500社以上のWEB面接を支援したプロが伝授する「オンライン面接で見極められるもの、見極められないもの」
「WEB面接では相手の何を見極められて、何が見極められないのか?」
オンライン採用を検討する企業なら、一度は疑問に持つ内容ではないでしょうか?これは、ZENKIGEN(ゼンキゲン)によく寄せられる質問でもあります。
今回こうしたみなさんからの質問を受け、500社以上のWEB面接やシステムアクシデントに関わってきたZENKIGENの清水さんから「オンラインで見極められる点、見極められない点」を紹介させていただきます。
オンラインで見極められない点をはじめ、見極めが上手にできている企業とその理由まで、効果的な選考を進めるために知っておきたいポイントをご紹介します。WEB面接でお悩みの方はもちろん、オンライン選考自体に手応えを感じられていない方にも必見の内容です。
目次
オンライン面接で見極められないのは「一部のノンバーバル情報」のみ
WEB面接やオンライン選考の話になると、「オンラインで見極められるもの、見極められないものとは何か?」が必ず話題に上がります。
清水:この内容は、僕もよくご質問いただきます。WEB面接では慣れていないと「見極め辛い点」はいくつかありますが、「見極められない点」は本当に限られた内容だと思っています。それは、「一部のノンバーバルな要素」です。例えば、声質や匂い、身長等が該当します。
ノンバーバルということは、いわゆる、普段私たちが五感で感じる部分ですよね。その中でも分からないのは限られた範囲……思ったよりも、オンラインで人を見極めることはできるんですね!
清水:実際、お客様にご説明すると、同じような反応をされます(笑)例えば、においは画面越しからは伝わりませんよね。声質なんかも、パソコンを通して聞くことで、実際の声とは違った聞こえ方をしています。後、身長や体格もオンライン面接だけでは分からないと思います。
対して、同じノンバーバル情報でも、身だしなみや表情、仕草、話し方のテンポなどは、オンラインでも対面でも変わらず見ることができます。声量なども、PCの音量調節で均質化することが可能です。
こうしたノンバーバル情報が分からないことで、WEB面接の精度に影響は出ないのでしょうか?
清水:逆に、これらの情報が分からないことで、本来見たい点をブレなく見極められる、という捉え方もできます。実際、9割近くの企業が「WEB面接でも問題なく応募者を見極められる」と答えています。一般的に面接で見たい点として挙げられるのが「応募者が自社のカルチャーにフィットするか」、「ポテンシャルや能力など求めている要素を持っているか?」です。これらの要素を対面で見ようとした時に、ノンバーバル情報が入ると、相手の印象に判断が引っ張られてしまうケースも少なくありません。
本質的に見分けられないのは「要件定義が抽象的」だから
ここまでのお話から「オンラインは対面よりも、選考に必要な要素を見極められやすいのでは?」と感じました。一方、「応募者を見極めるのが難しい」と思っている担当者も少なくありません。見分けられないと悩む企業は何が原因だと思いますか?
清水:本質的に応募者を見分けられないのは「要件定義が抽象的」だからです。判断基準が曖昧だったり、構造化できていなかったりすると、最終的な基準が面接官の主観に任されます。判断材料も面接の雰囲気しかなくなるため、ノンバーバルな情報に流されてしまうんです。これが入社後のミスマッチの要因にもなります。
まさに、何となくの雰囲気で人材を判断してはいけないということですね。実際に要件定義を行えている企業の事例を教えてください。
清水:弊社のお客様の三井化学様は、ノンバーバルな情報を極力無くし、ファクトベースで志望者を見ている良い例です。ライブ面接において、「何を見たいのか?」という軸で判断基準が明確化されているため、対面よりもオンラインの方が選考基準が統一され質が高まったというお話を伺ってます。面接が構造化されていることで、面接官が評価に悩むケースは少なく、他の面接官を交え確認できる環境も確立されています。
三井化学様の導入事はこちら:
「技術系こそエントリー動画で見極められる」三井化学が実践した合理的で効果的なスクリーニング術
清水:また、全国に店舗展開をしている某大手中食企業様では、派遣社員が全国各店舗のアルバイト採用をWEB上で行なっています。これが可能なのも、何を見たいかがしっかりと要件定義されているからなんです。また、この面接の録画を勤務希望先の店長にも見てもらうことで、採用に割く時間を最小限にしつつ、機会損失も防いでいます。
人が補えない点はAIが見極める
ここまでのお話から企業が候補者を見極めるために「要件定義を明確にすること」の必要性は理解できました。一方、面接官のスキルや当日の環境などから、適切な情報を候補者から引き出せない場合もあると思います。
