「高校生、大学生が安心して気持ちを伝えられる場にしたかった」面接接続率95%を実現した「トビタテ!留学JAPAN」の担当者が語る運営術
高校生にも扱え、かつ大規模面接が実施できるサービスを探していた
早速ですが、今回、harutakaの導入を検討された背景を教えてください。
正村さん:これまで「トビタテ!留学JAPAN」では、プログラム参加者を選抜する過程において、エントリー動画の提出や面接を実施してきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、対面での面接実施が困難となったため、急遽、オンラインで面接が実施できる環境を準備する必要がありました。
オンライン面接の検討にあたり、懸念していたのはどのような点でしょう。
正村さん:大規模な接続環境下での面接実施と参加者が全国に点在している点です。公平性と公正性を示すために、限られた日数の間に、一度に数十人の学生と個別面接を実施しなくてはなりませんでした。また参加者である学生(高校生、大学生)を始め、面接官となる「トビタテ!留学JAPAN」を支援してくださる企業のご担当者や大学などの教育系機関で働く先生方が全国に点在しているため、どのようにして運営をしたら良いか、頭を抱えていました。特にネットリテラシーに差があると思われる高校生が問題なくオンライン面接を行えるかは気にしていました。
「トビタテ!留学JAPAN」では、これまでどのような体制で選考を実施されてきたのでしょうか?
正村さん:「トビタテ!留学JAPAN」では、これまで応募書類の提出と対面面接から合否を判断してきました。高校2〜3年生については、全国10拠点で面接を実施していました。基本的に、1人につき2人の面接官が担当し、支援企業の社員の方と大学など教育系の機関で働く先生方が1人ずつ参加します。なお、高校1年生については、選考期間の関係で、応募書類とエントリー動画のみで合否を判断しています。
米田さん:応募書類の提出と対面面接から合否を判断するのは、大学生も一緒です。ただし、大学生については、個人面接後にグループ面接を実施しているため、全ての面接を東京会場で実施していました。どちらの面接も、面接官は支援企業の方です。
決め手は学生と運営から見た扱いやすさ
大規模な環境下でオンライン面接を実施するにあたり、心配していた点を教えてください。
正村さん:面接時の接続不良です。接続する場所が学生、面接官ともにバラバラなので、問題なく、かつ予定通り接続できるかを一番心配しました。対面であれば、学生、面接官がともに会場へ到着すれば面接を実施できますが、オンラインではそうもいきません。
渡辺さん:また学生、面接官に関係なく、参加者のネットリテラシーにバラつきがあることも、懸念点の一つでした。面接ではしっかりとプログラムへの意気込みなど、気持ちを伝える必要があるため、面接前の場づくりが難しいオンライン面接において、学生の緊張感が保てるかも心配な点でした。
今回、なぜharutakaを選ばれたのでしょうか?
正村さん:運営側、学生側から見た扱いやすさからharutakaを選びました。運営側としては、参加者個人に面接用のURLを割り当てられる仕様が決め手になりました。例えば、開催日時と面接URLが紐づくタイプのサービスだと、面接の日程が変更になる度に、学生と面接官の両方にURLを送らなければなりません。日程変更後もURLの再発行が必要ないharutakaなら、運営面での実現可能性が非常に高いと感じました。
またこれまでの「トビタテ!留学JAPAN」でも、高校1年生の選考では、動画選考を取り入れていました。その際に無料の動画投稿プラットフォームを利用していたのですが、学生がアップロード方法を間違えてしまって動画が一般公開されてしまったり、選考終了後も削除されずに残っていたりと、課題を抱えていたのです。harutakaには動画アップロード機能もあるため、この機能を使えば、動画投稿に関する問題も解消されると思いました。
ー般的に政府機関に外部サービスを導入する場合、セキュリティ面が課題となるケースがしばしば報告されています。harutaka導入を検討する際、セキュリティ面が問題となる場面はありましたか?
米田さん:いえ、ありませんでした。セキュリティ関連の直接的な対応は事務局の情報セキュリティ担当部署が担当し、私たちが対応する範囲では、そこまで問題や負担に感じませんでした。
高校・大学共に95%の接続率を実現
準備に2カ月もない状態で、大規模な面接の運用が円滑に進むように意識したのはどのような点でしょう?
