「技術系こそエントリー動画で見極められる」三井化学が実践した合理的で効果的なスクリーニング術
エントリー動画から「技術系に求められる力」を合理的にスクリーニング
harutakaを導入した時期やきっかけ、抱えていた課題について教えてください。
櫨山さん:harutakaを導入したのは2019年の夏インターンからです。きっかけは、技術系インターンの動画選考をスムーズに進めるためでした。エントリー動画自体はその前年から同職インターン選考で取り入れていたんですが、当時使っていたサービスが採用管理ツールと連携されておらず、効率性に欠けると感じていたんです。この状態では、300名弱近い応募者を限られた採用メンバーで合理的に選考するのは難しい……そんなタイミングでharutakaに出会いました。
中澤さん:また当時は、評価基準がエントリーシート(ES)や履歴書といった書類しかない状態でした。書類内容と対面面接の印象にギャップのある学生を、初期スクリーニングの段階でどのようにして見分けるかが事務系を含め課題だったんです。書類から人物像を絞り、面接で確認という対応に留まっていました。
正直、動画選考は事務系に多く利用されている印象でした。なぜ三井化学では、技術系選考にエントリー動画を取り入れたんですか?
脇田さん:メーカーの技術系に求められる素養や力を見分けるのに、動画選考が効率的だったからです。
メーカーで働く研究者には、専門外の職種や一般の方に向けて自分たちの仕事や取り組みを端的に分かりやすく伝える力が求められます。3分間で自身の研究概要を紹介してもらうことにより、プレゼン力や専門用語を噛み砕きながら話す力など、現場で欠かせない能力から学生をスクリーニングできました。
櫨山さん:社内からは「録画だと作り込まれた学生像しか見えないのでは?」という心配の声もありましたが、動画クオリティや制作意欲の差は私たちが想像するよりも大きかったです。結果としてスクリーニングは成功したと思います。こうした反響もあり、2019年11月のインターン選考から事務系も含め動画選考を導入することにしたんです。
ESでは分からないコミュ力や人柄が浮き彫りになる
エントリー動画を中心に2年間harutakaを活用する中、導入して良かったと感じる点について教えてください。
脇田さん:合理的に業務が進められるようになった点です。harutakaが採用管理システムと連携していることで、学生に動画選考の案内をする度に複数のツールを操作する必要がなくなりました。URL共有などにも大きな注意を払わないですむため、学生や面接官への案内も含め、採用メンバーの負担は随分軽減されました。
櫨山さん:ESだけでは分からないコミュニケーション力や人柄を見抜ける点でも効果を発揮していると思います。例えば、先ほどご紹介した技術系のインターン選考でも、「話を分かりやすく届けるためにボードで説明する」「一般の人が親しみやすい話題をイントロで取り入れる」など、3分間の中でも伝えるための工夫や聞き手への思いやりを随所に感じました。
脇田さん:三井化学と縁のある製品や取り組みを事例に挙げながらプレゼンする学生もいたので、会話の内容や構成から選考への力の入れ具合や志望度を図ることもできました。ES選考よりも効率的にインターンに参加してほしい人材を見極められたと思います。こうしたスクリーニング効果も、夏インターンシップからの内定比率が高まった理由の一つだと考えています。
「書類と面接における人物像のギャップを小さくする」という点は、エントリー動画を通して解消されましたか?
中澤さん:はい、大分解消されたと思います。人柄や能力を考慮した結果、技術系同様、事務系においても面接に進んだ学生と三井化学がマッチングする割合が高まったように感じています。
櫨山さん:もちろんこうした結果が、全てエントリー動画の効果というわけではありません。ただ最近、大手就活メディアの取り組みで内定学生のES情報が簡単に入手しやすくなっていることから、ESの質自体は平準化していると思います。そのため、よりその学生らしさを知りたいときにこそ、動画という方法は有用なんです。
フルオンラインへの不安を払拭した2年間の積み重ね
今回新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、21卒の選考はフルオンラインで最終面接まで進められましたよね。ただメーカーによっては、学生と直接会うことを重視しているケースも多いようです。正直、最後まで学生と会えないことに不安もあったのではないでしょうか。
櫨山さん:いいえ、学生に会えない不安よりも双方の安全を重視する方が大事だと思っています。三井化学はとにかく安全を大事にする会社です。このカルチャーは全社的に日頃の業務から培われています。また今回の緊急事態宣言を受け、三井化学の多くの社員が在宅勤務となっていました。だからこそ、採用のために学生そして社員を不用意に外出させて危険に晒すわけにはいかなかったんです。
中澤さん:学生ファースト、安全性という視点を社内で共有できていたため、フルオンライン化は進めやすかったです。「対面じゃないと学生の人柄が分からない」という不安は、これまでの動画選考である程度払拭されていたので、そこまで大きな問題ではありませんでした。
今回の事態を受け、harutakaが効率面でサポートしたのはどのような点でしょう?