清水:確かにオンラインは対面より緊張しやすく、応募者が100%の能力を発揮できない可能性はあると思います。また、面接官の能力にもバラツキがあるのが現状です。環境によらず、候補者の皆さんに能力を発揮してもらうためには、面接官が応募者から「信頼」と「尊敬」を得る必要があります。
「信頼」と「尊敬」ですか?それは、どういうことでしょう。
清水:採用における面接官の振る舞いが、そのまま候補者の会社に対する評価へ直結していると考えています。そのため、候補者が面接官に本音を話したいと思われるだけの信頼関係の構築と、話しをしっかり聞いてもらうための尊敬の念を持って接してもらえるかが重要です。
これまでは、面接官視点で候補者の行動を分析するケースが大半だったと思います。しかし、ZENKIGENではAIによる採用プロセスの情報解析を進める中で、面接官が応募者の期待に答えられたかを知ることが、結果として採用が成功しているかどうかにつながることを発見しました。
実際にWEB面接動画を用いたAI解析から、WEB面接において面接官が応募者の期待に答えられた場合、発言のやり取りから候補者の面接官に対する信頼と尊敬が上昇していることが分かりました。
このAIでは、候補者のどのような情報を分析しているのでしょう。
清水:候補者の声の抑揚や体の動きなど、ノンバーバルなコミュニケーション情報を解析、判断しています。動作や行動の変化から、「会社の魅力が候補者に伝わっているか」、「面接官が候補者の話を聞き出せるか」を確認し、応募者の期待に答えられたかを判断します。なお、「面接中に話した内容」は見ていません。
録画機能を生かし面接情報は社内共有しよう
エントリー動画の場合、見極めポイントに違いはありますか?
清水:基本的にWEB面接と同様に要件定義が重要です。先ほど紹介した三井化学様は、エントリー動画の中で、説明能力や地頭力を見られるよう、設問を設計しています。それによって、コミュニケーション力や人柄など、エントリーシートだけでは分からない能力を見極められています。
エントリー動画では多くの企業が学生独自の考えや独創性が見えると考える一方、アピール合戦に注力してしまう「一発芸大会にならないか?」と危惧する声も寄せられています。
清水:その解決法としてお伝えしたいのが「採用軸で候補者を見よう」ということです。動画でぱっと見たときの雰囲気に引っ張られないよう、応募者の「何を見たいのか?」、「何を判断したいのか」を企業内で決めておくと良いでしょう。企業によっては、エントリー動画とWEB面接で評価したい観点が異なると思います。オンラインで人材を評価しにくいと感じるなら、どのような点で人材を見たいのかも含め、今一度見直してみてください。
しかし、多くのエントリー動画を見ていると、知らず知らずのうちに判断軸がぶれることもあると思います。その防止策はないのでしょうか。
清水:確かに多くのエントリー動画をランダムに見ていると、チェックする人や見ている時間帯によって評価が変わるケースは少なくありません。そこで役立つのが、AIで候補者の特徴を分析し、定量的にマッピングする方法です。ZENKIGENが開発しているAIは、エントリー動画の内容から印象や人柄の数値化を可能としました。AIが、人間の評価できない微妙な差異を評価します。
そんな方法があるのですか。ぜひ、教えてください。
清水:順序を追って説明すると、これまで膨大なエントリー動画から自社にマッチする候補者を探すには、ひとつひとつ内容をチェックするしかありませんでした。まさに、「検索ができないYouTube」ですね。見たい動画を手探りで探している状況と考えていただけると分かりやすいと思います。しかしAIを使えば、ラベリングを元に自社に対する熱量が高かったり、独自性が強かったりする動画からチェックが可能です。これによって、業務の効率化が可能となります。また、面接官が合格を出した学生の傾向や企業の人材ポートフォリオの見える化にもつながります。
ありがとうございます。今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、オンラインでの選考を本格的に進めていく企業が増えてくると思います。もし、そうしたみなさんに何かアドバイスがありましたら教えてください。
清水:録画という機能を生かし、他の面接官と情報共有することをおすすめします。選考ごとの情報を蓄積していくと、応募者に重複した質問を聞く必要がなくなり、情報を引き継ぐことでより深ぼりした質問をしていくことが可能になります。面接官同士で、面接情報をそのまま共有できるのは、オンライン選考だからです。
最後に、この記事を読む読者に向けてメッセージをお願いします。
清水:ZENKIGENでは、harutakaとAI分析を通し、候補者の体験価値に拘ってサービスの開発に取り組んでいます。今後は、web面接でユーザー(応募者/面接官)が困るポイントを、システム内で極力解決できるようなプロダクトへ一層成長させていきます。web面接を実施され難しさを感じた企業様でも、是非一度お試し頂けたら幸いです。