正村さん:マニュアルを学生と面接官向けに作成した点です。時期的に説明会へ来られない高校生がいることを懸念し、説明資料は動画でも作成しました。動画を作成するときに、ITリテラシーやモチベーションを担保することを大切にし、動画中にトビタテに参加したことのある卒業生からのメッセージを入れるなど、気持ちの面のフォローを心がけました。面接官に対しては、面接2週間前に説明会を実施しました。大学生については、マニュアルを事前配布し、面接官に対しては、高校生同様、別途説明会を実施しました。
オンライン面接当日の接続率は何%ぐらいでしたか?
米田さん:高校・大学、共に95%ほどは接続していたと思います。
正村さん:高校生は4日間面接を実施し、接続トラブルなどで、当日のうちに時間変更をしたのが27件ありました。「音声が聞こえない」「画面共有でプレゼン用の動画が上手く動かない」など、細かい問い合わせ全体の約10%ほどありましたが、面接官の方が臨機応変に対応してくださったこともあり、全く選考が行えないという事態にはなりませんでした。
渡辺さん:大学の場合は、選考1日あたり、面接官が約40人、学生が約300〜400人参加しました。たまに企業の方が企業用PCからharutakaへ入ろうとすると、OSの互換性など、企業側のセキュリティの問題で入れないケースがありましたが、学生の方ではそこまで大きなトラブルはありませんでした。
オンライン面接は運営側の工夫次第で良くなる
今回、外部の方が面接官として参加していますが、事前に準備しておいてよかった点、工夫した点などを教えてください。
米田さん:オンライン面接での雰囲気作りのポイントなどを説明会でお伝えした点です。人によってオンライン面接の経験値が異なるため、ポイントを共有しておくことで、選考が進みやすくなると考えました。
正村さん:高校生の面接では面接官側が2名体制となるため、面接を実施する側が現場で初対面とならないよう、仮の面接部屋をオンライン上に作り、事前に顔合わせをしてもらいました。トラブル対処方法など、当日の流れを仮の面接部屋でご相談してもらうよう、事前にお願いしていたこともあり、実際の選考では臨機応変にご対応いただけました。
実際にharutakaを利用した面接官からは、どのような声が寄せられましたか?
正村さん:高校生の面接を行った面接官からの話では、「身振り手振りやその場の雰囲気に頼らず、言葉だけで思いを伝えなくてはいけないので、ごまかしが効かないという点で良い選考になった」という声が寄せられました。接続の関係で所属校から参加した学生もおり、「慣れた環境からの参加で落ち着いて面接に望めたり、最大限自己PRできる環境を自分で作ったりもしているようだ」という話もありました。
米田さん:大学生の面接を行った面接官からは、「地域の格差がなくて良かった」という声が寄せられました。以前は大きな会場で一斉に面接をしていたためか、オンラインで実施したことで「ひとりひとりの声が聞きやすかった」と話す方もいました。「学生の方がオンラインに慣れているイメージ」という話もありました。
渡辺さん:今回、大学生の選考では、個人面接においてあえて画面共有を禁止としました。今までのプレゼンでは何を使用してもOKとしていましたが、PCの画面が見えにくい、オンライン上でのプレゼンに慣れている・慣れていない等の格差が考えられるので全てNGにしました。そうしたことで、面接官からは「資料に頼らず、言葉で語れるようになっていたので良い面接になった」という声が挙がりました。
最後に、オンラインを利用した大規模採用の実施を検討している企業や担当者に、メッセージをお願いします。
米田さん:私たちも初めてで不安だらけでしたが、そこまで大きなトラブルもなく終了することができました。ためらわずに導入して良かったと思いますし、皆さんにも面接のオンライン化に挑戦していただけたらと思います。
渡辺さん:実際にharutakaを使ったからこそ分かる点が多々あり、知見を共有する場として、ノウハウを語る会などを行っても良いのかなと思いました。
正村さん:音声トラブルなどがあると、「せっかく準備をしたのに、これで思いが伝わったのだろうか?」と学生が不安を感じてしまいます。一方で、オンライン面接において100%トラブルがないというのは難しいでしょうが、相応の情報をこちらから提供することにより、面接官も学生も想像以上に工夫・準備をし、臨機応変に行動してくれることを実感しました。同時に、運営側の工夫次第でオンライン面接がより良くなることを学びました。学生にとっても運営側にとっても、新たな挑戦を生み出すチャンスと感じています。
皆さん、ありがとうございました。
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