキャリアとマッチする学生をオンラインで見極められるのかという不安はありました。
「海外在住者の採用数が前年度の5倍」ライブ面接が実現した新たなエリアや人材へのアプローチ
2018年にharutakaを導入し、そこからどのように活用したかを教えてください。
武藤さん:応募からフォローまで全てのフェーズでharutakaを使用しました。主なターゲットは、地方や海外といった遠方の学生です。これまで人事が足を運べていなかったエリアでも、採用活動やWEB面接ができるようになりました。特に効果を実感したのは、データサイエンティストなど特別なポジションの新卒採用です。WEB上で全て完結できる採用活動は学生にとって魅力的に映ったようで、海外優秀層の母集団は格段に大きくなりました。
実際、採用数にはどれくらい影響したんですか?
武藤さん:2020年度の海外在住者の採用数は、前年度比で約5倍増加しました。ポジション採用だけでも約2倍以上増えています。これまで人材確保ができていなかったエリアや人材層が拡充され、今後は外国籍の学生を採用するケースがより増えてくると思います。
遠方学生に向けた活用以外で効果を感じたのはどのような点でしょう。
武藤さん:学生にどの面接官を割り当てるかの判断材料としても、非常に役立ちました。harutakaではライブ面接の様子が録画できるため、その内容から最適な人材を面接官としてセッティングできたんです。参加学生に有益な時間を提供することができました。そこに魅力を感じて内定を承諾してくれる学生もいたぐらいです。また出張費や学生の交通費など、約460万円ほどの経費が削減できました。
統一基準を使いブレない面接を目指す
今回新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、21卒採用からはフルオンラインにて選考を実施したと伺いました。フルオンライン化にあたり特に大変だった点を教えてください。
武藤さん:harutakaがつながらず、人事へ問い合わせが殺到したことです。ちょうど全社的に在宅勤務へ移行した時期と重なってしまい、社内システムの急激な利用者の増加にシステム処理が間に合わなかったんです。システム対応が完了する2週間ほど問い合わせは続きましたが、速やかにフォロー体制を整えたため、面接は問題なく進行できました。
オンラインで扱う人数が一気に増えるからこそ、注意したいポイントですね。採用において会うことを重視するパーソルキャリアだからこそ、オンラインで対面らしさを失わないためにライブ面接で意識したポイントはありますか?
武藤さん:初回ということもあり、今回大きく意識したポイントはありません。質問内容も対面面接とは変えませんでした。ライブ面接に変わったとしても、「はたらく課題とビジネスをつなげられる人材」を求めていることに変わりはないため、学生の能力はもちろん、コンピテンシーや志向性、会社のVALUEに合うかどうかで判断します。統一された基準があるからこそ、フルオンラインになっても、面接官には変化に動じることなく臨んでもらえたと思います。
オンライン面接に対して「学生の見え方が対面と異なるため企業マッチングが判断しにくい」という声が寄せられています。武藤さんはどう思いますか?
武藤さん:実施前は学生との温度差を懸念していましたが、実際はほとんど感じませんでした。
オンライン面接に対する意識や対応力が私たちの想定以上にスムーズだったことは嬉しい発見です。そのためオンラインの場合、場の雰囲気が判断バイアスにはならないと思います。一方、対人スキルの見極めは難しく、目線や動作といった非言語(ノンバーバル)コミュニケーションに関する部分はオンラインだけでは分からないなと感じました。
目に見えないオンラインの不安よりも「学生との出会いに勝るものはない」
フルオンラインで採用を進めたからこそ見えた、オンライン選考のメリットとデメリットについて教えてください。
武藤さん:メリットは、各エリアの面接をフェアに実施できたことです。全国のメンバーで対応できるようになったため、十分な面接枠を確保することができました。一方デメリットとまでは言えませんが、「この形で進めることは正解なのか」「自社とマッチする学生をオンラインで見極められているのか」など、言語化できない不安を抱えたまま最後まで走り続けました。
まさに導入時に挙げられた不安点ですね。この思いを抱えたままオンライン選考を進めることに葛藤はありませんでしたか?
武藤さん:いえ、ありませんでした。優秀だと思う学生との出会いとオンラインでは見極められないかもしれないものを天秤にかけた時、ガタンと大きな音を立てて学生との出会いに傾いたからです。「コロナの終息を待って、最終面接だけでも対面面接が良いのでは?」という意見はありましたが、採用スピードが与える学生への信頼感について説明したところ社内では受け入れてもらえました。また説明会から選考に進む学生数の低下も危惧していましたが、ほぼ例年通りでした。
例年の採用と異なる中、学生からはどのような声が寄せられましたか?
武藤さん:採用継続に対する感謝の声をいただく場面が多かったです。オンライン・オフラインにこだわらず選考を継続することが、学生たちへの思いに応え、採用そして企業ブランディングにつながることを実感しました。
コロナ禍で先が見えないからこそ「採用のフルオンライン化」で前向きに進めよう
ここまでのお話からパーソルキャリアが採用の転換期を迎えている印象を受けました。With/Afterコロナ時代に向けて、今後の自社採用をどのように進めていきたいかを教えてください。
武藤さん:22卒採用もフルオンラインで進めていく予定です。これまでオフラインで採用を進めてきたからこそ、正直戻す必要がでてきたら簡単に移行できると思っています。だからこそ先が見えないコロナ禍において、前向きに採用を進める判断をしました。また今回オンライン運用したことで見えた反省点も活かせたらと思います。
ぜひ、今回のオンラインの反省点について教えてください。
武藤さん:今年は採用のスピードを優先したため、先ほどご説明した通り、対面面接で使っていた採用の流れや評価軸をオンラインでも踏襲していました。そのため22卒では、オンライン用に基準をアップデートしていきたいと思います。まだまだ言語化できていない段階ですが、ノンバーバルな情報を各面接官がどこまで選考へ反映していたのかなど、オンラインで見極められないことを科学できたらと考えます。
最後にフルオンライン採用の導入を検討する企業やその担当者へメッセージをお願いします。
武藤さん:コロナ禍が収まったとしても、WEB面接や選考は当たり前になると考えています。学生や社員の負担軽減、企業のコスト削減という面でも有用ですが、自社が求める人材を確保する上で一番効率が良い方法をぜひこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。
武藤さん、ありがとうございました。
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