脇田さん:採用管理システムとharutakaが連携していることで、エントリー動画の内容を管理ツール上で一括確認できたのは便利でした。また採用管理システムからharutakaで使う面接URLを数十件発行したのですが、一つのシステム上で情報が管理できるため、学生・面接官へミスなく共有できたのは良かったです。
中澤さん:harutakaで録画したライブ面接から新人面接官へアドバイスができたのは、社員教育という面においても有用でした。これまでは先輩社員が行う対面面接に新人が同席し、評価の観点も含め実地で学んでもらってたんです。時間や場所を問わない効率的な教育方法だと思います。
櫨山さん:社内にはharutakaを2年間使った実績が蓄えられています。だからこそ、コロナ禍においても安心して頼ることができたんです。
準備時間の20%削減、マッチング精度の向上ーーフルオンライン採用で実現した効率化
業務の効率化という点で変化はありましたか?
脇田さん:採用にかける準備時間が約20%削減されました。面接時間は従来のまま確保しつつ、各種準備時間をはじめ、関係者の移動や拘束時間などを減らすことができたんです。面接も含め、全ての選考を在宅で進めていたこともり、人材や場所にかける費用も抑えられました。
中澤さん:スクリーニング精度も向上しました。今回の採用では、高評価の学生たちだけで目標人数が達成できたんです。設定されたコンピテンシーについて、発言を評価しやすいオンライン環境で深掘りできたのが大きかったと思います。
櫨山さん:もちろんフルオンライン化だけが精度向上の要因ではないと思います。ただ初期スクリーニングが、学生のカルチャーフィットを担保する可能性の一つにはなっているかもしれません。
実際にES、エントリー動画、ライブ面接、対面面接の4つを比較した場合、スクリーニングのしやすさや評価に差はあるのでしょうか?
櫨山さん:差はあると思います。まず、ES、エントリー動画、面接の順番でスクリーニングがしやすいです。ただ面接は、対面とオンラインで見えるポイントが異なるため、一概に比較はできません。
オンライン面接だからよく見える点を教えてください。
櫨山さん:オンラインでは学生の視線や空気感、外見といった非言語の部分は評価できません。評価できるのは学生が話したこと、ファクトのみです。そのため、中澤の話にもあったように、質問から学生たちの話を掘り下げていく中で、よりその人物像が浮き彫りになっていく印象です。
オンラインと対面の併用から目指す「双方のフィット感」
22卒の採用に向けて、三井化学が考えるこれからの採用スタイルや展望を教えてください。
櫨山さん:現段階では、オンラインと対面の併用スタイルを考えています。それこそ相手の行動事実を評価するだけなら、オンラインのみでもOKなんです。ただその結果が、「会社と学生の納得感につながるのか?」と言われたら難しいと思います。フィット感を感じることが会社・学生双方のマッチング精度向上において重要だからです。そのためにも、互いの空気感やカルチャーを直接会うことで感じてもらう必要があります。こうした理由から、「最終面接だけを対面にする」という案も一候補として十分にありえると思います。
採用のオンライン化が進むにあたり、今後harutakaに期待するのはどのような点ですか?
脇田さん:ウェブセミナーなど、大規模なイベントでも活用できるとありがたいです。今後、オンライン説明会の需要が今以上に高まるはずです。だからこそharutaka上で開催できれば、学生が参加しやすく、かつ効率的に運営できると思います。
最後に、採用のフルオンライン化を検討している企業や担当者に向けて、一言ずつメッセージをお願いします。
櫨山さん:WEB面接はノンバーバルな情報が少なくなるからこそ、その学生の行動力や地頭力を質問から知ることができます。メンバーの体力面もかなり楽になるので、ぜひお薦めしたいです。
中澤さん:オンラインの活用を含めた多様な選考手法を用いることによって多角的な視点から学生を知ることができるため、よりマッチングの精度が高くなると思います。
脇田さん:オンライン採用の魅力は、全国の学生が気軽に選考へ参加してくれることだと思います。母集団の拡充にもつながるからこそ、今後は学生への魅力づけやイベントのアイディア出しをより一層工夫できたらと思います。
お三人とも、ありがとうございました!
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